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101話 ※騎士団長※ Prt.1


 5-14.※騎士団長※ Prt.1



  ※ ※ ※ 攻略キャラの父親 騎士団長 ??? 視点 ※ ※ ※



 私は、このランブレスタ王国を守護する騎士団に所属している。


 私の父も祖父も、騎士としてこの国を守ってきた伝統ある家柄だ。私の息子にも是非、騎士になってもらいたいと思っている。


 私はこの国の為に、たくさんの魔物や悪党の命を奪ってきた。その生命のせいで、苦しむ者や悲しむ者が居るのであれば無慈悲にその命を奪ってきた。


 そんな私でも、まだマシな方だった。私の父の時代では他国との戦争が起きていたからだ。国からの命令で殺し合う、ただ剣を扱えるというだけで。生まれた場所が同じだったならば、共に酒を飲んでいたかもしれない者達との死闘など私はしたくないと思っている。



 悪しき者の討伐を繰り返した私は、いつの間にか騎士団の中で一番の剣の使い手となっていた。そして騎士団で一番の責任者でもある騎士団総隊長に国王陛下から任命される事となった。


 その当時の国王陛下は私の親友の親である為に、何度かお会いした事はあった。そして、今では親友も国王陛下から無事に『国王』の座を継承した。王位継承である戴冠式の警備は忙しかったが、無事に終えてた事に安心した。



 それから幾年が過ぎたか、お互い愛する妻との間に頼もしい息子を授かった。王族や貴族にとって、男児は必要不可欠だからな。まぁ、生まれなくとも養子縁組という手もあるのだが。


 親友である国王のアイツも、この国の為に働く良き王だ。


 他国との戦争も起こってはいない、この国にある村や町の者達にも愛される王となっていた。私は、それがとても誇らしい。


 親友が治めるこの王都は、まだ平和な都とは言えない。


 旧市街の再整備も必要なのだが、もっと厄介な場所がある。その場所は旧市街よりも、さらに奥深くに存在する。



 『貧民街』



 この場所は王都の一番の闇とも云われている。人の死が当たり前な毎日だと聞いた事があった。私も足を踏み入れた事は一度だって無い。


 闇の住民とも云われる貧民街の者達は、このランブレスタ王国では住人だとは思われていない。私の親友は、その『貧民街』をどうにかしたいと昔から言っていた。


 自分が愛する、このランブレスタ王国の皆が平和に暮らせる楽園にしたいと。








 「・・・すまない。確認の為に、もう一度報告してもらえるか?」


 今日も、いつもと同じ『大聖堂消滅事件』についての報告書を整理していた時だった。


 私は目の前に居る、信頼する私の補佐役である副隊長に尋ねた。先程、副隊長から聞かされた緊急の知らせが聞き間違いであって欲しかったからだ。


 「はい・・・今しがた大通りの治療院から緊急の知らせが届けられました。この王都で病を発症した者が多数確認され、今でも増え続けているとの事です」


 「・・・聞き間違いであって欲しかった」


 「続けます。病を発症した者はおそらく王都中に居るらしく、動けない者さえ居るとの事。なので騎士団への助力を要請されました。国王陛下へは違う者が報告に。なので隊長も急ぎご準備を」


 「分かった。それで、病の原因については?」


 「まだ不明だそうです。治療院では原因究明の為に緊急会議を行なっているとの事です」


 多数の病人。それも動けなくなる程の病が広まり、おそらくは王都中に発症者が居るだと?貴族街は無事だろうか?妻や息子は・・・


 私は上着を整え、外へ出た。外には騎士団の隊員達が慌ただしく動いている。緊急召集の為に、この混乱は仕方がない事だが。


 準備が整った隊から出発する事となり、私も向かった。


 向かう場所は大通りにある一番大きな治療院だ。緊急の知らせを届けた者も、この治療院から来た者だったな。


 その治療院へ向かう間にも、多数の苦しむ者達が居た。病で動けない者達を騎士達に補佐をさせて一緒に向かう。そして、大通りの治療院へと辿り着いた。


 辿り着いて・・・私を含む騎士団の隊員達は絶句した。



 まるで、戦場。


 大型の魔物討伐の時、怪我を負い、混乱し慌ただしい救護隊詰所と同じ光景が其処にあった。しかし、そこに居るのは戦場のように剣を扱う戦士達では無い。戦いを何も知らない、私達騎士が守るべき国民という存在だった。



 その光景は、まさに地獄。


 苦しむ母を揺すり泣き叫ぶ子供。若い男性に泣きながら必死に呼びかける若い女性。我が子の名を叫び続ける夫婦。



 私達は誰しもが固まってしまった。此処は王都だ。こんな光景は、あってはならない事だった。


 若い隊員から〝ゴクリ〟という喉を鳴らす音が聞こえ、私は我に返った。


 「全隊員!救助を一番に考え動け!王都中で動けなくなっている病人がいる可能性が高い為、見つけ次第ここへ連れて来い!散開!!」


 騎士団員に命令を終えた私は、急いで治療院の中に居るであろう院長の元へと走った。


 外もそうだったが、院内もまさに大混乱だった。泣き声と苦しむ声が多すぎて訳が分からない。



 数えられない程の患者の間を、どうにか通り抜けて見付ける事が出来た。この治療院で一番の責任者、その名が広く知られる治癒術の使い手である院長の『ゼスルス先生』だ。


 私は彼の元へと急いだ。何人かの病人達から「助けて」と呼ばれても、彼の元へと向った。本当にすまない。


 「ゼスルス先生、ゼスルス先生!状況を!この状況を説明願います!」


 忙しそうなゼスルス先生だったが私の声に気付き、こちらへ向かって来てくれた。


 「騎士団長様、ここは今や病の巣窟です。どうか貴方様は外へ」


 「そんな事を聞いているのではありません!これは、もしや・・・考えたくはありませんが『疫病』なのですか?この王都で」


 そうだ、私が考えられる中で一番の恐怖はそれだった。食中毒なんて生易しいものでは無い!


 「・・・声が大き過ぎます、騎士団長様。どうぞ、こちらへ」


 焦る私の声にゼスルス先生が注意して、患者が少ない方へと導く。


 くそ、しまった。私とした事が。病に罹り、大勢の国民達が周りに居るというのに不安にさせる言葉を言ってしまった。本当に情けない、落ち着かなければ。



 私とゼスルス先生は誰も居ない廊下へと向った。そこにある窓からは、外で走り周る騎士団員と、苦しむ人々、心配し涙する者達が見えた。


 その光景に、私の顔は歪む。守らなければならない対象が、こんなにも苦しんでいる。それが、とてもツライ。


 「ゼスルス先生、それでこの病の原因は・・・」


 「そうです、騎士団長様。貴方様が仰った通り、これは疫病。発症者の検査をしましたので間違いありません」


 「やはり・・そうでしたか。当たってほしくは無かった。それで、治療は可能ですか?」


 「ええ、この疫病は『スザナ病』と呼ばれるものです。これの治療薬と対処法を、師匠であるシュッサー先生より私は教わっております」


 「おぉ、なら____」


 「しかし!・・・しかしです。いくらなんでも感染者の数が多すぎます。備蓄した薬では半分も助けられないかと・・・」


 今・・・今、ゼスルス先生は、なんと仰られた?い、いや確かに聞こえたが、理解が・・・



 半分も助けられない?半分以上も、守るべき国民達が、死ぬ、というのか?



   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




久々の(名前だけ)登場

見事なヒゲの持ち主 シュッサー先生!

割と好きだな 長いヒゲの老人 c(>ω<)ゞ

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