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9話

 アサルトライフルとは文字通り突撃の為に使われる銃だ。特にこのソ連製突撃銃は命中率よりも連射と動作の確実性に特化したものである。


「キィエェェェエェェエイッ!!!」


 彼我の距離が20メートル程でも聞こえる残党軍の気声。手にはナタみたいなデカい剣。一撃で騎馬を叩き斬っていた。格好はなんか朝鮮半島の大河風ファンタジードラマに出て来る兜やら鎧やら。


「クソッタレがぁ!!

 何だあの攻撃魔術は!!一瞬で魔物が死にやがったぞ畜生!!」


 そしてガチオコぷんぷん丸ですわ。なんか、近付くもの皆殺しみたいな雰囲気で騎馬隊も慌ててソイツだけを避けて走っていく。止まらないのはどう考えても走って抜いて行ったほうが被害が無いという的確な判断なのだろう。

 勿論、功名心から打ち取りに行って返り討ちにあってる奴らもチラホラ。


「あん?」


 どうしようかと考えていたら向こうがこっちに気が付いた。ヤバッ!


「テメェか!

 俺のごb―――


 取り敢えず、銃弾を一発胸に打ち込む。弾丸は胸を貫いて背中から抜けた。残党はそのままもんどり打って地面に倒れる。血の広がりとかがあんまり無い。


「弾丸一発で死ぬと思うか?」

「思いませんネー」

「俺もだ」


 セミからフルオートに替えて指切りで弾を撃ち込んでやった。反動を上手く吸収しきれてない感出てるが、素人にしちゃ十分だと褒めてやりたい。どっちかと言うと木下に褒められたい。頭ナデナデされたい。木下可愛過ぎぃ……好きぃ……

 同時にジャンヌもゴウと炎を浴びせる。残党は炎が着くとうぎゃあとのたうち回りだした。やっぱり。

 弾があっという間に切れたので、俺はAA-12自動散弾銃を取り出して12ゲージのスラグ弾を20発叩き込んでやった。スラグ弾を全部叩き込む前に既に動かなくなったが、正直者怖すぎて近付きたくない。

 ジャンヌを見ると残り火に向って油を注ぎ足す。


「動かないデスネ」

「うむ。

 木下に発破して貰おう」

「それがイイデスネー」


 左手に新しいAA-12を取出してから、右手に信号拳銃を取出して空に打ち上げる。ゴブリン達は既に完全に敗走しております無事だった騎馬隊によって散り散りに落ち散らされている。

 そして、俺の信号弾で徒士の連中が突撃を仕掛けてくる。ウワー!っと。その中には木下もいる。木下はどちらかと言うとヒィィィと叫んでる様な顔で転けそうになりながらこちらに走って来ていた。

 そして、俺達を認めると先程よりも確りとした足どりで走り出す。


「お、おま、お待た……ぉ待たせしまし、た……」

「ゆっくり深呼吸して呼吸を整えろ。

 ジャンヌは燃やし続けろ。炎に近付く奴はいない筈だ」

「了解シマシタ」


 ゴウと凄まじい炎で死体と思われる残党は燃やされていく。

 5分ほど待っていると、木下がもう大丈夫ですと言うので現状を説明してやる。


「ち、近付きたくないです」

「おう。だから、C4だけだして後は遠投する。ソフトボール大の大きさで出してくれ」


 木下はハイと頷くと左手を前に突き出す。するとポワッと光り、ボテンと乳白色のボールが落ちる。ボールにはデトコードと遠隔起爆用の電波式起爆装置に信管が二本刺さっている。

 右手には起爆用のクリッカー。


「ジャンヌ。これをアンダーで投げてあの残党まで到達させろ」

「オマカセクダサーイ!」


 ジャンヌはボールを受け取ると感触を確かめて、肩を回す。そして、ブンとアンダースローでボールを投げるとメチッと残党の胴体に直撃、潰れた。

 その瞬間、木下がクリッカーをカチカチならして爆破した。残党は見るも無残に散らばった。つまり、死亡だ。


「よし。残党は死んだ。前座は終わり、本命だ」


 行くぞと声をかけて既に戦端が開いている村外縁部に突撃をかます。使用する武器はChainSAW機関銃。ただのミニミのトリガーと握把をチェーンソー風にしただけの代物で腰撃ち上等の謎武器だ。

 装弾数は基本的にミニミと同じぐらいだが、俺は背中にコンテナ背負って弾帯を繋げて装弾数インフィニティなデスマシーンを作り上げた。

 銃身はベラボウに太いウルトラヘビーバレルとでも言おう。クロームメッキ仕上げで64式小銃の銃身より耐久性は高い筈。

 一応可視化レーザーを出すレーザーサイトも付いている。

 なお、本家本元のChainSAWはストーナーLMGを使ってるが俺はミニミで想造した。


「敵の壁が厚すぎて突破出来ない!」


 俺達が近付くとクラスメイトの一人が叫ぶ。


「馬鹿か?

