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【揺花草子。】(日刊版:2017年)  作者: 篠木雪平
2017年6月
163/365

【揺花草子。】<その1963:普段からの心掛けが大事。>

 【揺花草子。】<その1963:普段からの心掛けが大事。>


 Bさん「今日は県民防災の日ですね。」

 Aさん「いや、まぁ、そうだけど・・・

     ローカルな話題出して来るなぁ。」

 Cさん「あの出来事は1978年だそうだから、もう39年前になるわね。」

 Aさん「うーん、そうですか。

     聞くところによると地震被害で良くある火災は全然で、

     大半の死傷者が家屋倒壊が原因だったって言いますね。」

 Bさん「とりわけブロック塀の倒壊が酷かったらしいね。

     ニュースの映像とかでたまに見るもんね。」

 Aさん「うん、そうだね。

     それを受けて耐震基準に関する法制が変わったりしたんだっけね。」

 Cさん「6年前の震災の時にはこの基準強化のおかげで

     建物の被害は多少は防がれたと言う意見もあるようね。」

 Aさん「まぁあれはちょっと規格外ではありましたけどね・・・。」

 Bさん「ま、とにかく、今日は県民防災の日で。

     前にもこの話したの覚えてる?」

 Aさん「えっと・・・確か、きみが小学生の頃の話じゃなかった?

     放送委員会に所属してたきみが、昼休みの放送で

     午後に避難訓練がありますよって盛大にネタバレしちゃったって言う・・・」

 Bさん「そうそう。

     放送委員会の顧問の先生は笑ってたけど

     教頭先生からえらい剣幕で怒られたんだよねー。」

 Aさん「いやまぁそりゃ普通怒るだろ・・・。」

 Bさん「ああいう避難訓練ってさ、たぶんもうある程度

     手順がマニュアル化されてる感じがあるよね。」

 Aさん「マニュアル化。」

 Bさん「具体的に言うと、授業中の程よいタイミングで全校放送がインサート。

     地震が発生したから全生徒机の下に隠れなさい的なアナウンスが入る。」

 Aさん「あぁ、うん。」

 Bさん「そしてそれからややあって、

     『家庭科室から火災が発生したから全員先生の指示に従って校庭に脱出せよ』

     と言う指令。」

 Aさん「うん、そうだね。ありがちなパターンだね。」

 Cさん「その際お菓子を忘れないようにとも伝えられるわよね。」

 Aさん「『おかし』ですけどね。『押さない・駆けない・喋らない』ですけどね。」

 Bさん「で、校庭に全員が揃ったら担任の先生を通じて避難完了のステータスに変わると。

     全学年全クラスの避難完了を以て避難経過時間の計時がストップするわけだよね。」

 Aさん「あぁ・・・そう言うのあるね・・・。

     『避難完了まで**分**秒かかりました』的な・・・。」

 Bさん「ああ言うのってさ、実績をきちんと教育委員会に報告として

     上げなきゃいけないんだろうね?」

 Aさん「えー・・・どうなのかな?

     まぁ学校の中で自由に決めてやるって感じでもないと思うし、

     管轄する市町村の教育委員会に実施計画と実績を報告するってことはあるかもだね。

     なにぶん県内全市町村の全小中学校がこの日に避難訓練をするんだろうからね。」

 Bさん「そうなると、それぞれの学校同士で避難時間の短さを

     競い合ったりしてるかも知れない。」

 Aさん「うーん、まぁ校長先生的には『あの校長の学校には負けないぞ!』みたいな

     プライド的なのはあるかもね。」

 Cさん「中には記録のために事前に生徒に避難訓練の実施を告知すると言う

     禁じ手に手を染める学校もあるかも知れないわ。」

 Aさん「うーん・・・。

     どうでしょう・・・。」

 Bさん「もちろん先生がそんなこと言っちゃっちゃこりゃ問題になるよね。

     でも、それが、うわさを聞き付けた生徒の口から洩れたとかだったら、

     まあある程度しょうがないかなと言うところはあるじゃない?」

 Aさん「うーん・・・。」


 Bさん「そう言う意図で怒られるのを承知の上で

     盛大にネタバレしてみたと言うことにしたい。」

 Aさん「過去の自分を擁護するのに必死だな。」


 そもそもそんな競争意識はきっとない。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2017/06/12.html


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