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7話

 学院内はどっちかと言うと大学に雰囲気だった。そこかしこにローブを纏ったハリー・ポッター共が屯している。そして、俺達を認めると好奇の目を向けてきた。

 俺の木下をジロジロ見るな。撃ち殺すぞ!


「す、凄く見られてる……」


 木下が居心地悪そうに呟く。


「気にするな。どうせ、俺達の存在が珍しいだけだ。

 見ろ、ハリー・ポッターだぞ?」


 俺は木下の隣に並び、木の下で本を広げて読んでいるショートボブを指差す。多分男。

 木下はじゃあ、アッチはマルフォイですねと金髪オールバックを指差す。

 あぁ、楽しい。この楽しい時間が一生続けば良いのに……


「何の話を?」

「私達の世界にあった物語の話デース」


 副学院長とジャンヌも何やら話していた。

 長い前庭を抜けて校舎に入るとそのままクネクネと階段を昇り降りしたり曲がりくねった廊下を歩いたりして30分程経つ。それから、一つの教室に着く。

 副学院長は何の躊躇いもなく扉を開けるとドウゾと道を開けたので俺を先頭になかに。教室は小さな階段教室だった。教室には数名の生徒が寝てるか早弁をしており黒板の所には小さな少女が台の上に乗って授業をしている。


「エレオノーラ・マルギウス教授ですわ」

「ふ、副学院長先生!」

「勇者様方がa「教授殿。どうぞ授業をお続け下さい。授業後に自己紹介と用件をお伝えします」


 木下に適当な椅子に座るよう告げる。そして、この授業の教科書であろう分厚い本を枕にしている生徒の椅子を蹴って起こす。


「起きろ」

「な、何するんだよ!?」

「教科書を使わないなら俺に貸せ」


 本を手に取り、木下の前に置く。生徒が文句を言おうとしたので、枕代わりのシュタイアーをプレゼント。あの分厚い銃床兼機関部を枕代わりに眠れ。硬い本で寝れるんだシュタイアーでも寝れるはずだ。木下の隣に座り本を共有して見ると言う理由をつけて木下の隣にかなり近くに座れるのだ。いやぁ……マジで異世界最高!

 本、教科書を見ると《ダンジョンにおける魔物と地上における魔物の違い》と長ったらしい名前が書いてあった。フムフム。1ページ目には何故この研究をしようと思ったのかと言うこの本を書くに至った理由が書かれている。

 そして、一章には魔物とは何か?二章にはダンジョンとは?三章にはダンジョンの魔物と地上の魔物の肉体的な違い。第四章は何故地上とダンジョンの魔物は違うのか?終章では前章までの話からその結論と今後の展望で終わっていた。

 この一冊で魔物に付いてよく分かる訳だ。スッゲー……


「この本買おう」


 こっちの世界のお金持ってないけど。そう言えば俺等の生活は全てこの国によって保証されているし望めばこの本だってもらえるが、それは俺のポリシーに反する。うーむ、どうやって金を稼ぐかな?

 3人で授業を真面目に受けて終わってからマルギウス教授に挨拶をすることにした。


「マルギウスky「マルギウス教授。初めまして、南優です。貴女という人がこの世界を救うのです。これからも頑張って下さい」

「き、木下史華です……わ、私も、す、凄く…凄いとお、思いましゅっ!」


 あぁ、吃り過ぎて噛んじゃった木下可愛い。恥ずかしさに赤面しちゃってる木下ヤバイ。マジヤバイ。国際木下可愛い委員会を設立して木下の可愛さを規制するべき可愛さ。

 いやぁ……木下と一緒にこの学校通いたいし木下と一緒にこの教授の授業を受けたい。魔王だか冥王だかの心臓だか魂とかどーでも良い。マジでどーでも良い。


「ンンッ!マルギウス教授。コチラは勇者様です」

「ゆ、勇者さまっ!?」


 マルギウス教授はヒエッと木下めいた小物感溢れる反応をする。ああ、木下可愛い。


「ど、どうして勇者様が……」

「先程も「マルギウス教授。貴方はスライムを研究していると聞きました」


 副学院長を脇に退けて木下とともに前に出る。


「は、はい。……あまり良い顔されませんけど」


 ハハハと寂しそうな顔でマルギウス教授は笑う。


「そんな事はありませんよ!

