表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【揺花草子。】(日刊版:2017年)  作者: 篠木雪平
2017年6月
175/365

【揺花草子。】<その1975:流れもの。>

 【揺花草子。】<その1975:流れもの。>


 Bさん「──ねえ、阿部さん?」

 Aさん「なに? ブリジット。」

 Bさん「・・・。」

 Aさん「え・・・なに今日は随分と大人しいけど・・・。」

 Bさん「阿部さんはさ。」

 Aさん「え? うん。」

 Bさん「あ・阿部さんは、ぼくが──」

 Aさん「うん、なに?」

 Bさん「──」

 Aさん「・・・?」

 Cさん「そんな訝しげな顔でこっちを見ないでよ。」

 Aさん「いやブリジットがなんか全然要領を得ないので・・・。」

 Bさん「あ・あのね。」

 Aさん「うん。」

 Bさん「・・・あの、ぼくが引っ越すって言ったらどうする?」

 Aさん「えっ? 引っ越すの? そんな予定があるの? どこらへん?」

 Bさん「──。」

 Aさん「え、なに?」

 Cさん「っ──」

 Aさん「・・・ちょっ、カトリーヌさんなんですその・・・神妙なと言うか・・・」

 Cさん「出来れば2,000回まで頑張りたかったけどね・・・」

 Aさん「えっ・・・えっ!? ちょっ!?

     引っ越すって・・・え!?」

 Bさん「ぼくらは根無し草だよ。

     遠くの国からこの国にやって来て。

     ──そのくせ、すっかりこの国に根を張ったと、勝手に、思い込んでた。」

 Aさん「えっ・・・いや・・・え・・・!!?

     で・でも、言ってもほら、カトリーヌさんだって仕事がありますもんね?

     引っ越すって言ったってどうせあれでしょ? 隣の区とかそんなレベルでしょ?」

 Cさん「私はフランスで自分の仕事を捨ててこの街に来たのよ。」

 Aさん「っっっ・・・!!!

     い、いや、でも・・・急にそんな・・・!

     まさか・・・!」

 Bさん「でも、いつになるかはまだはっきり分からなくてね。

     ただ、──その、こう言う言い方をすると少しアレだけど、

     阿部さんにも、相応の覚悟をしておいて欲しいの。

     ──過ぎた願いかも、知れないけれども。」

 Aさん「い・・・いや・・・そんなことは・・・ないけれども・・・。

     で、でも、どこに引っ越すの・・・?」

 Bさん「えっ?」

 Aさん「えっ?」

 Bさん「あぁー・・・」

 Aさん「えっ? なにその顔?」

 Bさん「(どこにしよう・・・)」

 Cさん「(どこがいいかしら・・・)」

 Aさん「えっなに2人でこそこそ喋ってるんです?

     気のせいかも知れないけれども、今慌てて決めようとしてません?」

 Bさん「そ、そんな事ないよ!?」

 Aさん「それじゃどこに引っ越すって言うのさ。」

 Bさん「えーと・・・じゃあ・・・」

 Aさん「(じゃあって言った・・・)」


 Bさん「フォン・ブラウンで。」

 Aさん「月かよ!!!!!」


 なん100年後になることか。


----------

「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2017/06/24.html


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