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8話

 敵の方を見るにしても暗くなってきた。信号拳銃出せるのかと思って出してみたら出て来た。オレンジ色のよく船とかに付いてる奴だ。

 丁度いいから敵方に撃っておく。パシューと赤色の炎が打ち上がる。敵達は大慌てだった。


「木下、重迫で照明弾撃て」

「じゅ、じゅーはく?」

「あー……待て」


 スマフォを取り出して久し振りに電源を入れる。その瞬間、凄まじい勢いで着信を示す表示がされた。何だ?見ると、全て大輝と田上だった。

 今も電話の着信を示していた。ナンジャコリャ?


「俺だ」

《良かった!スマン優!助けてくれ!》

「事情は把握しているし、村の外にいる。

 問題は冒険者と騎士が利権対立で指揮系統すらままならん。お前達だけなら出てこれるだろう?」

《ああ。だが、負傷した冒険者や騎士達、村人は置いてはいけない》

「割り切れ。そいつ等はここで死ぬ運命だった」


 言うと、大輝は黙ってしまった。

 取り敢えずスピーカーにして、フォトギャラリーから自衛隊の120mm重迫撃砲の画像を木下に見せる。

 すると電話口からハハハと笑いが漏れる。


《優ならそう言うと思ったよ。

 だけどね優。僕は、僕等は仮にも勇者と言われてるんだ》

「フン。それは他人から着せられただけのマントだ。お前はクリプトン人じゃない」

《それでも、だよ。

 僕はね、優。それでも、例え他人に着せられたマントでもその人達が僕を必要なら僕は誰でも助ける。幸い僕にはクリプトンナイトは効かないからね》


 フン。


「クリプトンナイトじゃない。クリプトナイトだ。

 まぁ、良い。俺はロビンには成れんが、アルフレッドやゴードン程度には協力出来る」

《ありがとう。それと、田上さんが優から借りたショットガン。かなり助かった。弾はもう無くなったけど、こいつのお陰で敵もこっちに手を出せてないんだ》

「何をした?」

《子供を守るために、オークを3体程一撃で倒した。後は牽制のために近付いた敵を撃ってたら弾が無くなったんだ》


 成程。流石護身用。


「分かった。それと怪我人なら田上が治せるだろう。田上は死にそうなのか?」

《いや、連続で能力を使ったから魔力切れを起こしてるんだ。

 すぐに死ぬ様な人やすぐに症状が悪化しそうな人は居ないが、あまりこの場から動かしたくない》

「分かった。取り敢えず、馬鹿共をどうにかして纏め上げてギャリーオーウェンを奏でてやろう」

《何だいそれは?》

「第七騎兵連隊の連隊歌だ。

 知らないなら良い」

《ありがとう。できるだけ早く来てくれるとありがたい。

 既に何人か死んでしまった》


 これ以上は死なせたく無い、とは聞こえなかった。それはエゴだとは分かっているようだ。

 やれやれ、面倒な。強硬手段を取るか。


「木下はこのまま重迫で照明弾を打ち上げててくれ。

 俺はあの馬鹿達を撃ち殺してでもまとめ上げてくる」

「は、はひ!」


 第七騎兵連隊も第四装甲軍もどちらも奇襲に失敗してるし、救出出来なかったな。やれやれ。


「まだ喧嘩をしてるのか貴様等は?」


 再び天幕に戻ると相変わらず剣呑な雰囲気だった。何のために何をしてるのかも分からないし、クラスメイト達も押し黙っている。

 クラスメイト達の顔は混乱の極地で、まとめ役たる大輝も居ないので混乱すらできない様子だ。無様な。


「今大輝から何故かわからんが携帯で話ができた」


 俺の一言にクラスメイト達に活気が戻るが、黙れと睨んで置く。


「状況は控えめに言って最悪。なので、今から村に強襲再占領する。

 その為に、貴様等を俺の部隊に強制徴募する。文句がある者は殺す」


 シングル・アクション・アーミーを取り出して机の上に置く。


「さっきの話かね?」


 騎士の一人が嘆息する様に告げた。何も分かっとらん子供が、とでも言いたい顔だったがどうでも良い。


「そうだ。

 騎士と馬が扱える冒険者は俺が攻撃したら横合いから突撃を仕掛けろ」

「我々はそれで構わないが、彼等が納得しない」


 騎士の一人が冒険者の先程食って掛かって来た奴を見る。騎士の目は俺を試す様な目だ。ある程度の事はやらなくちゃすぐに指揮権を奪うだろうな。


「俺達は軍人じゃねぇ。

 冒険者は冒険者として「貴様は俺の作戦に文句があるんだな?そして、俺の作戦よりも質の良い作戦を立てられる、そういう訳だな?」


 主導権は俺にある。


「そうじゃねぇ!俺はあの高慢チキの尻尾フリ共の指揮下に入るのが気に入らねぇだけだ!」

「つまりなんた?お前達はそんなクソ下らない事のために無碍に時間を浪費していたのか?」


 俺の言葉に全員がにわかに殺気立った。


「何だ?文句があるのか?