 スライムと戦いましたが、あれは凄い生き物ですよ」

「そ、そう、です!わ、私は、き、聞いただけですが!そ、それでも、あの生物がざ、雑魚とは思えません!!」


 木下と二人揃ってマルギウスの手を握りなんとかあの感動と興奮を伝えようとする。

 しかし、何とも言葉が出ない。二人して困っていると脇でジャンヌが他人事の様に突っ立っているので睨んで置く。


「兎も角、教授の話を聞きたい」

「居た!」


 其処に先程の案内役が騎士共を連れ立ってやって来た。何だよ。


「勇者様方!

 貴方方のお力をお貸し下さい!」

「魔物達が村を取り囲み村人と他の勇者様方閉じ込めたのです!」


 馬鹿ジャネーノ?つーか、魔物ってそんなに頭良いのか?


「教授。魔物には知能があるので?」

「え、ええ、はい。墓地や死者から生まれるスケルトンやグールの上位種やゴブリン、オークの上位種は人間だった時の記憶を持っていたり人間より少し劣る程度の知能を有していますです」


 スゲーな。そんなのが包囲戦してるのか。


「ウチのクラスメイトはまだしも冒険者共や騎士共も居たのだろう?何をやっている」

「先遣隊はやられたんだ。

 敵に残党軍が混じって指揮をしているらしくて……」


 答えになっとらんだろーが。馬鹿か此奴等?

 つーか、残党軍がって冥王軍の残党だよな?何かチラッとそんな奴等が居るってのを聞いたけど。


「だから何だ。

 冒険者共は対軍戦闘が出来んのはまだしも、貴様等騎士団は対軍戦闘のプロフェッショナルだろうが」

「高々数十の騎士で何百と言う統制されたダンジョンモンスターを相手取れるか!」


 何言ってんだ此奴等?


「馬鹿かお前等。

 テメェ等が冒険者共の指揮官やって戦えば良いだろう」

「それは我々の独断で出来ることではない!冒険者ギルドに申請しt「ああ、もう良い」


 利権ガチガチでヤバイ時に何も出来てねぇとか問題外だな。


「こんな馬鹿共のせいで死んでくのがこっちの世界の人間ならば俺は助けなかったが、流石に顔見知りが死んだとなると寝覚めが悪い。と、言うかあのバカタレ大輝もノコノコ付いて行ったんだろう?」


 俺の言葉に騎士達が顔を綻ばせる。勿論、すぐには行かない。


「少し待て」


 試しに目の前にキャリバー50を召喚してみる。すると、すんなりと出てきた。脚も確り付いている。


「おい、此奴を馬車の荷台に設置しろ。

 重いから気をつけろ。あと、釘で確りと脚を固定しろよ」


 次はデザートイーグルを取り出して撃ってみる。めちゃくちゃ重い。脇の木を的にして撃ってみると滅茶苦茶反動がデカい。扱えんわ、コレ。もっと鍛えて撃ち馴れないと駄目だわ。ミランダのババアスゲーな、おい。お次はガバメント。撃ってみると、デザートイーグルよりも反動はマイルドだった。うむ、もうちょっとロングバレルの方が良いな。

  ハードボーラーのロングスライドを取り出して撃ってみる。うむ。コンペイセイターを付ければ更にベネ。ディ・モールト・ベネだ。

 騎士達はキャリバーを前に固まっていたが、俺の知った事じゃない。


 暫く待っていると二頭引きの荷馬車がやって来る。俺はキャリバーを分解してやり載せるように告げた。流石に今の俺では此奴を持ち上げて載せるなんて芸当は筋力的な問題で出来ん。銃身の重量は12.7kgで本体重量は25.4kgもある。それを載せる三脚は対空用で30kg軽くあるんじゃないか?

