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014話 後方支援


 1-14.後方支援



 夜空を見上げる。


 晴れた日の夜空は、とても綺麗な星々が輝く。そう、普通は。だが、今日の夜空には薄い雲が広がり、星の輝きが見えない。気温も少し寒く、身震いして手で腕をさする。


 死霊種の魔物を討伐するだけあって、それに合わせた雰囲気が作られている。


 そう、それは草木も眠る丑三つ時・・・ん?〝丑三つ時〟って何時の事だっけ?丑が三つの時・・・つまり牛が三歳って事?それとも三匹?それのドコが時刻を表す事になるのかいな?分からん。ただ気味の悪い夜を言い表したただけなのに混乱する。


 えーと、時間でいうと夜中の12時が過ぎ。つまり、次の日になりました。夜食が美味しかったです。もちろん、無料で冒険者ギルドが配布してくれた。食事は大切ですからね。



 そして、夜の闇を明るく照らしていた月が雲に隠れた時、とうとう作戦が決行された。


 何人かの先行部隊による報告で、依頼にあった魔物達が墓地に出現したと知らせが入り、冒険者達に緊張が広まる。急いで戦闘準備をし、冒険者達が村外れの墓地へと向かって行った。


 辿り着いた墓地には、死体やら鎧やら幽霊やらがウジャウジャ居る。遠目にだが、生ゾンビ見ちゃった。感動よりも吐き気が凄い。あんなに沢山のゾンビが・・・夜食を食べるんじゃなかった。でも無料だったし・・・ウプッ。


 作戦の決行は夜中だろうと分かっていた。今回の魔物は死霊種だ。奴等は夜でなければ活発には動かない、というか動けない。例外としては薄暗い洞窟や遺跡の中では動けていたけど。


 討伐作戦に向かうタジル達を元気よく手を振り、無事を祈りながら送る。タジル達も、俺へと手を上げて目的地に向かって行った。







 「いてぇ。いてぇよぉ」


 「俺の、俺の腕がぁぁあああ」


 「誰か!誰か回復薬を早くっ!!」


 今回の討伐作戦で体を負傷した冒険者達が次々と運ばれ、彼等の叫びがテント内に響く。血だらけの冒険者、走り周る治療師、轟く悲鳴。まさに戦場だ。


 ゲームとは違うのがコレだよな。テントに充満する血の匂い。ゲーム画面からは血の匂いなんてしないし、ちょっと気持ち悪くなってきたかも。



 「はい、もう大丈夫ですよぉ。次の方どうぞ~」


 俺は、戦場の後方にあるテント内で負傷者の治療を行なっていた。俺が担当するのは軽傷者だけなので助かった。向こうのテントで叫ぶ重症者は、ぶっちゃけグロいッス。


 タジル達には色々、役立ちそうなアイテムを渡してある。それに、もしもの為に精霊達にちゃ~んと見張りを頼んである。もしタジル達のチームが本隊から離れたら知らせてくれるように。


 今、タジル達の傍に居なくてもいいのか?と思うよな。でも俺、子供だからさ。6歳の子供が戦場に出るのは少し難しい。今回の討伐作戦を指揮るギルマスが絶対に許さないだろうし。それに今回、俺に求められているのは負傷者への治療だ。今、放置して何処かへは行けない。でも精霊達から知らせが来たら、ギルマスにバレないようにコソッとタジル達の元へ向かうつもりだ。


 「はい、治りましたよぉ。次の方どうぞ~」


 「子供だと!?こんな子供に治療なんて任せられるかっ!」


 「お前の感情なんてどうでもいいから、さっさと傷見せろやでございます~」


 まだ精霊達からの知らせが来ていないという事は、トラウマイベントはまだ発生していないという事。しかし、必ず起こるだろう。それがゲームの強制力ってやつだ。


 「はい、完治しましたよぉ。次の方どうぞ~」


 「ちっ、お前かよ。本当に治せるんだろうな?」


 「文句言ってる暇あるなら、さっさと傷見せろやでございます~」


 聖別した塩は効いているだろうか?呪いに関してはお守りをタジ達に渡した。あれは『聖女のお守り(もどき)』というアイテムで、お守りの中に俺の髪の毛が一本入っている。光の女神から加護を頂いた俺の髪を7日間ほど光魔法で聖別化をさせた物だ。状態異常の攻撃に免疫がつく・・・・はず。


 「はい、再生完了ですよぉ。次の方どうぞ~」


 「あの、よろしくお願いします。お金はありませんが、治して下さい」


 「金取ったらギルマスに殴られるだろうが。いいから早く傷見せろやでございます~」


 俺まだ6歳なのに、こんな夜に働かせて良いのかな?さすがヒロインちゃん設定なので魔力に余裕あるのは助かるけどさ。他の治療師は休んでいたり、回復薬に頼ったりしているのにな。そのせいで休まずに治療を続けている俺は周りから目立ってるが、ローブを深く被ってるので大丈夫だ。


 「はい、治療終わりましたよぉ。次の方どうぞ~」


 「おい、休まなくていいのか?」


 「これはヒドい。顔の偏差値がゴリラ並みでやんのでございます~」


 うむ、今まで見たどのゴリラよりも厳つい顔をした男が俺の顔を覗き込んできた。なんて重症なのだろう。こんなゴリラ顔になってしまう呪いを受けるとは哀れな。俺に治せるのだろうか?



 ゴンッ!!!!  「痛いっ!?!?!?」



 ぐぉおおお!頭がっ!頭が割れるかと思ったぞ!何しやがる、ギルマス!イテェじゃねぇか!


 あっ、こいつギルマスじゃん!という事はゴリラ顔は今回の討伐での負傷ではなく生まれつきか・・・哀れな(泣)。


 「ったく。バンバン怪我した奴等を治し続けているから心配してやったのに、ゴリラは酷ぇんじゃねぇか?ああ?」


 怖いゴリラさんが怒ってきたので、素直に「ごめんなさい」とゴリラさんに頭を下げる俺。


 あ~、なんか治療魔法を使い続けるという作業を繰り返していたら、飽きて違う事を考えてた。遠くの方では冒険者の痛々しい叫び声とか血の匂いとかがあるせいで、無我の境地へと突入してしまったのかもしれない。



 おや?ちょうど風の精霊達が俺の所にやってきたし、休憩しようかな。精霊達が知らせに来たという事はとうとう始まったのか、あのイベントが。




今日は餅つき行ってくる。

クリスマスの様な寂しい思いはしないはず?

よし 行ってきやす (`・ω・´)ゞ

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