 あるならば言ってみろ。殺してやるから」

「テメェ!!」


 冒険者の一人が立ち上がるので、腹に一発。拳銃弾を撃ち込んでやった。スタームルガーのMk-IIだ。22口径。下腹部の腸辺りに撃ち込んでやった。

 鎧も着込んでるし腸達はかなりの弾力があり22ショート程度の威力では中々死なない。クソ痛いが、この際我慢してもらう。

 冒険者は腹を抑えてその場で喚き出す。彼には俺の為の土台になって貰う。


「黙れ!

 俺は大輝の様に優しくも善人でもない。まぁ、俺は平和主義者だから最初の一発は死に難い場所を撃ってやる。勿論、放っておけば死ぬし、場合によっては即死する場所を撃つ。

 さ、次に文句がある奴は誰だ?前に出ろ。撃ってやるから」


 冒険者と騎士を睥睨するが誰も前に出ない。うん。恐怖政治は時として有効だ。


「良かろう。では、部隊を二つに分けるぞ」


 それから机の上に広げられた地図を使って包囲網突破の作戦を示していく。外ではポンポンと音がするので木下が忠実に照明弾を上げているのだろう。

 敵の防御部隊を蹴散らした後は、俺と木下にジャンヌ、魔術が使える奴等を中心に敵の包囲網に穴を開ける。


「では、騎馬隊は突撃発起点に前進しろ。

 準備出来たらこれを空に打ち上げろ。お前達が突撃するのは俺が赤色の炎を上げた時に突撃してくれ。

 お前達は騎士達が突撃したらそこの冒険者や徒士の騎士と共に突撃て敵の包囲網を食い破ってくれ。その際にも止まるな。射撃と運動。機動戦を仕掛けて教会を目指せ」


 信号拳銃を渡して、クラスメイト達にも指示を出してから外に出る。すると、煌煌と照明弾が空に上がっては周囲を十数秒照らし、上がっては照らしていた。

 よろしい。木下の元に行くと、木下はセッセと照明弾を打ち上げていた。可愛い。


「よし、その辺で良いぞ木下。

 良くやった」

「あ、み、南君……」


 どうせなら優君でお願いします。


「これを目が慣れてきた間隔で上げてくれ。期間は別の場所から信号弾が上がるまで」

「は、ハイッ!」


 よろしく頼むぞと木下と木下の肩に手を置くごく自然なセクハラ。脇に置かれたキャリバーを確かめて、再度敵との距離を鑑みる。

 照門を上げて射程を調整。弾は徹甲焼夷弾と曳光弾が混じっている。これを撃ち終わったら、木下とジャンヌと共に進撃だ。そう言えばジャンヌの奴は何処行った?


「ジャンヌを見なかったか?」

「トイレに行くとか言ってましたけど……」


 フム。暫く待つとガチョガチョと鎧を鳴らしてジャンヌがやって来た。その後ろにはマルギウス教授とクラスメイト達。


「お待たせシマシター

 それとミナミに用があると言うクラスメイトも連れてキマシタ」

「ジャンヌは木下と教授の護衛をしろ。

 なんの用だ?」


 クラスメイト達は120mm重迫を驚いた顔で見ていたが、俺が声を掛けると視線を俺に向けた。


「俺達は正面から彼奴等に突っ込んで行けばいいのか?」


 軽目が目の前で警戒しまくった様に盾を構えるゴブリンやらオークやらの戦列を指差すので違うと首を振ってやった。


「目の前の敵なんぞ、お前達は相手にせんで良い。

 そこの機関銃で右端から左端まで薙ぐのを何往復かする」


 ダダダッと。手で指して動きを示した後に、懐から信号拳銃を取り出して見せる。


「そして、頃合いにこれを打ち上げる」


 すると横合いからいい速度で加速した騎馬隊が敵の戦列目掛けて殴り込みを仕掛けるのだ。騎馬隊の登場で第一幕は終幕。後は第二幕が開くのだ。


「俺達はその第二幕の主役って事か?」

「ああ。俺と木下にジャンヌの三人が穴を開けてやるからお前等でその穴を押し広げて大輝と田上達を救出しに行け」

「分かったぜ南!

