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133話 ※アンジェラ※ Prt.4

※注意※


この話にはちょいとだけ「残酷な描写あり」があります


苦手な方はご注意ください m(_ _)m



 6-18.※アンジェラ※ Prt.4



 ※ ※ ※ 悪役令嬢 アンジェラ=K=モンテネムル 視点 ※ ※ ※



 明日は、この王都ランブレスタで毎年行なわれている大きな祝祭が開催される。


 ランブレスタ現国王が誕生した日を祝う行事。なので、王都中が賑やかに騒ぎだす。


 その前日、つまりは今日の夜に王城で前夜祭が開かれる。もちろん、エルナルドの婚約者である私も絶対に参加しなければならない。


 そして今日を入れて四日間、夜では王城にて華やかなパーティーが開催される。正直、肩がこりそうね。


 王城で開かれるパーティー、さすがに城で働く者達が忙しそうに動き回る姿が見えた。まぁ前世の私も、このくらい盛大なパーティーは経験済みで慣れているのだけどね。アンジェラに転生してからも王族の婚約者として社交界の交流を何度も体験しているので緊張なんてしないわ。



 とうとう前夜祭が開催され、続々と招待客が王城へ豪華な馬車と共にやって来る。王城に用意された私の部屋にある窓からは、馬車が次々と城へ入って行くのが見えた。今頃、パーティーのスタッフ達は大忙しでしょうね。今回の招待客は名のある人物だらけだから待たせるなんて事は許されない。素早く対処できてこその一流よ。


 さて、あれから数時間。招待客も集まったらしく、ランブレスタ王家の登場する時間となりました。私も第2王子の婚約者として王族の皆様と一緒に会場へと入ります。横に居るエルナルドは嫌そうな顔を見せずに、私が彼の腕に手を回しているのを耐えている。貴族達や他国の王族達が居る場なので、仕方なく笑顔を作っている感じです。


 会場への扉が開かれ、私達は少し遠くにある王座の場所まで空けられた招待客の間を歩いて行く。私は直ぐにパーティーに参加しているであろう秋斗君を捜し発見できた。やっぱり、ヒロインのピンク髪は目立つわね。他にあんなピンクの色をした髪なんて誰も居ないし。


 でも、すぐに私が秋斗君を発見できたのには違う理由があるみたい。何故か分からないけれど、周りの貴族達から秋斗君は注目されているみたいだから。でも、なんで?もしかして公爵位であるレギオールにエスコートを頼んだのは失敗だったのかしら。


 そう思った私だったけど、秋斗君が持つお皿を見てその理由を確信しました。



 ・・ねぇ、秋斗君?その馬鹿みたいにお皿に盛られた肉料理は何かしら?



 フリフリ薄ピンクのドレスを着た小さな女の子(♂)。その可愛い女の子の手にあるのは、お皿に山と盛られている肉料理。・・・ふふふ、そうよね、そんな物を持っていたら目立つに決まっているわよね。私でも二度見する自身があるわ。


 あ・と・で・お・し・お・き・よ (ニコリ)


 そんな意味を込めた私の笑顔に、恐怖したのか秋斗君がプルプル震えて私から視線を外した。まったく秋斗君は、面白い展開を期待して紳士の方に声を掛けられたらと女装してもらったのに。全然違う意味で、それも最低な理由の目立ち方をするなんて信じられないわ。私のBなLの期待を返して頂戴。



 そんな私にBL神の奇跡が舞い降りた。



 王座まで辿り着き、用意された椅子に座ると同時に隣に居たエルナルドが勢いよく立ち上がった。彼が一心に見詰めるのは1人の令嬢・・の格好をした秋斗君だった。


 キタキタキターー(゜∀゜)ーーー!!!


 これよこれよ、これなのよ!私が期待し、心躍る展開はっ!まさに現実版シンデ○ラ!さぁ、行くのよ王子エルナルド!秋斗君の元へ行き、中央広場で一緒にダンスを踊り、夜空に星々が輝くバルコニーで愛を囁きなさい!