 キャリバーは中央部に備え付て、脚にある穴を通して犬釘みたいな杭を打ち付けて固定。それからQCB仕様でないコイツのタイミング調整と頭部間隙を調整するのだが、頭部間隙は一人では調整出来無いので騎士の一人に指示を出して銃身を回してもらう事にした。

 槓桿を軽く引く。台に固定されているもののかなり重い。ヤベェ。


「目一杯締めてから1クリック戻せ」

「えっと……」

「貴様はネジも締めれんのか?

 右に回せ。ガチガチ音がするだろう?」

「あ、ああ」


 ガチガチ音をさせながら銃身は締まっていく。そして、しばらく回してからガキキと隼鷹が入らなくなった。


「そこから1クリック戻せ」


 槓桿を軽く引いてやる。騎士がガチチと2クリック程戻しやがった。


「1クリック戻せと言ったろうが。数も分からんのか?

 まぁ、良い」


 機関部を開けて特殊なゲージを差す。



「Go、NoGo入らず。

 補助者1クリック戻せ」


 騎士がガキンと1クリック戻した。

 このゲージを指していきある場所に来るとGOと書かれたゲージは挿さるがNoGoは入らない場所が来る。これをしないと、弾薬が深く入り過ぎて排莢不良を起こしたり、暴発したりする。そもそも装填出来ないなんてこともある。


「よし。次はタイミング調整だな。

 もう銃身を離して良いぞ」


 機関部を開き交換を引いてからまたゲージを指す。今度はFireゲージNoFireゲージの2つだ。先ずはNoFireを指す。

 そして、引き金を引くが激てつは落ちない。


「撃発せず」


 まぁ、当たり前だな。継ぎはFireゲージ。これは激発した。よし。まぁ、すぐ撃てるように出したんだから撃発可能状態で出るのは当たり前だ。それから弾薬箱置きを取り付けて中に弾薬箱と弾帯を入れる機関部の蓋を開けてベルトをセットしてから安全装置を掛けておく。

 半装填にしておくか。


「よし。準備良し、だ。木下」


 馬車の荷台から手を差し出す。木下は俺の手を掴み、そのまま乗り込む。ジャンヌもニッと笑って手を差し出すが俺はその手を叩く。


「巫山戯るな。お前みたいな重いやつを引っ張ったら逆に落ちるわ」


 騎士に引っ張れと告げて馬車の角に陣取って体育座りをしている木下の隣に腰を下ろした。

 ジャンヌの次にマルギウス教授が荷台に上がり出発準備は完了した。


「第四装甲軍の準備は出来たぞ。

 パウルス麾下の第六軍を助けに行こうじゃないか」

「パウルスを知っているのか!?」


 伝わらんと思っていたギャグを投げたら、まさか反応されて逆に焦った。


「俺言ってるパウルスとお前の言ってるパウルスは別の人間だ。

 さっさと行くぞ。大輝の馬鹿を一発ぶん殴ってやる」


 騎士が馬を出して学院から出発した。


「先程の第四装甲軍とはナンデスカ?」

「第二次大戦中の東部戦線にてパウルス大将率いる第六軍はスターリングラードの占領を命じられていた。

 戦いは途中まで上手く行っていた。しかし、次第に物資と物量、冬将軍の来襲でドイツ軍は苦戦を強いられて行く。そして、42年の11月。ソ連軍は指導者の名前を冠する待ちを何としてでも守るべく大規模な包囲戦を展開した。第六軍を後方地域と分断して包囲すると言う凄まじい作戦だ。

 同年12月、終ぞパウルス大将のドイツ軍第六軍は包囲された。この第六軍を救助する為にマンシュタイン元帥は後方の後詰め部隊から第四装甲軍を抽出して救援隊を作り上げ、冬の嵐作戦を展開した」

