033話 犯罪者ミネル?
2-12.犯罪者ミネル?
みんな、助けてくり。どうしよう。本当にどうしよう。
俺ってば、とうとう犯罪者になっちまったよ。
俺が犯した罪、それは『密航』。
仕方がなかった。そう、仕方なかったんだよっ!
だって精霊のみんなにスザクの居場所まで案内してもらったら港町に着いたんだ。
途中で、優しいお爺さんとお婆さんに出会った。まだ、太陽だ昇らないうちから畑仕事に向かっていたらしい。
ぜーはーぜーはーと死にそうな息をしながら走る俺に心配してくれて話し掛けてくれたお爺さんとお婆さん。なんと港町まで荷馬車に乗せて行ってくれるらしい。貰ったリンゴっぽい果物が、とても美味しかったです。俺、朝食を食べずに来たから。
そして、港町についてリンゴっぽいの果物をムシャムシャ食べながら精霊達に案内してもらった。
ん?残りの魔力が少なくて死にかけていた?
あー、あれ。あれな、うん。俺の勘違い、ごめん。ただ、腹が減ってただけだった。
変だと思ったんだよ。魔力が少なくなったからフラフラしているのかと思ったけど、普通にシグマさんを封印する洞窟作れたし。
あの優しいお爺さんとお婆さんに貰ったリンゴっぽい果物で完全復活しました。マジ感謝。
さてさて精霊達、スザきゅんはドコかいのう?・・・ん?何故にみんなで海の方を差すんだ?そっちは海だよ?
最初は意味が分からなくて「泳ぎたいの?」と聞いてしまったくらいだ。
理由が分かってからは、仕方なく海の上を走りました。
ええ、ええ。走りましたともさ。
水の精霊達と風の精霊達に協力してもらい、海の上を全速力で走りましたともさ。
ヒントは乙女ゲームにもあった、ある攻略キャラのスキル『水上歩行』。俺にだって出来た。
そして、魔力ギリギリかもと思っていた時に見つけたのが一隻の船だった。精霊達が必死にあの船を指差してる。
バレないように、ヒッソリと近づき、ヒッソリと乗り込みました。
でも、もうダメ。もう無理。
乙女ゲームの主人公でヒロイン役の最重要人物で光の女神様から加護をもらってるらしい聖女様だけど、さすがに魔力も体力も限界でした。すんげー眠い。
仕方なく物置の一番奥にあったタルっぽい中に入り、そこら辺にあったボロい布に包んで寝ました。ぐー。
そして気が付けば、何だか到着してたっぽい。
コッソリと船から抜け出してみれば、空がもう夕暮れだった。少しずつ真っ赤になる太陽が綺麗だな~。
・・・現実逃避すること、しばし。
うん。俺、ここ知ってるよ?ゲームで見た憶えがあるもん。
あれだよね?スザクの好感度が90以上で発生するスザクイベントで入る事ができるエリア。
ボスの『ゲンブ』と決着をつける島国『日ノ国』。スザクの故郷だよな?
・・・
・・・・・・・密航?
俺は、俺は悪くないんです!裁判長っ!
全てはスザクを誘拐した奴等!そして、眠りを誘う船の揺れが悪いんです!俺は無実です!
しかし無慈悲な精霊達が、俺への採決を行う。
〝有罪〟 〝有罪〟 〝有罪〟 〝有罪〟 〝有罪〟 〝有罪〟 〝有罪〟 〝洗剤〟 〝漫才〟
ああ、母さん、父さん。俺はとうとう犯罪者になってしもうた。許してけろ。
さて、アホな事してないでスザクを探さないとな。スザきゅんは~、ど~こっかな~。
ほほぅ、あっちですかい。ありがとう、精霊達!・・・ん?なんか増えてない?君たち。
え?もうこの島国の精霊とも仲良くなったの?すげー。
俺は精霊達と共に陸地へと降り立ち、無事に密航した。そして、スザクが居ると教えられた山へと向かう。