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148話 聖剣とはいつ会うの?


 7-3.聖剣とはいつ会うの?



   □ ■ □ ■ □ ■



 「……あの、誰かいらっしゃいますか?」


 ___………………


 「……気のせい…だったのかしら?」


 ___ここだ、ここに居る


 「…っ!?やっぱり、聞き間違いじゃなかった。私を呼んでいたのは誰?」


 ___我だ。我がお主を呼んだのだ、聖女よ


 「…え…そんな、まさか…あの、もしかして聖剣様が話しているのですか?」


 ___我は聖剣、お主をずっと待っていた


 「……私を、ですか?」


 ___ああ、そうだ。我の中央にある宝石に触れてくれ、それだけでいい


 「触れたら、どうなるのですか?危険はありませんか?」


 ___大丈夫だ、安心せよ、恐れる事など何も無い。さぁ、聖女よ。我に力を、我を目覚めさせてくれ



 聖女ミネルソフィは、台座に置かれ神々しく存在する聖剣へ近付いた。そして、そっと聖剣の中央にある綺麗な宝石に触れる。すると、大聖堂にある聖剣の保管部屋は白い光に包まれた。



   ____聖剣の覚醒だ_____



   □ ■ □ ■ □ ■




 確かに無機物が喋るのは、ちょっと……



 あ、違う違う。そうではなくて、聖剣の覚醒についてだ。


 ミネルソフィは教会の属性検査で聖女であると発覚した。そして教会に所属する事が決まり、新人の修道女であり聖女として働く事となった。


 ある日、教会の掃除をしていたミネルソフィに不思議な声が聞こえた。その声が聞こえるのは自分だけで、他の修道女や神官達は声に反応する事なく掃除を続けている。ミネルソフィは、その不思議な声に導かれ聖剣が保管されてある神聖な場所の入り口まで辿り着いた。


 立ち入りを禁じられていた場所だったのだが、ミネルソフィは自分を呼ぶ声が気になり扉に手をおいた。いつもはこの扉に鍵が掛けられていた筈なのだが、何故か今日は鍵が掛かけられておらず扉が開いてしまった。そしてミネルソフィは聖剣と出会い、覚醒を成したのだ。


 覚醒した聖剣が魔族の気配を感知し、ミネルソフィを連れて転移する。転移魔法が行なえるのは〝闇〟と〝水〟の属性のみ。聖剣は闇属性以外の全ての属性を扱える為に水属性による転移を行なった。


 攻略キャラのトラウマイベント場所まで転移し、ミネルソフィと聖剣は襲撃されている騎士団を発見する。その時、聖剣から「我を振り下ろせ、それだけでいい」と教えられ、その言葉を信じたミネルソフィは聖剣を両手でしっかりと握り、魔族達に向けて聖剣を振り下ろした。


 それが、覚醒した聖剣の力をもって終結した攻略キャラのトラウマイベントだった。



 確かに小夜さんの言う通り、俺と小夜さんが共に最大級の消滅魔法を放てば一件落着になりそうなイベントだ。


 …………………なら、聖剣くんは今の所、放置でファイナル・アンサー?


 おっと、ダメだ、ダメダメ。ちゃんと約束したじゃん、絶対に会いに行くからって。



    ____、________



 1年前、この王都ランブレスタで開催された誕生祭。その前日、王城で行なわれた前夜祭で聞こえたあの声は、確かに聖剣の声だった。ゲームでも聞いた聖剣の声と一緒で、あの有名な男性声優さんの声だった。あの声優さん、何度も海外の映画で吹き替えをしていたから聞き間違えるはずがない。


 あの日、俺は会いに行くと約束した。そういえば、いつ会いに行くとかは言ってなかったよな。……なら、やっぱり今は放置でも良いんじゃね?とか思ってしまう。それよりも今は人の命が掛かっているトラウマイベントの方を重視しないといけないし。


 まぁ、聖剣くんが必要なのは今の所、魔王への最後の一撃にだけで……そっか、魔王、殺さないとダメなのか。そうでなければ世界が消滅してしまう、俺が今生きているこの世界が。


 でも、でもさ、クリア後の特別特典にあったよな?


 ___その5. 攻略キャラに『魔王』が追加される


 確かに、そう書いてあった。だったら、魔王を殺さずに済むルートがあると思うんだ。そしたら、あの不思議に思っていた魔王が死ぬとき微笑んだ謎も解けるかもしれない。


 ……でも、問題がある。俺はそのルートを知らないんだ。


 攻略する前に、この世界へ来てしまったから。無事に高校へ合格が決まった後に姉さんからゲームを借りてクリアしようと思っていたから。失敗すれば、この世界は終わる。でも魔王を殺さなくて済むルートが存在している。どうしようか、俺。魔王を殺したくないと思っている。なぜ魔王は最後、あんなにも幸せそうな顔で死んでいったんだよ。ちょー気になるじゃんか。


 考えるのに疲れた俺は、いつの間にか眠っていた。






 次の日、太陽が昇り始め、空が少し明るくなってきていた時刻。当然、俺はまだグッスリと寝ていた。


 「ここに住んでいる〝ミネル〟と呼ばれている者!今すぐ、出てきてもらおうか!!」


 朝早く、男の大声で目が覚めた。寝ぼけている俺とは違い、同室で寝ていたフェイとカムイ君がすぐに窓辺へ移動して外を覗いている。


 「………ミネル、客だ。恰好からして衛兵と貴族の男が門の前に居るぞ」


 外を覗いているフェイが俺に教えてくれた。確か、さっき俺の名前を呼んでいたような。というか何故に大声で呼び出すの?扉をノックすれば良いじゃん。


 あ~、なるほど。先ほどフェイは衛兵が居ると言ったな。もしかして、武器を持っていてこの孤児院へは入れなかったのか。



 ……ん~、なんか凄く面倒そうな感じがするし、このまま二度寝してもいい?




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