040話 シグマさん解放
2-19.シグマさん解放
さて。今、俺がいるのはシグマさんを封印した洞窟。
つまり、日ノ国から無事に帰還しました。今度は密航ではなく正規のルートで。
隠れ里で一泊した俺。次の日もいろいろ忙しくて結局三日目になっちまった。
俺は隠れ里で放火をしてしまったので、二日目は復興のお手伝い。
木材が必要だったので、木を切り倒した後に若木を再生させたり、怪我人や火傷を負った人達の治療も行なった。
もちろん死者はいませんよ。火の精霊に小火くらいにしてと頼んでいたから。ただ、その小さなボヤが里中で起きたから負傷した人も少なからず居た。ごめんなさい、全てはゲンブが悪いんです。アイツのせいです。俺は悪くないんです。
あ、それとセイリュウさんに団子やせんべぇをちゃんと買ってもらいましたよ。約束、守ってくれた。
そして、さすがは統領。俺のマジックバックはパンパンだ。俺はウハウハだ。
ライバッハが言った「聖女」発言には、セイリュウもスザクも何も言わないでくれた。
ただ無言のまま俺のズボンをめくり、凝視された俺の股間。おい、スザク。かわうぃ顔して覗くなよ。
三日目の朝。スザクがシグマさんの事を心配して、俺に尋ねてきたんだ。〝もしかしてシグマ殺されちゃったの?〟って。聞くのが怖くて三日目になったみたい。
だから、ちゃんと教えてあげた。「シグマさんなら、洞窟に閉じ込めて反省中だよ」と。
スザクがプルプル震えだし、セイリュウが俺に非難の眼差し。・・・うん、ごめん。迎いに行きますです。
そして、スザクとセイリュウと一緒に日ノ国が所有する船で海を渡り、大陸に到着。無事に戻ってきました。
シグマは無事であろうとセイリュウの言。
「俺達の組織は、ある程度の拷問の訓練は受けている。たった三日の絶食なんてなんでもないな」
・・・じゃあ、なんであんな非難する目で俺を見たんだよ。
とりあえず、洞窟の入り口を塞いでいた土を地面に戻す。
壁が地面へと同化していき、中を覗くと目を閉じていたシグマさんが居た。土に胸から下を埋められた状態で。
あれがセイリュウさんが言ってた〝無心術〟なのか。体の活動を抑え、ほぼ寝たような感じだが意識は起きている状態らしい。うむ、意味不明。
そのシグマが、ゆっくりと目を開ける。
「・・・ミネル君か。やっと来たのだな。出て行ったのは悪かったが・・きみ、の・・・ため・・・・」
シグマさんが俺らの後ろに居たセイリュウを凝視。口を開けたまま固まった。
「よぉ、シグマ。土に埋まってるとか笑かしてくれるじゃねぇか!」
「・・・・・セ・・・・・・」
「俺の息子を守ってくれたってな?ありがとうな、シグマ」
「・・・・・セイリュウ・・・?お、おま、おま、おまえ」
「あ?なんだ?」
「せいりゅーーーーう!せ、セイリュウよぉおお!!生ぎでおっだがゼイデューーーウ!!!!!」
シグマさん超泣き。セイリュウさんドン引き。スザクはおびえて後ろに隠れた。俺は鼻水を避けた。
感動(?)の再会おめでとうございます。
セイリュウとスザクとシグマは故郷へ帰って行った。俺、ちょっと泣いた。
別れる時にスザクが俺に抱き着いてきた。
「・・・また、会いに行く。俺、絶対に、会いに、行くから。強くなって、会いに行くから」
そう言った後、船に飛び乗った。俺の服は、肩の所が少し濡れていた。鼻水がなくてホッとした。
終った。
終わったなぁ、スザクのトラウマイベント。
俺は精霊達と一緒に湯船に浸かりながら想いに耽っていた。
俺は上手く出来ただろうか。
スザクに笑顔が戻った。
セイリュウが魔王軍に行く事は無くなった。
暗殺組織『朧』も魔王軍に協力していない。
でも、ライバッハとゲンブには逃げられた。
今の俺では倒せない。だからフードで身を隠している。俺は弱いから。
俺は今回、正しい動きが出来たのだろうか?
なぁ、神様。これで良かったのか?
乙女ゲームの設定を、とことん壊しまくっているが。俺は、これでいいのか?
神様は、それで満足しているのか?
俺は・・俺の気分は良いぞ。悪くないと思っている。
あいつ等が今も笑い合って暮していると思うとな。
だから、神様も満足しているなら、俺も嬉しい。
次回からミネルは王都へ旅立ちます。
読んで頂けたら嬉しいです。(。≧ω≦)ノ