 聞いたなお前等!俺達は真打ちだ!」


 軽目がそんな事を言い出したら奥の方で信号弾が打ち上がったどうやら騎馬隊の準備が整ったらしい。


「騎馬隊の方は何時でも行けるそうだ。

 お前等も用意しろ。お前達が用意出来次第、騎馬隊を突撃させる」

「あ、あのぉ……わ、私はジャンヌさんと一緒に行けば良いので?」

「いや、俺と来てくれ。ジャンヌも、だ。マルギウス教授はテントに行っても良いし、ついて来ても良い」


 ただし、ついて来ても必ず守ってやれるなんて事は無いと断言しておいた。俺達は戦いの素人だ。キャリバーを据え付けた荷馬車に登って槓桿を引く。

 ガチャンと重たい金属音とともに初弾が装填された。完全装填良し。握把を握り、敵方の右翼端に狙いを定める。照明弾がフッと消えた瞬間、俺はハの字をした引金を親指で押し込んだ。

 ドッドッドッと凄まじい爆発。最初の数発は思わず銃身が上下にブレたが、直ぐに気を取り直して発射。

 機関部が激しく震え、赤色の弾丸が空を切る。ゴブリンの戦列は何か飛んできている事に気がつくのに中々の時間を要し、銃声にビビッた木下が正気に戻って慌てて照明弾を打ち上げた。


「スッゲ……」


 銃口は既に敵の三分の二の位置にいたが、残った敵は潰走を始めていた。

 俺は逃げる敵目掛けて残りの弾を撃ち込み、9ヤード全てをお見舞いしてやる。弾が切れると同時に俺は照明弾を打ち上げる。すると、遠くから確りと馬の嘶きと土を蹴りながら速度を上げてくる音が聞こえる。

 それは恐怖が視覚化聴覚化した瞬間だった。打ち上げられる照明弾。最早、恐怖の具現化だ。


「よーし、前進するぞ」


 キャリバーを消して、木下の隣に立つ。取り出したるはみんな大好きAK-74Mだ。悪魔の弾丸とまで言われた5.45mm弾をぶっ放す凶悪な突撃銃だ。

 コイツに60連装の複々列式弾倉を放り込み、フォアグリップとコブラサイトを載っけた代物である。モダナイズドカスタムとも言う。かっちょええ。チラリと木下を見るとアワアワしながらTAC-15に爆薬鏃の矢をセットしていた。

 その白い指でカリカリとクランクを回しながら必死になって矢を装填している。可愛い。和む。好きぃ……ホント好きぃ……結婚しよ。


「木下」

「ヒャィッ!?」


 木下はビクンと震えて矢を取り落とした。俺はその矢を拾い上げて、木下の肩を掴む。


「落ち着け。深呼吸しろ。大丈夫だ。俺が護る」


 木下の前髪を退けて、耳に掛けてやる。顔真っ赤になってそう。木下は普通に顔真っ赤。可愛い。キスしたい。


「ワーォ、ラブラブですネー」

「茶化すな。

 木下。気にするな。お前のペースで行け。オロオロしても良いし、オドオドしても良い。俺はありのままのお前でいて欲しい」

「は、はひ……」


 木下はコクコクと頷いたので手を取って矢を握らせる。そして、俺は木下の前髪をぐしゃぐしゃにしてその美人を隠す。木下の素顔は俺のもの!

 騎馬隊を見ると先頭集団は既に敵に突っ込んで行っている。その瞬間、馬の一頭が叩き潰された。


「ジャンヌ!付いてこい。

 木下は照明弾を打上げまくれ。俺が信号弾打ち上げるまで続けろ。お前等も信号弾が打ち上がるまで前進するな!」


 ジャンヌは火炎放射器のノズルを持って俺の後に走って付いて来る。俺よりも重装備で俺と同じぐらい速い。腹立つわーこの女。何だよバケモンかよ。

 俺達の前には騎馬隊を次々と叩き潰していく化物だ。目を凝らせば、先程指揮を取っていた奴だ。バケモンだな、あれ。冥王軍の残党か?まぁ、良いか。

 銃弾効くかな?でもやるしか無いよな。木下から手榴弾位貰って来れば良かったか?いや、木下と結婚、いや、キス……告白……んー……うん。告白するまでは死ねん。告白したらデートして結婚だな!

 フハハハ!

ようやくまともな戦闘シーンに入った気がする


キャリバーの架台はリトルアーモリーの奴じゃなくて3トン半の後部に据え付けたり出来るあれです


自隊には部隊火器のパーツとして供与されてないので他部隊の武器庫覗いて見ためちゃデカイってイメージしかないです


あれ付けた3トン半で対空戦闘とか絶対したく無い

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