 BLイベントの展開にムフーと興奮した私だったけど、残念な事にへたれエルナルドは動こうとせず王妃様に注意されて素直にストンと椅子に座ってしまいました。あ~あ、しょんぼり・・・




 それからは無事にパーティーは続き、心地良い音楽が会場内で流れ、中央では国王様を祝う為に行なわれているダンスを楽しそうな男女達により繰り広げられている。


 そして私達の居る王座には、ずっと途切れる事のない王へ挨拶する為の列が続いている。皆がほとんど同じ言葉で、さすがに飽きてしまったわ。


 だからといって、もう一度エルナルドとダンスをしようなんて思わないけどね。それなら笑顔で大人しく座っている方がマシ。お腹が空いたけど、コルセットをしているから飲み物しか口に出来ない。残念だわ。


 ・・・そうだ、秋斗君にもコルセットを着ければ良かったのよ。そうすれば、あんな肉料理を盛るだなんて行為をせずに済んだはず。次回からはそうしましょう。


 そういえば秋斗君が見当たらないわね、何処へ行ったのかしら?レギオールはずっと中央で貴族の御令嬢達と踊っているのだけど・・・・何かしら、秋斗君が見当たらないだけで何か嫌な予感がヒシヒシと・・・


 「ランブレスタ国王陛下、お初にお目にかかります。日ノ国で姫巫女をさせて頂いております、カグラ=シノノメと申します。この度は、ご招待して頂きありがとうございます」


 日ノ国・・確かスザきゅんの生まれ故郷の場所よね。


 私は気になって彼女、カグラと名乗る人物を見てみました。長く綺麗な黒髪で、私よりも幼そうな女の子。着ている衣装は東洋の神職が着ている様な服装だった。


 でも〝カグラ=シノノメ〟・・・か。つまりは『東雲 神楽』という名前かしら。


 カグラと名乗る日ノ国の姫巫女様は国王陛下と話した後、何故か私と目が合いました。そして、私の方へと足を進めてやって来る。


 「お初にお目にかかります、聖女アンジェラ様。私は姫巫女、カグラ=シノノメと申します。突然、話し掛けてしまい申し訳ありません。1つだけ、どうしても貴女様にお伝えしたい事がありまして、お許し頂けませんでしょうか?」


 「ええ、初めまして東雲様。何か私に伝えたい大事なお話がおありでしたら、かまいませんわ。どうぞ仰って下さい」


 つまり大した話で無いならば聞きませんよ、と暗に込めてみたけどカグラと名乗る姫巫女は真剣な顔をして私に言いました。


 「ありがとうございます・・・アンジェラ様、貴女様にこれから不幸な出来事が訪れます。でも決して我を忘れないで下さい。きっと光が助けになりますから」


 「それは・・・占いか何かでしょうか?」


 「いえ、これは予言です。詳しい事までは未熟な私では分かりません。〝不幸が訪れる〟だなんて不吉な言葉を口にして申し訳ありません。ですが、どうかお気を付けて下さいませ」


 「・・・ええ、ありがとうございます。分かりましたわ」


 〝気を付けて〟・・・ね。この王城へ来てから、ずっと気を付けているわよ。私に暗殺者が送り込まれたという情報を陛下から知らされてから、ずっと用心深くね。王家も警戒して私の傍には騎士団長様が常に付いて頂いていますし。


 でも、〝不幸が訪れる〟・・・か。私は自分が死ぬとは思っていないのよね。悪役令嬢アンジェラが死ぬのは16歳の時。聖女ミネルソフィの仲間である攻略キャラが持つ聖剣によって貫かれ殺される。


 こんな乙女ゲームの設定が壊れてしまっている世界でも、何故か物語とは違う死に方をするなんて無いと思ってしまっている、不思議だわ。まぁ、ゲームの物語通りに死ぬつもりも無いけどね。だからこそ、このゲームに似た世界の設定をブッ壊すって決めたのだから。


 姫巫女は私に一礼をした後、立ち去って行きました。不吉な予言を私が言われても、隣に居たエルナルドは興味が無い様だったわね。




 パーティー中に、ある騒動が起こった。王城の東側にある庭園で光の上級魔法の発動が感知されたらしい。


 騎士団と衛兵が調査をしているらしいけど、詳しい情報が私には入ってこなかった。でも、上級魔法の発動なのだから何か不穏な出来事には変わりない。でも属性が〝光〟って・・・嫌な予感がするわ。


