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051話 逃亡奴隷


 3-11.逃亡奴隷



 精霊さん。俺が愛する精霊さん達よ。


 確かに頼んだよ?畑の事は頼んださ。でも、でもさ。


 俺は別に〝食べ物満載!果物と野菜の緑いっぱいジャングル☆〟を作ってとは言って無いんだけど。



 俺は旧市街にある旧孤児院にまた来た。すると異常な光景が俺を襲った。


 精霊たちは舞い踊り、庭には豊富に実る果物や野菜達。そしてそれを我先に奪い合う孤児や放浪者達。


 どうしよっか、これ。奪い合っている皆様、超怖いんだけど。え?こん中に入らないとダメなの?俺。


 「邪魔なんだよ、ガキ共!これは俺のモンだ!」


 「きゃあっ!!」


 果物を木から毟り取っていた男が、女の子を蹴り飛ばした。おいおい、それはちょっと___


 「ぐあっ!?」


 蹴り飛ばした男は地面に倒された。暴力男を倒したのは、俺が知っている奴だった。


 「ったく。ガキを蹴り飛ばすなんて、クソ野郎だなお前」


 狼の獣人である攻略キャラのフェイレシルだ。なんでこんな所に居るんだ?


 暴力男はフェイの睨みに恐れて、立ち上がりそそくさと退散した。


 「ほらよ、ガキ。持てるだけ持ってけ。落とすなよ」


 「ありがとう、犬人のお兄ちゃん」


 女の子を立たせて、笑顔を向けるフェイ。そして自分が持っていた果物を少女に渡した。


 ・・・やっぱりツンデレだった。見れたよデレ!そうか、そうか。やっぱり攻略情報に嘘偽り無しだ。あと犬じゃなくて狼だよ。


 俺がその様子をニヤニヤしながら見ていたのに気が付いたフェイは、驚いた顔をしてから睨んできた。





 「え?冒険者登録が不可?なんでですか?」


 孤児院を、とりあえず付け焼刃で修復した俺(というかほぼ精霊たち)はフェイを孤児院に招待した。


 本格的な修復は明日から頑張る予定。


 庭の食べ物ジャングルは、一部の壁を壊して皆が自由に入れるようにして【喧嘩は御法度。採取は自由】という看板を置いてきた。


 「・・・俺が奴隷になった原因は、村に攻めてきた魔王軍のせいでな。そんで捕まった俺はコレを付けられちまった」


 フェイは自分の上着を捲った。するとフェイのお腹の右側に、不思議な模様の黒い刺青みたいなのが浮き出ていた。


 「『奴隷紋』だとよ。俺はジジイ、あ~、村長の命を助けて貰うために奴隷の契約書にサインしたんだ。そんで奴隷落ちした俺は冒険者にはなれねぇって決まりらしい」


 待って。ちょっと待って、お願い。泣きそう。マジ泣きそう。


 「しかも今の俺は『逃亡奴隷』なんだってよ。受付嬢の人は見なかった事にするから逃げろって言ってくれたんだ。そんで腹空かしてたら、美味そうな果物の香りがしたから此処に来たって訳だな」


 だから待てって言ってんだろうが!やばい、涙が止まらん。


 何?その転落劇。これは、アカンやつやぁ。


 もうマジでこの乙女ゲームの製作者出て来いよ。一回でもいいから『乙女ゲーム』って言葉を調べ直せ!きっとピンク色の世界が広がってるハズだからさ!



 でも契約書を使った奴隷契約。しかも逃亡奴隷か。それはちょっとマズイ。確か重罪だったはずだ。


 俺はしばし泣き続けた後、フェイに真剣な顔を見せた。



 「・・・【闇夜に潜む・黒き者達・我が敵に・行動の封印を ≪シャドー・バインド≫】」



 俺は闇の精霊たちの協力の元、フェイを闇で縛りつけた。


 「なっ!?テメー、どういうつもりだ!?こらぁ!!」


 突然、俺に魔法で拘束されて怒りと困惑をするフェイレシル。


 「フェイさん、その魔法から抜け出す事は出来ますか?出来ないでしょう?だったらフェイさんより俺の方が強いって事です。なら弱者のあなたは、強者の俺のモノって事ですよね」


 「なっ!?お、お前!何を魔王軍みたいな事を言ってんだよ!ふざけんなっ!!」


 「でも、獣人族はより強い部族に平伏するのでしょう?なら同じじゃないですか。あなたは俺のモノです」


 「お前はどこの魔王だよ!それは正々堂々と戦う儀式をしてからなんだよ!放せよ、こらぁ!」


 「はっはっは~。聞こえませ~ん。さぁ、奴隷商に行って登録を済ませちゃいましょうか」


 「お、おい!?ちょ、ちょっと待て、こら、聞けよ!?おいってば!?」



 俺は市街地にある正規の奴隷商にフェイを連れて行った。




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