025話 大爆発
2-4.大爆発
殴る。一発だけでも殴る。頬に渾身の一撃を。絶対に殴り飛ばす。絶対にだっ!!
俺は男が通った道を、風と樹の精霊達に案内してもらいながら走る。
途中で、「知らない人に着いて行くなよ」というタジルとの約束を思い出したが、バレなければ無かったも同じという最低な言い訳をして全力で走った。
遠くの方から声が聞こえてきたので、急停止。
どうやら、もっと遠くの声を風の精霊達によって運ばれてきたらしい。走るのは止め、耳に集中する。
〝生きていたとはな〟 〝その子を渡せ、楽に殺してやるから〟 〝無駄な抵抗はするな、諦めろ〟
・・・おやや?何かヤバい雰囲気がする。
・・・
よし、帰るか!
「痛い、痛い、痛い。分かったよ、行けば良いんだろう?」
止めろ、精霊達全員で俺のピンク髪を引っ張んな。将来ハゲたら恨むからな。
足音を立てないように気を付けて、ゆっくり近付く。そろ~り、そろ~り。
「お前等、恥ずかしくないのか!?あんな奴の命令に従うとは、どうかしているぞっ!」
近くの草むらから、ゆっくり覗く。あ、いた。にっくき無視男。お前も恥ずかしくないのか、助けてもらった恩人の質問を総スルーしやがって。
あっ、無視男の後ろに誰かいる?あれは子供だな。怯えもしないで・・・っていうか無表情だな、おい。
「・・・もう時代が変わったんだよ。古い考えのお前等は要らないんだ。だから・・・死んでくれ」
はーい、こいつら悪者決定!今のセリフはどう聞いても悪者に間違いない。
数は6。全員が黒い服だし、彼等?も暗殺者で決まりだな。
「・・・【大いなる木々よ・悪しき者たちの・自由を奪い・安らかな時を・また過ごそう ≪フォレスト・ウィップ≫】」
森の中といえば樹魔法が一番。樹の精霊も大量にいるからな。
不意打ちで悪かったのだが、6人の暗殺者に樹属性の束縛魔法を唱えた。
見事成功。大量の樹の根っこや蔓などで縛られた暗殺者の完成だ。
「やっと追いつきました。さぁ、一発ボクに殴られなさい!」
フードを深く被り、俺は登場した。暗殺者の奴らが何か喚いているが、こちらはどうでもいい。標的はあの無視男のみ。いざ制裁を。
「その声は・・。き、君は俺を助けてくれた子か?これも君が?」
「そうですよー。んじゃ、一発殴りますねぇ。歯を食いしばって下さ~い」
「は?いや、待ってくれ。一体何を言ってるんだ?とにかく、今のうちに逃げよう!」
「誰が逃がすかっボケェェエエ!!」
俺は渾身の一撃の為に、腕を大きく振りかぶる。だが、その時____
カチッ
は?かちっ?何の音_____
俺達の居た場所で大爆発が発生した。その大爆発に当然、近くに居た俺も巻き込まれる事になった。