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128話 助けて、ヒーロー!



 6ー13.助けて、ヒーロー!



 「ちょっと貴女、聞いておりますの?」


 「ピンク髪で頭が悪そうですのに、耳もお悪いのかしら?お可哀想にねぇ」


 「ブスの分際でレギオール様の隣に居て、腕まで組むなんて。あぁ、嫌だわぁ。なんて恥知らずなのかしら」



 俺の前で色とりどりのドレスを着た可愛らしい小鳥達がピーチクパーチク鳴いています。うん、可愛い・・・ごめん、やっぱ嘘、怖いッス。


 王城の警邏を自主的に行なおうと会場から出た俺だったが、ガブガブとジュースを飲んだせいか本当にトイレへ行きたくなってしまった。レギオ大正解、トイレ何処だ?


 王城を警備していた騎士団の人にトイレの場所を聞いて、そこへ向かった。無事にトイレを発見して入ろうとしたのだが、そこで難問が俺を襲った。


 俺って、どっちのトイレに入れば良いの?


 トイレに行きたい。でも今、俺は女装中。・・・どっちに入るのが正解だ?というか女子トイレに入る覚悟なんて俺には無いぞ。


 いや~、こう思うとオカマの皆様はどっちに入っているのか気になってきた。女子トイレに入れば警察沙汰。男子トイレに入れば痴女扱い。う~ん、これは混浴風呂みたいに混性便所みたいなのが在れば良いのに。


 なんて事をトイレの前でモンモン考えていたら、女の子達に腕を捕まれ引っ張られていった。意外に握力があったのにはビックリだ。


 隠される様に御令嬢達に囲まれ、綺麗な庭を通り、何処か分かない廊下で俺はドンと押された。壁に顔面を打つ俺、痛い・・・。額をスリスリ触って周りを見れば、少し薄暗い廊下で他に人は居そうになかった。


 後ろを壁にして前を見る。その前方には、俺を取り囲みクスクス笑う令嬢達の姿。そして始まった、俺への罵声超合戦。



 そうなんです。俺、逃げられなかったッス。すんません、助けて下さい。



 こういう時ってどうすれば良いのだろう。笑うのはダメ、それは俺でも分かる。じゃあ、「きゃあ」とか言って倒れてみる?もしかしたらヒロイン設定でヒーローが助けてくれるかも。


 あ、ダメだ。それは、やっぱ無理。恥ずいし、男が「きゃあ」と言うのは難易度が高い。


 〝今さらw〟とか思う人もいるだろう。レギオと腕を組み、女性言葉を喋っていた俺に今さら何?って。でもさ、男が女にイジメられて「きゃあ」と言うのはやっぱ嫌だわ、うん。


 じゃあ・・・泣く?俺は今、俳優だ。きっと、たぶん、おそらくは嘘の涙が出てくれて令嬢達を騙せるかも。でも女にイジメられて泣く男ってのもなぁ。


 う~ん・・・あっ、思い出したぞ。ドラマか何かで見覚えあるわ、この状況。たしか____



   ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○



  第128話 「ミネル 不良に遭遇する」


 此処はホニャララ高校の体育館裏。俺はそこに連れ込まれてしまった。


 「あぁ~、痛いですわぁ。貴方がブツかったせいで、私の肩が外れてしまいましたの~」


 俺を取り囲むのは上級生のA子さん、B子さん、C子さん、D子さん、AB子さん、エビ子さん達。この学校では不良の女として有名な人達だ。


 「ご、ごめんなさい」


 メガネっ子な俺はビクビクしながら謝った。内気で、暗い性格で、転校生で、親が超お金持ちの俺は恐怖で震える。


 「〝ごめん〟でお済になるのならば警察などは必要ありませんわ。そうでしょう?なら・・・お分かりになりますわよね?」


 俺は震えながらカバンから財布を出し、中にあったお(さつ)を彼女達に渡した。俺は友達は居ないが金はある。


 「まぁ、お分かり頂けて嬉しいですわぁ。・・・でも、お待ちなさい。貴方、そこで何度か飛び跳ねて頂けるかしら?」


 と、飛び跳ねる、ですか?わ、分かりました。


   ピョン ピョン     ジャラ ジャラ


 俺は素直に従った。するとポケットから金属の音が響いた。


 「やっぱり、まだお金をお持ちのようね。隠しても無駄ですわよ?さぁ、全部お出しなさい」


 「・・・・・・はい」



   ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○



 ____これだ!


 なるほど、金か。金で怒りを収めて頂くという方法があったか。しかし、平民の俺から金を巻き上げるとは、なんて酷い奴らだ。貴族の令嬢は残酷である。


 だが、それには問題があった。なんたって俺は本当に今、全く金を持っていない。その証拠をしかと、御令嬢の皆様達に聞いて頂こうではないか。そして括目せよ、俺の華麗なるジャンプを!