 中に入る際にはノックをするものだ。NockNock」

「Who's This?」


 俺の言葉の後にジャンヌが言うので二人揃って武器をぶっ放した。一瞬でゴブリンとオークに良くわからん魔物達は薙ぎ倒され焼かれ、道を作った。


「突撃!木下は照明弾を打ち上げまくれ!」

「はい!」


 こうして俺達は村外縁部から村の入口にまで侵攻できたのだった。

 火炎放射器マジでヤバイ。そら日本軍の兵隊さんが火炎放射器兵捕まえたら嬲り殺す訳だわ。ただし、村中に入ったら放射を止めさせる。普通に木造家屋もあって燃えちまう。

 木下には攻撃型手榴弾で攻撃するよう指示もした。

 機関銃最強伝説だな。構えて左右に振るだけで死ぬ。ゲームだとアサルトライフルとか狙撃銃に撃ち負けたりするけど、現実じゃ、そんな事はない。しかも、向こうは遠距離武器が無い。いや、魔術と弓矢と投石があるがまぁ、今は捨て置け。


「あれが教会か?」

「そ、そうかと」

「取り敢えず、周りのモンスターを掃討する。その後、教会の連中を救出し、脱出だ」


 教会から50メートル程離れた場所に魔物達が囲っている。多分、連中にとっての散弾の有効射程外なのだろう。だが、無意味だ。

 後方から何の脈絡もなく撃ち殺される恐怖に怯えるが良い。

 チェーンソーで薙ぎ撃ちして粗方倒すと、木下が手榴弾で吹き飛ばす。良いコンビだ。結婚しよ。

 ジャンヌは活躍出来ずに悔しそうにウズウズしていたが、城下町ならまだしも、この木造家屋しかなく唯一の石積みがこの教会だ。

 ここを燃やして良いならジャンヌに遠慮なくやれと言うのだがそうじゃ無い。教会から救出した連中はここで暮らしていかなくちゃいけないのだ。


「見ろ!魔物が逃げていく!」


 ところがどっこいそうはいきません!

 チェーンソーからM1919A4をジョン・バジロンスタイルで取り出すと、発射。チェーンソーなんか比べ物にならない重量だ。腰で確りと支えて発射!

 逃げていくゴブリンやら何やらを背中から撃ち抜き撃ち殺してやったのだ。フハハハ、重っ……

 粗方撃ちまくってこの重量物を消す。それからM870を取出して教会に。


「南だ!

 助けに来てやったぞ!さっさと出て来い!」


 扉に向かって叫ぶと中から閂でも抜いているのかガタガタと音をさせ、それから扉を軋ませながら大剣を担いだ大輝が顔を出した。


「優!」

「感動の再会は後だ。

 適当に荷車か馬車か見付けるか引っ張って来い。動ける者は負傷者を背負ったり担架に乗せて後方地域に退却しろ!歩けない者や動かせない者は近くにいる者が治療出来る者に直してもらえ!

