028話 冒険者ギルドでバイト中
2-7.冒険者ギルドでバイト中
「は~い、治療は以上です。お元気でぇ~」
今日、17人目の患者を送り出す。さすが冒険者、筋肉が凄い。
今、俺がいるのは冒険者ギルドの医療室。俺にとっての金稼ぎ場所。
「ご苦労だったの、ミネル君」
「はい。先生もお疲れ様でした~」
この素晴らしい髭の長さをお持ちなの老人はシュッサー先生。どこかの魔法学院長みたいな髭だ、引っ張りたい。
ギルドマスターからの頼みで俺は冒険者の医務員をしている。
それで目立つとあれなんで、この薬師のシュッサー先生を隠れ蓑に使わせてもらった。
薬はシュッサー先生が 回復魔法は俺が
治療する際は患者に後ろへ向いてもらい、シュッサー先生が魔法を使っているように見せて、助手を装った俺が魔法を使う。うん、完璧だ。バレていない。
この事は俺とシュッサー先生、あと冒険者ギルドのギルマスと副ギルマスだけが知っている秘密事項。
この仕事のおかげ?で血にも慣れたし、薬学にもシュッサー先生が教えてくれたので少しだけ詳しくなった。まだ調薬はやった事ないけどな。
「ほれ、今回の報酬じゃて。大事に使うんじゃぞ」
わ~い。お金♪お金♪
冒険者の医務員は意外に儲かる。怪我がつきものの冒険者が相手だからな。うひひひっ。
スキップをしながら屋敷に帰る俺。おっと油断は禁物!一回それでスリに会っちまったからな。ちゃんとお金はマジックバックへ。
「ただいまで~す!」
俺は無事に屋敷に帰ってきた。スリの奴め。あの時、奪われた金は忘れていないぞ。絶対に見つけてやるからな。
「・・・・おかえり、なさい、ミネル」
廊下からトテトテ走ってきたスザクが俺に抱き着いてきた。
お、おう。かわうぃな、チクショウ。ショタコンのお姉様達なら鼻血を出して喜んだだろう。
俺はスザクの黒い髪を撫でた。あ、なんか癒される。ナデナデナデナデナデ。
はっ!ち、違うんだ、精霊さんたち。決して浮気じゃないんだよ、捨てないでくれ~。
あれから3日。
別に何もない、平和だ。もっと暗殺者の集団がゾロゾロ来るのかと思ってた。
孤児院の友達には〝知り合いが来てるから〟という理由で遊ぶのが無理だと伝えてある。もしかしたら、この屋敷が戦場になるかもしれないからな。
暗殺者が敵なので、毎日精霊達が屋敷を見回りしてくれています。半分は遊んでるけど。
「ミネル君、いきなりなのだが俺達はこの町から離れる事にした。世話になったな、礼を言う」
晩御飯を食べ終えた後、シグマさんが真剣な表情で俺に言ってきた。隣に居るスザクが俯いている。
「それは・・・いきなりですね。何かあったんですか?」
「・・・この町で組織の連中を発見した。おそらく時期に俺達の事がバレるだろう」
まぁ近くの森で組織の仲間が死んでいたら、この町にも組織の連中を送ってくるよな。さて、どうするか・・・