043話 ランブレスタ王国
3-3.ランブレスタ王国
王都『ランブレスタ』。
乙女ゲームで主なイベント発生場所とも言える、この国の都。主人公のミネルソフィ=ターシアも、この王都で暮らす。ターシア男爵家の令嬢として。
そして貴族学園に通い、攻略キャラたちとキャッキャ☆ウフフの学園生活を送るのだ。
俺?行く訳ねぇだろ!
なんで俺が攻略キャラたちとキャッキャウフフ☆あ~んダメみたいな展開をしなければならないんだよ!
え?〝それが見たいのよ〟?・・・ダメだ腐ってやがる。
さてと、無事に王都に到着しました。
盗賊の襲撃も、高ランク魔物の出現も、護衛の裏切りも無く無事に到着した。哀れテンプレ。
そんな事より、今は王都だよ王都!
いや~、ゲーム画面では綺麗な絵でも平面的だったからさ。やっぱりリアルだと違うわー。なんたってリアルには匂いがあるからな。
そう、匂い。これ結構、重要。
ゲーム画面に出てきたあの料理が!出店が!露店が!!いろんな場所で美味しそうな香りを放ち、賑わっている。ビバ☆転生!
そして俺は今、至福の時を過ごしている。出店や露店の食べ物を買い漁る事、しばし。
広い公園みたいな場所にあるベンチに座り、食べ物と精霊達に囲まれています。あぁ幸せ。
あ、この精霊達?何人(?)かはリナリクトの町から着いて来てくれたけど、殆んどの精霊があの町と森に残りました。別れは辛いが、また会えると信じている。
王都の大通りをちょろちょろ移動していたら、王都に居た精霊が少しずつ俺に近づいてきたんだ。聖女のヒロイン設定だろうけど、すげーな。
「え~と・・・食べるか?」
俺の周りには汚れた服を着た子供達が集まっていた。
この子達、きっと孤児だよな。ゲーム画面では出なかったけど、冒険者ギルドで聞いた。王都の方が孤児の子が多いんだと。
その子供達は、俺の言葉に喜んだあと大量にベンチに置かれた食料を食べ始める。それも、すごい勢いで。
そんなにお腹空いていたのか?王都にも孤児院とかあるだろう?あまり食べさせて貰っていないのだろうか?
そうだ。せっかく集まってくれたんだし、気になっている事をこの子達に聞いてみよう。
「君達の中にも今年、教会で行なわれる『属性検査』に参加する子はいるの?」
「うん。今年で10歳になる子は3日後に教会に行くよ。王様の命令なんだって」
この乙女ゲームでは10歳になる子供達を対象に、全員が教会で行なわれる『属性検査』を受ける事になっている。
一人に一つは必ず属性を持つとされている世界。孤児の者で、特に『光』か『闇』の属性があれば、必ず教会で手厚く保護される。
今、この世界では魔王が存在している。なので、〝聖女〟か〝勇者〟が現われるのを待つ状況。見落とす事がないよう国も協力している。
乙女ゲームの物語でもヒロインのミネルソフィ=ターシアがこの属性検査を受けて『聖女』だという事が発覚する。
属性検査に使う検査版にヒロインちゃんが手を触れると、検査版は光り輝く。そして、教会のステンドグラスからは白い光が照らされ、大聖堂内を明るくした。
検査版に記されたのは全属性。しかも希少な『光』属性を主軸にしていた。
教会と国がヒロインちゃんの属性検査の結果から判断し、彼女こそが聖女であると発表する。
もちろん、俺はその属性検査を受ける気ゼロだけどな!