 騎士は武器を持って敵の逆襲に備えろ!冒険者は中の負傷者を搬送する!」


 上空に照明弾を打ち上げて、指示を出す。


「田上は?」

「中で寝てる。他にも危なそうな奴等も居る」

「よし。

 木下、悪いが重迫の照明を引き続き頼む」

「うん!」


 ジャンヌは木下の援護を命じて、教会に入る。

 中に入ると全員が助けが来たとか何とか騒ぎ出すので、上空に一発。


「助けには来てない。

 助かるかどうかはお前達次第だ。俺に出来るのはお前達が生き延びるために手を差し伸べてやれるだけだ。立てる者は立て!立てぬ者は助けを請え。

 さぁ、敵が逆襲しない内にとっとと逃げるぞ!」


 扉を開放して外の連中を中に入れる。

 大輝は俺も戦うと言うので田上を指差した。田上の責任を押し付けよう。


「田上が倒れたのはお前のせいだ。加害者ならばお前が責任持って安全域に連れて行け。

 俺がここの守護を引き受ける」


 返事は聞かずに逆襲に備えていた騎士達の元に行く。騎士達は勿論、一部の冒険者も武器を持っていた。俺が近付くと俺に一緒に戦うと言い出した。


「勇者様!担架も台車も足りません!」

「馬鹿か貴様?家の戸を外せ!毛布と槍を持って来い!」


 即席の担架を作り、使える物はなんでも使う。


「弓持ちは集合!」


 俺の言葉ですぐに弓を持った冒険者や騎士がやって来た。人数は10前後。


「よし。ここに居る者は高い建物や屋上に上がれ。

 今、俺の仲間が周囲を明るくしている。少しでも怪しい雰囲気を感じたら上空にこれをこうして撃て」


 赤色の照明弾を打ち上げる。そしてその場に居る全員に信号拳銃を配布して二人一組で村に散るように告げる。木下の元に戻り、ジャンヌに退却をしている部隊の援護をしろと告げた。

 木下はセッセと照明弾を打ち上げている。可愛い。


「敵は逆襲してくるかな?」


 クラスメイトの一人、名前は確か……石川、だったか?


「指揮官を失った敵は基本的にはそんな事をしない。

 敗残兵は最早軍隊ではない。しかし、敵は軍隊では無い」

「逆襲の可能性はある?」


 無きにしも非ず。

 まあ、指揮官は殺したから逆襲なんてほぼ無いがな。


「勇者様!?

 合図が上がってます!」


 見れば敵が逃げていった方から照明弾が上がっていた。マジかよファック!まだ10分と経ってねぇぞ!


「木下!

 俯角と向き調整であの方面に適当に照明弾をばら撒いてくれ!」

「はい!」


 木下は直ぐに俯角を調整して俺の示した方向に照明弾をばら撒きはじめる。俺は周りの冒険者やクラスメイトと共に前に出る事にした。

 木下には複数の騎士とクラスメイトを護衛に付けさせる。既に日が沈み、幾ばくが経った。光源は照明弾と各々の持つ松明しかない。

 俺はそこでフラッシュライトの存在を思い出す。

 フラッシュライトを取り付けたUSPを召喚する。懐かしいなぁ、MGS2。タンカーでオルガ・ゴルルゴビッチ倒して手に入れたけど結局麻酔銃だけでクリアーしてたわ。

 そして、信号弾が打ち上がった地点に行くと信号拳銃を握り締めた冒険者とその相方の冒険者が太い矢に貫かれて、壁に凭れる様にして立っていた。

 クラスメイトの何人かがオエッと吐き出したし、俺も危うく吐き出しそうになった。


「何だコリャ?」

「お初に御目に掛かるわ、異界の勇者達よ」


 声がした方を見ると屋根の上に大きな弓を持った女が立っていた。耳は鋭く長く、目と腕は4つ。肌の色は褐色だった。

 誰かが誰だと言おうとしたが俺の銃声の方が速かった。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!?

 そこ「さっさと攻撃しろ!あれは敵だぞ!」


 USPを全弾撃ちきっている脇に捨て、AK-74Mを取り出して撃つ。俺の攻撃に合わせて周囲の弓持ちや魔術師は矢や魔術を浴びせるようにして発射する。


「問答無用なわけ?」

「足の速いのは退却部隊に作業を急がせろ!

 あの化物に矢を射たせるな!腕と武器を狙え!」


 周りの連中が狼狽える前に指示を出していく。木下の火力支援は欲しいが、危ないから来て欲しくもない。うーむ、どうするかね?

 こっちの攻撃は全て何かバリア的な物に防がれてる。ありゃ、どーするべきだ?


「おい、あの見えない障壁は何だ?」

「障壁の魔術です!」


 そのまんまかよ!


「突破法は?」

「術者の魔力許容量を超えて攻撃するかしか……」


 兎に角攻撃を叩き込めって事か……

 つーか、これ効いてるのか?涼しい顔で掌向けられて別の腕で弓矢番え始めたけど?取り敢えず、AKじゃ埒が明かんと言う事でBARを召喚する。8キロあるからなかなか重い。

 それを構えて撃つと、一発目が当たった瞬間四ツ目四ツ手の化物は矢を番えるのを止めてその手を全て此方に向けて来た。なる程な、30口径はヤバいのか。よし、クソ重たいBARからM14に変えるか。


「み、南君!」


 振り返ると、RPG-7を担いだ木下がいた。よし!


「あれを撃て!」

「はい!」


 第三部完ッッ!!って奴だ。

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