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【揺花草子。】(日刊版:2017年)  作者: 篠木雪平
2017年11月
308/365

【揺花草子。】<その2108:円滑に。>

 【揺花草子。】<その2108:円滑に。>


 Bさん「『いいね!』ボタンあるじゃない。」

 Aさん「えっ・・・なに?」

 Cさん「いいねボタンに対して『なに?』と言うのは正直ドン引きね・・・。

     なんなの阿部さんは現代情報社会を拒絶して生きてるの?」

 Aさん「そう言うんじゃないですよ!!?

     あまりにも唐突な話の振り方だったから意表を突かれただけですよ!!?」

 Bさん「どっちにしても阿部さんは友達が少ないから『いいね!』を押す機会なんて

     そうそうないんだろうけれども。」

 Aさん「なにを言ってくれてるんだきみは・・・。」

 Bさん「とにかく、一般的には、様々なSNSサイトにおいて

     その人のポスト内容にカジュアルに同意を示したりする手段として使われる

     『いいね!』ボタン。

     サイトによって表現方法や言い方はいろいろあるけれども、

     その意図するところはだいたい同じだよね。」

 Aさん「うーん・・・まあ言ってもコミュニティごとに

     暗黙のルールみたいなのある感じするけどね・・・。

     若い人が多いとこは独特の空気が漂ってると言うか・・・。」

 Cさん「いいわね阿部さんその年寄り染みた表現。

     自分の理解の及ばないものに対してとりあえず嫌悪感や否定から入る姿勢ね。」

 Aさん「イヤな言い方しないでください!!!」

 Bさん「とは言っても、なんでもかんでも『いいね!』とは

     言いづらいものもあるじゃないですか。」

 Aさん「えっ・・・なに?」

 Bさん「例えばさ、阿部さんが電車に乗って降りようとしたら電子マネーの残額がなくて、

     しかもお財布にも銀行口座にも全くお金がなくて進退窮まったときに

     『駅の事務室で説教なう』とか投稿したとしても

     『いいね!』は押しづらいじゃん。」

 Aさん「なんだよそのシチュエーション!!!

     そんな状況でSNSにアップしたりしないよ!!!

     それに幾何かのお金は常に持ってるよ!!!」

 Cさん「私ならむしろ100回ぐらい『いいね!』するけどね。

     RTしまくったり某巨大掲示板に投下したりするけどね。」

 Aさん「あなたはあなたでホント酷い!!!」

 Bさん「そんな場面でも使えるように、SNSによっては

     『それは酷いね』『悲しいね』的な気持ちを表すための

     フェイスマークがあったりもするよね。

     常に認められ求められ慰めて欲しい阿部さんの承認欲求もこれで一安心だよね。」

 Aさん「だからちょいちょい棘のある言い方しないでくれる!!?」

 Bさん「でもさ、中にはホント

     『いや・・・そんなん正直どうでもいいですわ・・・』みたいな

     ことばっかり書く人もいるじゃん。

     『今日はレストランでチャーハンを食べました。おいしかったです。』みたいな。」

 Aさん「なにその小学生感。

     まあでも確かに、そう言うのもあるだろうねぇ。」

 Cさん「『ゆうべはビーフシチューをたべました』とかね。」

 Aさん「それは『いいね!』を押したくなる類ですよ!!?」

 Bさん「でもまあ、阿部さん以外の人並みに人間関係を重視する人々にとっては、

     友人知人が何かポストしたら何らかの反応をしておきたいと言う

     気持ちもあるじゃない。

     あまりにも無関心だとちょっと冷淡なやつって思われちゃうじゃない。

     クリパとかに呼ばれなくなっちゃうかも知れないじゃない。」

 Aさん「打算的だな!!

     そしてぼく以外ってどう言うことだよ!

     ぼくだって相応に円滑な人間関係を構築していきたいと思ってるよ!!」

 Cさん「このたった4人だけの現場での関係でさえ満足に行かない阿部さんが?」

 Aさん「悲しいこと言わないでくれます!!?」

 Bさん「そんなわけで、そう言う時にも使えるようなボタンを考えたいと思ったの。」

 Aさん「そう言う時・・・。」


 Bさん「名付けて『そうでもないね!』ボタン!

     どうこれ良くない!?」

 Aさん「うん。そうでもないね。」


 さっそく押した。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2017/11/04.html


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