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017話 闇の祠


 1-17.闇の祠



 タジルのトラウマイベントが発生した事を風の精霊達に教えてもらった俺は、すぐにはタジル達の居る場所には行かなかった。その前に調べたい事があったからだ。


 タジル達へは俺特製のお守りを持たせた。ゲームの設定で、このイベントのボスは魔王軍幹部である死霊王のはず。なら俺の主軸でもある『光』がかなり相性が良いだろう。タジル達も、あのお守りを持っているから回想ムービーの通りにはならないはず。それに彼等は冒険者ギルドでも手練れだし、すぐには殺されないと思うから少し寄り道する。


 「あっ!あった、あった。コレ、コレ」


 俺が森の中で見付けたのは、乙女ゲームにも出てきたこの『闇の祠』。俺がタジル達の所へ行かずに、こんな場所まで来たのはコレを捜す為だ。確かコレが今回、死霊王が死霊種の魔物達を集めた原因だったはず。


 確か、闇の眷属の力を溜め込んで力が増幅する『闇の宝玉』が中に保管されているんだよな。その超レアアイテムの『闇の宝玉』は魔王様から頂いたと言ってたっけ?



 ん?誰が言ってたかって?死霊王、本人だよ。



 実は、この場所に『闇の祠』がある事も死霊王本人が喋ってた。ゲーム内でな。


 ゲームの終盤に、仲間達を殺した仇である死霊王と決着する場面があるんだけど、その戦う前にペラペラと教えてくれました。


 「10年前は闇の宝玉に力を溜め込む為」だとか「この闇の宝玉は魔王様から頂いたもの。強制的に闇の精霊達を我が意のままに出来るのです!がっはっはっは!」とかな。


 あ、ごめん。〝がっはっはっは〟は嘘。あの人、そんなに元気良く笑わない。


 それで弱点も教えてくれたッス。「10年前ならば~」とかなんか言ってましたよ。でもさ、今その10年前の出来事なんだよねぇ。なるほどなるほど、そうかそうか。この祠、光魔法で簡単に壊せるのか。


 よし、どうせなら嫌味っぽく壊してやろう。今壊すのは止めて、この場所に光の精霊達を配置させときますか。


 俺のお願いに、光の精霊達が〝はーい〟と言っているかの様に手を上げて了承してくれた。さーてと、確認と準備を終えし、タジル達がいる場所へと(いそ)ぎんちゃく。



 全速力で走る事、数分。


 ありゃー、少し遅くなってしまったみたいです。タジルってば右目辺りを怪我してる。乙女ゲームのタジルと同じ箇所に怪我しているけど、これもゲームの強制力か何かかの?でも、ゲームよりかは傷が浅そう。


 でも、でもさ良かったよ。だって、皆ちゃんと生きてる。まだタジルのトラウマは発生していない。


 しかし今、タジル達の周りには黒い武器が浮遊している。あの乙女ゲームの回想ムービーにもあった状況と同じ場面だ。あの空中に浮かぶ黒い武器によって、タジルの仲間達が殺されてしまうんだ。


 でも、ゲームとは違う箇所もある。全員、体が自由に動いている。俺があげた『聖女のお守り(もどき)』が効いる様で良かった。やっぱり『闇』が主軸である死霊王の呪いには、『光』が主軸である聖女(俺)の魔力で退けられるのか。これなら俺が助けに来なくても大丈夫だったかも?


 あ、ダメダメ。ゲームの強制力を侮ってはいけない。それで痛い目にあうかもしれないし、ちゃんと『闇の祠』を壊す場面を死霊王に見てもらわないと。うむ、楽しみだ。



 「ククッ・・・では、お仲間と共に仲良く死になさい」


 おお~!!声優の○田さんの声だよ!!すげぇ!俺が小さな頃からアニメ声優をしていた人で、アニメ界では結構有名な声優さんなんだよなぁ。マジ感動!!


 おっと、それよりも____


 「実体が闇の武器なんて、光りを当てれば無くなるんですよねぇ」


 俺は、ここで『魔力の解放』を行なった。


 これ?これは、ただ体から魔力を放出しているだけ。その放出した魔力を光の精霊達が「おいしぃ~」と喜んで集まって来ている状態です。精霊達の声が聞こえる訳じゃないんだけど、精霊達の喜ぶ顔が物語っている。


 俺、というかヒロインであるミネルソフィ=ターシアの魔力は『光』が主軸。それも主人公設定が施された濃厚な魔力だ。精霊達が集まるのも頷ける。


 だから今、俺ってばすんげー光ってんだけど、本当は俺の周りに居る光の精霊達が眩しく輝いているだけなんだよ。俺の魔力が元だから、俺が光らせてると同じなんだけど。ただ、俺自身が光ってる訳では無く、俺の周りが光ってるんだ。俺は光加減を間違えた未確認発光物ではない。間違えないでね。


 これで俺はいつでも懐中電灯人間になれるという事だ。ははっ・・・自分で言ってなんだけど、ちょっとヘコむ。


 光の精霊達の「おいしぃ~」という喜びは、夜の闇を光りで明るく照らした。そして死霊王が召喚した浮遊する黒い闇の武器も、この光に照らされて次々と霧散していく。


 ・・・なんか、うん、狙ってはいたけどスイマセン。結構な闇属性の大技なのに、光の精霊達がはしゃいで出した光に霧散してしまったので謝りたくなった。



 「だが聖剣がないこの状況で、この死霊王が倒せるとでも?たかが子供の聖女が私を倒せますか?」


 黒い武器を霧散させた事へは怒っていないらしい死霊王が、俺を嘲笑うように言う。


 でも聖女・・・聖女かぁ。ごめんなぁ、死霊王さん。純正のヒロインちゃんなら見事な聖女様になっていた筈なんだけどさ、俺ってば男の子なんよ。だから、正しくは聖女では無いんよ。


 「あなたを倒すのは無理でも、嫌がらせくらいは出来ますよ?」


 よっしゃ!とうとう来たぜ、この時が!光の精霊さん達、準備は良ろしいですかな!?


 「・・・【響くは雷鳴・愚かなる者よ・嘆きなさい・貴方の罪・神々により・等しく裁かれます ≪ホーリー・デイン≫】」


 「そ、その方向は・・・待て貴様!まさかっ___!?」


 おやや、気づいた?気付いちった?慌ててる、慌ててる、ぷくくくっ。待てと言われても、もう唱えちゃったしぃ~?


 「〝闇の祠〟って、どんなに弱い光魔法でもすぐに壊れちゃうんでしょ?」


 俺の言葉の後、闇の祠があった場所に雷が落ちた。おお~、光の精霊さんすごく頑張ってくれたな。光属性の初級魔法なのに、あの威力。精霊さんパネーッス。



 闇の祠が崩れ落ちた轟音は、俺達の所まで鳴り響いた。




2017年 最後の投稿っす

天気悪いから、こたつでのんびりと。

んじゃ ヾ(・ω・ ).....

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