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【揺花草子。】(日刊版:2017年)  作者: 篠木雪平
2017年4月
95/365

【揺花草子。】<その1895:メメント・モリ。>

 【揺花草子。】<その1895:メメント・モリ。>


 Bさん「今日は4月5日だから死後の世界の話をするよ。」

 Aさん「日付ネタをファーストチョイスにしていくスタイルね・・・。

     そして死後の世界ってなんだよ。」

 Cさん「人間が死んだ後にその魂が行き着く場所と言われているわ。

     民族など集団の死生観によってその世界の姿は大きく異なるけれども、

     そこへ至るための道筋もバリエーションがあるわよね。」

 Aさん「いや・・・え、そう言う学術的側面からの話なんですか?

     文化人類学とか民俗学とかの話なんですか?」

 Bさん「ギリシア神話なんかはこちらの世界と冥府を分けるアケロン川ってのがあるし、

     これはこの国で良く言われる三途の川と良く似たモチーフだね。

     その一方で記紀の記述では根の国あるいは黄泉の国と葦原中国を隔てるのは

     黄泉比良坂であるとされている。」

 Aさん「あぁ・・・ちゃんと真面目な話なんだ・・・。」

 Cさん「いずれにせよ、基本的に此岸から彼岸への移動は不可逆とされていて、

     それを覆すのは自然の理に背く大逆と考えられているわ。」

 Aさん「それはまあ、そうですねぇ。

     それでイザナギはえらい目見ちゃったわけですしねぇ。」

 Bさん「ところで、ヨーロッパに目を向ければ、

     14世紀中ごろの黒死病の流行や折からの英仏百年戦争があったりで、

     人々は厭世観に支配され、非常に厳しい時代だった。」

 Aさん「うん、そうだね。」

 Cさん「そう言う意味では、望むと望まざるとに関わらず、

     人々にとって今よりも遥かに死と言うものが身近だったとも言えるわけよね。」

 Aさん「そうなりますね。

     そりゃ神様にすがりたくもなりますよね。」

 Bさん「実際この時代は教会権力が実質的に世俗の領主のそれを上回っていたし、

     その驕りが腐敗の温床になったとも言えるわけだけど。」

 Aさん「うーん。」

 Bさん「まあとにかく、死後の世界に思いを馳せると言うことは

     これもう人間が生まれた頃からずーっとやって来たことなわけでね。

     人間の歴史はすなわち死と向き合う歴史であったわけだ。」

 Aさん「それは、まあ、そうだねぇ。」

 Bさん「だと言うのに、我々人間は未だ客観的・科学的事実として、

     死後の世界を観測するには至っていません。」

 Aさん「おっ・・・いやきみ、それそう言うこと言っちゃっていいの・・・?

     いろんな方面に角が立たない・・・?」

 Cさん「信教とか信念とかそう言うのは今は度外視よ。

     ブリジットも言った通り科学的事実と言う側面で話をしているの。」

 Aさん「いや、まぁ・・・。」

 Bさん「これはね、ぼく、科学における大いなるフロンティアではないかと思ってるの。」

 Aさん「えっ・・・なにが?」

 Bさん「だから、この死後の世界の存在あるいは非存在を科学的に証明できたら、

     人間はもう1歩新たなフィールドへ進めるんじゃないかと。

     人類の革新を導けるんじゃないかと。」

 Aさん「なんでニュータイプ論になってるんですかね。」


 Bさん「そう言うわけで阿部さんに

     死後の世界の存在を検証する

     ミッションを与えたいと思うよ。」

 Aさん「イヤです。」


 帰って来れない可能性が高い。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2017/04/05.html


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