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005話 裏奴隷商


 1-5.誘拐犯の裏奴隷商




 「うっせぇんだよ、ガキ共が!騒ぐな喧しい!お前達は黙って大人しくしてればいいんだよ!」


 「へっへっへっ、良い子にしてたらオジサン達も殴らなくていいんだからな?アイツのように痛い思いをすんのは嫌だろう?」



 うわ~、見るからに悪者。それに、すんごく臭そう。数は・・・5人か。全員が武器を所有しているみたいだ。


 俺は路地裏にある物陰に隠れ、様子を見ている。どうやら人攫いみたいだな。この世界には奴隷制度があるし、売るつもりだろうか?でも借金奴隷か、犯罪奴隷が一般的。それ以外を奴隷にするとなると、コイツ等は裏奴隷商に売るつもりか、その関係者なのかな?


 ていうか〝始まりの町は治安が良い〟という設定はどこいったんだよ?衛兵、はよ来いや。


 「・・・ぐっ・・・がはっ」


 「「「おにいちゃん!!」」」


 さっき先頭を歩いていた茶髪の子が地面に倒れている。その傍には二人の男。少しばかりの血を口から吐いて地面に倒れる少年を心配して、他の子供達が大人達に捕まりながら泣いて手を伸ばしている。


 おいおい・・・そんな小さな子供に大人の男が2人でフルボッコかよ。血が出ているし、凄く痛そうだ。


 「たくよぉ、調子乗りやがって。おぉ~、イテェ」


 「はっはっはっ、見事な歯形が出来たな。良かったじゃねぇか」


 「うっせ、バァ~カ!」


 1人の男の腕には小さな歯形があった。それが原因で、茶髪の子が殴られたのは明らか。


 あ~、はいはい、そういう事ね。でも、男達が持っている剣とかで斬られなくて良かった。短気な奴は、それだけで斬り殺していたかもしれないし。それでも子供相手に大人が暴力を振るうのは最低だし、重体になり死んでもおかしくないので許せないな。



 それに、あの子達を助けないと精霊達に怒られそうだ。どうやら精霊達もヤル気満々なようだし。では、精霊達に協力してもらいましょうか。俺ってば心優しい、あのヒロインちゃんの代わりだし。彼女みたいに傷付く者達をお助けしましょう。無料で!


 えっと、此処は路地裏だよな。なら闇の精霊達、力を貸しておくれ。


 「・・・【闇夜に潜む・黒き者達・我が敵に・行動の封印を ≪シャドー・バインド≫】」


 乙女ゲームにあった闇属性の拘束魔法。初級だが精霊達の協力があれば、それなりに強度が増しているだろう。


 標的は、大人の人間が五人。闇の精霊達のおかげで、その標的である男達全員を闇で縛る事が出来た。突然、黒い布みたいな物が出現し、体が縛られ動けなくなる男達。何か騒いでいるみたいだけど、どうでもいい。


 次に風の精霊達にお願いをし、風の初級魔法で子供達の縄を切った。これで捕まった子供達は自由に行動できる。もし、精霊達にお願いしなければコントロールが上手く出来ずに子供達を傷付けていたかもしれないから感謝。


 子供達は怪我をして動けない茶髪の子を支え、急いでこの場所から逃げて行った。多少、混乱はしている様だったが、この場所が危険である事には変わりなく路地裏の奥へと消えて行った。




 さてと、この男達はどうしようか。まだ騒いでいるし、暴れようともがいている。だけど男達に、俺の姿を見せたくない。姿を見られたら、きっとコイツ等は復讐に来るだろうから。


 俺が悩んでいると、緑色の服を着た精霊達がピョンピョンと跳んでアピールしてきた。あ、可愛い・・・


 ん?樹の精霊達が何かくれたぞ。これは種?


 「これを育てろって事?」


 俺の質問に、樹の精霊達が笑顔で頷いた。俺はさっそく種を土に植え、良く育つ為に土の精霊達に栄養を頼む。


 「・・・【光の雨よ・小さき種に・祝福を ≪プラネット・シャイン≫】」


 光属性の植物成長魔法が発動し、地面が少し輝く。


 土に植えた種から芽が出て、成長していく。これは・・・花?


 草から黄色い花がゆっくりと咲き、その花から黄色の粉が飛んだ。それが風の精霊達によって、闇魔法で捕らえた男達の方へと送られていく。


 騒いでいた男達は、黄色い花粉に包まれると次第に静かになり、動かなくなった。え?まさか死んだのか!?


 そう少し不安になったが、男達から寝息が聞こえてきたので、ただ眠ってるのかと安心した。どうやら、これは強制的に睡眠効果を相手に与える草花みたいだ。ありがとう、樹の精霊達。助かったよ。


 じゃあ後は、この町にいる衛兵の人に教えるだけ。悪党の処理は、その人達に任せよう。


 俺は荷物を持ち、路地裏から出ようかと立ち上がった。すると俺の背後から、誰かの声が聞こえた。



 「へぇ~、ネミネ草の花粉か。すごく珍しい花を使ったな?」



 俺が入って来た路地裏の方向から聞こえた男の声。その声はまだ若く、とても良い声だった。きっと女性に愛を囁けばコロッと落とせてハーレムを作れるんだろうなと思えるくらいに。



 ・・・見られた・・・よな?


 なんか面倒な事になってしまった。どうしたものか・・・


 俺は後ろを向かずに考える。






〝ネミネ草〟

眠くなる草→眠いな草→眠いね草→ねみぃね草→ねみね草→ネミネ草

もう これでいいや φ(・ω・ )かきかき

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