 そして、私の傍に待機していた騎士団長様の元に部下の人が来て何かを話し掛けてた。その後、団長様はその部下と共に何処かへと行ってしまいました。騎士団長様の代わりとして部下を私の傍に置いたみたいだけど、この人はどうにも頼りない感じがするのは私だけかしら。


 「これよりランブレスタ国王、ユナイセル=C=ランブレスタ陛下よりお言葉があります。皆様、どうかお静かにお願い致します」


 このパーティーの主役であるランブレスタ国王陛下。金の髪が綺麗に輝き、あの青い瞳が気品と勇ましさを感じさせる素敵な国王。さすがは乙女ゲームの王道攻略キャラであるエルナルドの父親、完璧な容姿だわ。


 ユナイセル陛下は椅子から立ち上がり、近くに用意された音声拡大魔道具がある場所へと進んで行く。パーティーの参加者達は静まり、国王陛下のお言葉を待つ。


 「本日、この様な深き夜に集まって頂いた事を嬉しく思う。明日は私が生まれた日、このランブレスタ王国が更なる発展、そして栄光ある未来へと進む事を約束しよう」


 静かな空間に、国王陛下の力ある声が響く。隣に居るエルナルドも父の姿を誇らしく見ている様ね、次の後継は貴方なのだから良く見ておきなさい。


 「この会場に集まって頂いた良き友たちに、私から心より感謝の言葉を贈ろう。そして____」



   バァァアアンッ!!!



 国王陛下の言葉の最中に、窓辺にあった花瓶が何個も爆発した。


 女性の悲鳴、男性の驚く声、国王陛下を守ろうと騎士団員や衛兵達が壁となり騒ぎ出す。華やかパーティーが、いきなりの出来事により一瞬で騒然となってしまった。


 私もかなり驚いたけど、冷静に闇属性の防御膜を自身に張る。今回の暗殺の標的は私、注意しておかないとね。



 「アンジェラ!!」


 レギオールの叫び声が聞こえ、その方向へ顔を向けた時、私に5本の槍が向かって来るのが見えた。


 投げたのは王城を守る衛兵の格好をした男達。こんな簡単に暗殺者達が会場内に紛れ込んでいるだなんて信じられないわ。城の警備を一新した方が良いんじゃないかしら。


 でも残念ね、その程度で私の防御膜を貫通させるのは不可能よ。



 「・・・・がはっ!!」






 ・・・・・・え?






 急に私の前に飛び出して来た男性が居た。私に放たれた5本の槍が全て、私の前に立ったその男性に突き刺さる。背中にまで槍が貫かれて、私の頬にまで血が飛んできた。


 ゆっくりと男性が横に倒れる。私はその後ろ姿で、槍に貫かれて倒れる男性が誰か分かってしまった。貫かれた男性が倒れるのをスローモーションに感じる。私は動く事が出来なかった、頭で理解するのが出来なかった。


 「・・お・・・とう、様・・・?」


 私の前に立ち塞がった男性は、乙女ゲームで悪役令嬢だったアンジェラの実の父親。ローダリス=K=モンテネムル公爵。



 つまり、この世界での、私の、父親。



 「お父様っ!!」


 私はやっとの事で現実を頭で理解でき、この世界で私の父親となった人物に近寄った。どうして、どうして庇ったのよ。私はあの程度では殺されない。なのに、それなのにっ!!


 「・・・・アン、ジェラ・・・無事・・か・・・・」


 床に止めどなく流れる赤い血。騎士達が武器を構え、貴族の女性達が叫び声を上げ、他国の者達が騒ぎだす。遠くの方で国王陛下の治癒師を呼ぶ声が聞こえた。


 「・・・よかっ・・・・私の・・可愛・・い・・娘・・アンジー・・・・」


 私の頬から落ちた涙と、お父様の涙が混じり合う。そして、お父様が私に触れようと持ち上げられた手が力を無くして床に落ちた。


 「お、お父様?お父様、ダメ、ダメよ!死んじゃダメ!!」


 私が呼びかけても、虚ろとなった目が私を見る事はなかった。お父様の口が、もう微笑む事は無かった。




   そして 私は ブチ切れた




   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




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