「A-han!」


 ジャンヌは装甲軍デスネーと兜を被った。


「その救援作戦は成功したのですか?」


 マルギウス教授が尋ねてきたので失敗したとだけ告げる。


「な、何故ですか?」


 俺の話に木下が興味を持ったらしく、訪ねてきた。


「パウルス大将はヒトラーの死守命令を守る為にマンシュタイン元帥の救出作戦に手を貸すのを拒否したんだ。

 補給さえあれは復活祭まで耐え抜ける、とね」

「耐え抜いたのですか?」

「まさか!

 2月だったかな?そこら辺で降伏した筈だ。将兵10万の捕虜を出してね」


 そんな話をしていたらアッという間に何処かの平原出た。

 騎士が此処からあと三時間程走ると告げるので、俺達は辟易したのは言うまでも無い。荷馬車の荷台に置かれていた毛布を尻に敷いたり羽織ったりしていたが気付いた頃には全員が寝ていた。

 次に起きたのは現地に到着して騎士達に起こされた時だった。


「か、体が……」


 木下がバキバキと伸びをしながら体の各部位の凝りを伸ばす。伸びをした際にセーラー服の合間から木下の白い腹が見えて思わず勃起した。

 エロ過ぎだろこの生き物。俺を殺す気か?


「南!」


 勃起を隠す為に前屈とか膝屈伸とかしていると軽目が何時になく真剣な表情で走って来た。肩には槍を担いで居る。軽目の他にも数めいのクラスメイト達が追従していた。


「お前等も来てたのか」

「ああ。最低でも二百はいる。大輝達は村の中央にある教会で籠城していてまだ暫くは持つそうだが、怪我人もいて中々ヤバい状況らしい」

「ふーん」

「ふーんってお前……」


 騎士に馬車を敵が見える場所に近付けろと告げる。村の周囲は穀倉地帯で少し小高い丘に陣取っている。周囲を魔物達が取り囲み、更に丘の下に見える俺達を牽制するように数百の魔物達が並んで居る。その中にはちょろちょと動き回るゴブリン達とそいつ等に指示を出している悪魔みたいな奴も居た。

 彼奴が牽制軍の指揮官か。とっとと殺して包囲戦を突破するか。

 ライフルスコープを木下に渡して敵の指揮官を確認させる。

 それから救出軍の天幕に向かうと天幕の中は重苦しい空気に包まれていた。騎士に冒険者、そして我々だ。全員が俺を見た。何だ?


「勇者様。何か手は?」

「ある。彼我の距離は約1キロ半。

 此処から500メートル近付いて俺がキャリバーで敵を漸減する。馬に乗れる騎士は馬に乗れる冒険者を率いては混乱する敵の側面を強襲しろ」


 何か文句がある者は?と、尋ねる前に冒険者の一人が机を叩いて立ち上がる。


「巫山戯るな!何故俺たちが騎士共の命令に従わなくちゃいけねぇんだ!

 そもそもお前が何故音頭を取ってるんだ!」


 イラッと来たが我慢する。


「別に俺はこっちの世界の人間や村がどれだけ死のうが、潰れようがどうでも良い。この救出作戦にしたって、大輝達なら放っておけば勝手に出て来る。

 俺が来た理由はそこのマルギウス教授が珍しい事だと言うのでその見学ついでに力を貸してやろうと思っただけだ」


 後はお前らで好き勝手にやってろと告げて木下を連れて外に出る。周囲はすっかり暮れてきた。

頭部間隙に付いては最悪、銃身突っ込んでから10クリック戻せば取り敢えず撃てる位置に調整出来たりする


勿論、命中精度とか集弾性とかちゃんと調整した奴には劣るらしいけどね

もし、銃身外したキャリバーを撃つ必要に駈られた際は覚えておくと良いことあるかもね


尚、QCB仕様には必要無い模様

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