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13話

清々しい朝だった。

 これ程までに清々しい朝を迎えられたのは初めて木下と言う天使の存在を知った時だろう。そして、俺はそんな天使と恋仲に成れたのだ。

 神様ありがとう!木下史華と言う天使を創造してくれて!


「取り敢えず、なし崩し的に実戦に近い何かをやってしまったからな……」


 洗面具を持って廊下に出ると木下も眼の下に酷い隈を作って歩いていた。あぁ、尊い……凄く好きぃ


「おはよう」

「ヒャッ!?」


 木下がビクンと震えると俺を見た。何だこの生き物?天使か。


「おっ、おはっ!おはょぅ……」

「ああ、おはよう。

 隈が酷いが大丈夫か?」

「は、はひぃっ!す、少し寝れなかっただけなのでぇっ!」


 そうかと頷き、その頭を撫でてやる。可愛い。ホント好き。愛してる。尊い。


「取り敢えず、午前中は寝ておけ。

 午後からは軽く運動をする。一昨日の戦闘で得た教訓について明日からの展望について話す」

「は、はぁ……」

「洗面をしてから朝食を摂り、もう一眠りしろ」


 本当なら午前中からやるべきなのだが寝不足で運動して怪我をされても困るのだ。

 洗面を済ませて部屋に戻ると、大輝と田上、ジャンヌ、そして木下が部屋にいた。


「朝食食べに行きマショウ!」

「ああ」


 五人でゾロゾロと食堂に向かい食事を摂る。


「そう言えば、あの時何で携帯が通じた?」


 食事を取り始め、そこで一昨日の疑問を口にする。


「ああ、俺達と一緒に行動していた中澤が電磁波を操れる能力だったんだよ」


 ああ、あの電子レンジ野郎。対象を文字通りチンしちまうエゲツナイ技を持つ。


「電波も電磁波の一種で携帯の周波数に合わせて電波を飛ばしてもらったんだ。

 地球との通話できないけど、30キロ前後は伝わるとか言ってたぞ」


 スゲーな軍用無線機とかそういうレベルじゃねーぞ。

 まあ、そいつが居なくちゃ使えないから不便さは軍用無線機の比じゃない。クソ広多無とどっこいか?


「なる程。

 取り敢えず、午前中は各人好きなことしろ。午後は戦闘に直結するなんかとか創美選びとかをやる」

「アバウト過ぎないか?」


 大輝が呆れた顔をする。


「なら戦闘に直結する技能の習得と実戦を想定した装備の調達及び着脱訓練」


 自衛隊風に。


「戦技になんとかって何?」

「受け身のとり方とか装備を付けた際に出来る効率的な運動の仕方だ」


 多分、きっと、メイビー。


「でも、そんなの教えてくれる人居るの?

 基本的に殆どの戦闘訓練してくれた教官ってダンジョン行く人達に付いていくし」


 知らんがな。


「つまり何か?俺達のスキルアップは各人が実地及び独学にて行えという魂胆か?」

「あー……そうなのかな?」


 ちょっと王様殴ってくる。何様だ、コラ。勝手に呼び付けておいてアフターサービス悪過ぎだろ。もし、何等かのサポートがあるなら何故それを教えん!説明書すら寄越さぬままに偉そうに。カスタマーサポートセンターに鬼電するぞ。


「俺は今から王城に向かい、糞馬鹿共を殴ってくるからお前達はここにいろ」

「やめろバカ!俺も付いていく」


 こうして男二人で王様の元に殴り込みに行く事になった。王様の仕事って何すんのよ?って話だが取り敢えず謁見の間=執務室みたいなもんだろうと言う安直な考えの下で謁見の間に向かう。謁見の間には様々な職種の偉いさんが並んでおり、大輝がそこの最後尾に並ぼうとしていたので頭を叩いてやる。


「高々王如きの為に何時間も待つほど俺は暇ではないんだ。

 行くぞ」


 大輝を引き連れて、大きな扉の前に。扉の前には衛兵と執事が居た。


「これはこれは勇者様。現在「お前が扉を開けるかそれとも俺が扉を開けるか選ばせてやる」


 蝶番吹き飛ばし用のショットガンを見せるとしばしばお待ちをと執事が一礼してからすぐに扉を開けた。しかし、完全には開けず、自身が中に滑り込む様に入ると閉めようとしたのでショットガンを滑り込ませる。


「邪魔をするぞ」


 ショットガンでこじ開けて中に入ると何時か見た髭面の強持て爺、この国の国王が大臣共と会話していた。俺を認めると眉を顰めた。


「勇者か。

 些か無礼ではないか?お前達の国は礼儀を重んじると聞いたが?」

「お前は聾か?邪魔をすると言ったろうが。それに礼儀を重んじるのは相手が自分達に礼を尽くそうとしてる時だけだ。お前はすでに役満だ。俺の中じゃお前もそれに連なる奴等も敵と一緒だ。

 それより、お前達は俺達に本当に冥王の心臓を見つけ出して欲しいのか?やる気がないならとっとと冒険者共に開放してやれ。反逆起きるぞ」


 大臣と王の間に置かれた机を見ると何かの書類が乗っていたが興味が無いので無視。ふと視線を感じて脇を見るとこの国の王子と姫達も座って何かの書類やら何やらと睨み合いをしていた。


「……あー君はなんと言ったかな?」

「別に俺もアンタの名前なんぞ覚えていないから俺の名前を覚えんでも良い。俺の要件を言う。俺達はパーティで敵と戦い、ある程度の戦い方がわかって来た。

 次に欲しいのはその戦いで分かった不都合な点を解決する手段だ。具体的に言えば常時城に駐留する教官と武器防具屋だな。

 本当に俺たちに冥王の心臓を探させたいなら、早急に用意しろ」


 話は終わりだと大輝を連れて部屋を出ようとしたら呼び止められる。


「待ちなさい!」


 見ると一人のお姫様が肩を怒らせて俺の方にやって来る。

 二人して何だ?と見ていたら、お姫様は手を振り上げて俺をビンタしようとした。

 流石にそんな大振りのビンタに当たる訳もないが、とりあえず一発食らう。


「アナタお父s―――


 取り敢えず思いっ切りビンタをし返してやった。何だコイツ?


