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041話 ミネル、王都へ旅立つ

三章を書き終えたので、毎日2話ずつ載せたいと思います

よろしくお願いします m(_ _)m

・・・忘れないように気を付けます


 3-1.ミネル、王都へ旅立つ



 俺は馬車に乗り、揺れる馬車内で空を見上げている。


 良い天気だ。雨だったら乗合馬車の中が地獄と化すから嬉しいかぎりである。湿気は敵だ。


 「王都かぁ。大きいんだろうなぁ」


 流れる景色を見ながら、俺は呟いた。


 スザクのトラウマイベントが終わり、あれから2年が経った。


 今年で10歳になる俺。今はまだ9歳だが、あと数日で10歳になる。


 だから俺は、住んでいたあの町を離れた。


 仕方なかった。10歳になったら、父親の関係者が俺を引き取りに来るからだ。逃げるしかない。


 それに王都の大聖堂にある聖剣にも、どうにかして会わないと。




 きっと、俺の__というかミネルソフィの母親が教えたのだろうな。俺の居場所。


 何処でかは知らないが、俺を探す奴に情報を渡したのだろう。きっと金を貰っていると思う。


 俺は町から出て行く事を、ずっと前から周りに知らせていた。みんなには世話になったから。


 10歳になる前に、王都へ行きます。


 そう伝えていたから旅立つ時、みんなが応援してくれた。餞別も沢山もらえた。


 王都へ旅立つ際、俺の居場所を誰かに聞かれても教えないで欲しいと伝えといた。守ってくれるかは分からないが、信じるしかない。



  ○ ● ○ ● ○ ●



 「ミネル。俺とルードもちゃんと冒険者になったら王都に行くからな。絶対に行くから。それまで元気でいろよ」


 「おう。ルッソとルードも元気でな。あんまシュッサー先生の面倒になるなよ。あの人も年だしな」


 「まぁ兄さんは俺に任せておけ。ちゃんと補佐はするからさ。じゃあな、ミネル。元気でな」


 二人との別れは(つら)い。孤児院の子達の中でも、この兄弟とは一番仲が良かったから。


 「またなルッソ、ルード。今はこれでさよならだ。俺は二人の事、大好きだぞ。だから、また会おうな」


 「おっ!お、お、お、俺もミネルの事、大好きだからな!絶対に会いに行くからな!絶対だぞ!」


 「・・・兄さん」


 俺は王都行きの乗合馬車に乗り、出発した。二人が見えなくなるまで、手を振り続けた。



  ○ ● ○ ● ○ ●



 「結局、今でも〝ルッソ〟と〝ルード〟のキャラを思い出せないんだよなぁ」


 俺はおやつに干した果物をちびちびと齧りながら考える。


 結構、やり込んだ筈の乙女ゲームだ。なのに思い出せない。なんか胸がムネムネしやがるぜ、くそっ。


 俺は干した果物を食べ続ける。ほんのり甘さがストレスに効くのを感じる。



 タジル達は元気でいるだろうか。


 まぁ毎月届く手紙には『元気に魔物を殺しまくっている』と書かれていたが、性格が変わっていたらヤダなぁ。


 手紙といえば、スザクからも偶に届いた。


 ただ、内容が『元気 元気? 会いたい』とかなんだよ。手紙が届くのは嬉しいよ?でもなぁ・・・



 そういえば、こういう旅のテンプレ的展開では〝盗賊に襲われる〟とか起こるのだが・・・平和である。


 一応、護衛の為なのだろう。冒険者の人達が一緒に乗っているかが、暇そうに欠伸をしている。俺も眠たくなってきたらしく、欠伸が伝染した。


 この世界へ来て、初めての王都だ。とても楽しみに思いながら俺は今日も昼寝をする。




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