   ピョン ピョン



 「・・・・・貴女、何をしておりますの?いきなり飛び跳ねるなんて意味が分かりませんわ」


 あんれ~?金の音は確かに鳴らなかったから、俺が無一文だとお分かりになったはず。哀れんでくれるかな?とか思ったが、逆に目が吊り上がってお怒りになったみたいだ。何故に?


 そうか、しまった!カツアゲする金が無いのだから怒ってしまったんだ!くそっ、貴族のクセになんてお金に貪欲な奴等だ・・・あれ?俺ってカツアゲに会っているんだっけ?


 なんだっけ、この状況。妄想の世界と混濁して分からなくなってきた。というかトイレに行きたいッス。



 「レギオール様に貴女は相応しくありませんわ。レギオール様にはエリザベート様という立派な女性がおりますのよ?貴女如きが一緒に居て良い相手では無いの」


 エリザベート様?誰だそれ??


 「公爵令嬢であるエリザベート様と公爵子息のレギオール様。どお?お似合いだとお思いになりません?」


 「貴女みたいなブスで、礼儀知らずで、ダンスの才能が無い存在は早く去りなさい。邪魔なだけよ」


 へぇ、公爵令嬢。でも、レギオには婚約者が居ないと聞いたのだけど。そもそも、婚約者がいたら俺のエスコートなんてしないだろうし。もしかして自称婚約者?


 「本当はエリザベート様には次期王となられるエルナルド殿下と結ばれて欲しかったのですけど」


 「ちょ、ちょと、それは・・・」


 赤い小鳥が鳴いた声に、青い小鳥が反応して止めようとした。


 「いきなり聖女として周りからもてはやされて、のうのうとエルナルド殿下の婚約者になったお方がいますからね。・・・あの女が聖女というのも怪しいものですわ」


 「セ、セリーナさん、さすがにそれはマズイですわ。アンジェラ様を聖女とお認めになったのは陛下なのですから、誰かに聞かれては不敬となってしまいます」


 「でも、貴女もそう思いますわよね?」


 「・・・・・はい」


 「それに安心なさい。今、この場所に騎士の方は居りません。この女に聞かれたとしても証拠がありませんから罪にはなりませんわ」


 「そ、そうですわね」


 小夜さんって、もしかして貴族令嬢から嫌われているのかな?それとも、この小鳥達がエリザベートなる人物を崇拝しているだけ?そんな事より、トイレ行きたいッス。


 でも〝アンジェラが聖女なのか怪しい〟って、それは無いわ~。俺がどんだけ頑張って第一回女装劇場を行なったと思っているのさ。偽者とバレない様に聖女アンジェラを演じた俺の努力のおかげで王都中から疫病が無くなり、アンジェラが聖女だと騙せた__認知させたというのに。あっ、トイレ何処だっけ?


 この令嬢達は、たぶん普段は王都に住んでいないのだろう。俺がこの2年、王都でどれだけ聖女アンジェラの株を上げたと思うよ。聖女様人形も聖女様クッキーも売り上げがうなぎ上り。俺の給料もうなぎ上り。それなのに聖女か怪しいだなんて言うとは、どれだけ情報収集が足りんのよ。そろそろトイレ行って良い?



 俺の事を思って、精霊達がトイレのある方向を指差している。精霊達と心が通じたみたいで嬉しい。でも、出来ればレギオを呼んできて欲しいッス。


 「ふふっ、何処を見ているのかしら?残念ですけど助けなんて来ないですわよ?諦めなさい」


 違うんです、そっちにトイレがあるんです。


 「そんなに震えてしまって、滑稽ですわぁ。レギオール様に御近付きになろうとしなければ、そんなに怖い思いをしなくてお済になったでしょうに。自分の愚かさを知りなさい」


 違うんです、おしっ○を我慢しているだけなんです。


 「ねぇ貴女、もうお城から去りなさい。そしたら____」


 「こんな所で、御嬢さん方は何をしているのかな?」


 小鳥達の後ろから男性の声がした。小鳥達はその声を聞き、動きを止めて後ろを振り向いた。


 とうとう俺のヒーローが助けに来てくれたのか!?これで、やっとトイレに行けるのか!?今なら非常事態だから女子トイレにも気にせずに入れるような気がする。


 「一人を取り囲み、嘲笑うのは良くないと私は思いますが?」



 ・・・・え?なんで貴方がココに居るのですか?



 俺を助けに来たヒーローは黒い髪に赤い瞳をした壮年の男性。黒の紳士服を着こなして、御令嬢達に微笑んでいる。


 突然現れた高身長で、見た目が格好いい大人の男性に令嬢達は顔を真っ赤にして慌てだした。でも、俺だけは唖然と助けに現れた男性をガン見した。あっ、カッコイイからって運命の出会いを感じたとかじゃ無いからな。


 じゃなくて!あれ?ここは王都ランブレスタの王城だよな?何でセイリュウさんがここに居るの!?



最近、忙しいです

平日の投稿は無理かもしれません

申し訳ありません m(。≧ _ ≦。)m

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