「優!?」

「アルトリア!?」

「者共!」


 脇の小さな扉やカーテンから武装した騎士やメイドにシツ達が現れて俺達に武器を向ける。何だ喧しい。


「優君はなんてことを!?」

「何?俺が悪いのか?どう見ても今のは正当防衛だろう。そこの女が殴って来てたから俺も殴り返したんだ」


 取り敢えず、物々しい雰囲気なので両手にMP5Kを出しておく。


「見てたよ!

 相手はお姫様だよ!?」

「だから何だ?俺達はこの世界を救ってやる救世主様だぞ?

 跪け!頭を垂れろ!世界を救って欲しくないのか!?」


 試しにそう叫ぶと全員が怯んだ。

 王だ何だと騒いでいるがこんな物なのだ。


「ふん。馬鹿共め。結局そこよ。

 王と俺達とコイツ等は全員が一瞬だけ悩んだ訳だ。誰一人として王様がこの世界を救ってくれるとは思っていない。この場にいる全員がその爺という存在に敬服しているのでは無く、王という権力に頭を垂れているだけなのだ!」


 剣を納めろ!と怒鳴り付けてみると案の定全員が王様を見た。


「剣を収めよ。

 無益な殺生は好まん」

「じゃあ、王様も世界救いたいなら俺達の要望を確り守ってくれよ?」


 じゃあな、と立ち去ろうとした所で大輝の首にナイフを押し当てたメイドが立っていた。何だコイツ?何やってんだ?


「オイ、糞ガキ。調子乗ってんじゃ「死にはしない」


 MP5で大輝の腕を撃つ。


「はぁ!?」


 メイドは思わず大輝を拘束する力を緩めたのでMP5を投げ付けながら大輝を回収。大輝は思いっ切り涙目で腕を抑えつつ俺を睨んでいた。


「やってくれたな優!くっそ痛い!泣きそう!」

「ハッハッハッハッ!何時かの状況と同じだ、我慢しろ」


 映画SWATのワンシーン。そのシーンで俺も大輝もやると言ったのだ。


「それにむざむざ人質になったお前が悪い。

 待ってろ。メイドに一発でも当ててやる」


 メイドに向けて引き金を引く。メイドは素早く側転しながら弾を避けたので周囲に居る兵士や騎士にも当たる。


「おっと失礼。メイドが逃げなきゃお前達にも当たらんのだがな。俺は他の連中と違ってお前達に良い感情を持っていないんだ。だから、お前達を巻き込むことに何の躊躇いもないぞ?」


 弾の切れたスキニーホッパーズを脇に捨て、新しくミニミSAWを取り出した。


「優!流石にまずいよ!人を殺したら駄目だ!」

「安心しろ、22口径は殺害では無く負傷が目的だ。そう滅多な事では死ぬ事もなくなくない事もなくどちらかと言えば無いがそれを確定するには些か攻撃力過多で大半が死ぬが俺は構わん」


 取り敢えずトリガーを引き絞って発射。


「止せ止せ!?

 死人が出たら後に残るぞ!」


 大輝が銃口を大剣で押さえて地面に向ける。お陰で地面を掘ってしまった。


「ならその腕の痛みは泣き寝入りか?

 俺は構わんが」

「腕の痛みも何優に撃たれたんだけど?」


 ミニミを脇に捨て、王族共が囲んでいたテーブルから置物の地球儀みたいな奴を手に取る。脇に月の付いてる本格派の奴。月の大きさはテニスボール大。それをもぎ取って大輝に脇に挟めと投げてやる。


「大輝に免じて見逃してやるが今度こんな真似したら俺はお前達の言う事なんぞ一切聞かんからな。そして、有る事無い事クラスメイトやこの国の国民、冒険者達に言い触らす」


 ナイフとダガーを構えるメイドを一瞥し、鼻で笑ってやる。


「お前が逃げるから後ろにいた奴等に当たったぞ?

 何が糞ガキだ。その糞ガキに頼らなくちゃ自分達の世界を救えんくせに偉そうに。まだ外にいる冒険者達のほうが立派だ。自分達で冥王の心臓を探し出そうと意気込んでいるんだからな」


 寧ろ、彼奴等に開放してやれば良いのに。何故俺達がやらねばいけないんだ。そもそも、俺達平成生まれは昭和生まれよりも軟弱だし、戦前生まれの日本人や江戸、戦国、それ以前の人間に比べたら鉄筋コンクリートと藁レベルの差だぞ。


「この世界の連中は心底運の無い連中なのだろうな。

 神に見捨てられたか、神に嫌われる様な事をしたか」


 まぁ、何方でも良い。俺には関係無い。


「俺の要望は伝えたぞ。やる事やればこっちだってやってやる。権利と義務の関係を……知るわけ無いか。ほら帰るぞ。田上に治して貰いにな」


 未だ武器を片手に俺達を囲んでいる兵士やら騎士やらを睨み付けると道を開けた。ふん。

主人公のキチガイ度が僅かに上昇した!



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