027話 凄くせんべぇ食べたい
2-6.凄くせんべぇ食べたい
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「ねぇ、君は私を殺しに来たんだよね?」
「・・・・」
「私を殺す前に教えて?何で君みたいに小さな男の子が暗殺なんてしているの?」
「・・・・・・・・」
「ねぇ、お願い。答えて。何でなの?」
「・・・生きる為、食べる、お金、必要」
「生きる為?でも、なんで暗殺なの?人を殺す事をしなくても、他にもたくさんお金を稼ぐ方法があるのよ?」
「・・・オレ、これしか知らない、これしか出来ない、だから殺す」
「そう・・・だったらさ、私があなたに美味しいご飯を作ってあげるわ。毎日ね。そうしたら、もう食べる為に人を殺さなくても済むでしょう?」
「・・・毎日?美味しい?」
「そうよ。それに私、お菓子作りが得意なの。パンケーキにプリンにクッキー。たくさんのお菓子を作ってあげられるわ」
「・・・それは、美味しい、物なのか?」
「ええ、とってもね!」
「・・・・・・・・・・・・・・・分かった」
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お菓子に釣られるんかいっ!!
でも、今の俺にはその気持ちが凄く分かるぞ、スザク!俺も今、凄くせんべぇが食べたい!
敵がせんべぇの製造所だったら、俺は今すぐにでも履歴書を送っているに違いないのだ。
俺は屋敷のリビングのソファーでそんな事を考えていた。
あれから俺達は洞窟から離れ、町の屋敷に居る。
門で普通に通ればいいのに、暗殺者の二人は何でか門を飛び越えて入って来た。すんげー。
そして、今は二人とも同じ部屋で熟睡中。ほとんど寝ていなかったらしい。
攻略キャラ『黒曜 スザク』。
このキャラは、乙女ゲームでいう『ショタコン枠』。それがスザクのキャラ位置。通称『スザきゅん』
確かゲームではヒロインの主人公が16歳の時に、スザクは13歳だったはず。という事は、今のスザクの年齢は5歳か。
ノーマルエンドで『私たちは、ずっと一緒よ』の友達エンディング。
ハッピーエンドは『5年後__結婚しました』の結婚エンディング。
裏エンディングは知らん。やってねぇもん。
確か暗殺一族の統領の息子で、黒曜一族きってのエリートだったよな?
属性は『闇』のみ。でも、ある装備アイテムが手に入ったら『火』の属性も使えるようになったはず。
今回のイベントは『黒曜 スザク』か。という事は敵さんも暗殺者な訳ね、はぁ~。