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【揺花草子。】(日刊版:2017年)  作者: 篠木雪平
2017年6月
156/365

【揺花草子。】<その1956:叛逆の物語。>

 【揺花草子。】<その1956:叛逆の物語。>


 Bさん「多くの人々から蛇蝎の如く嫌われているキュゥべぇですが。」

 Aさん「あぁ、はい。

     でもまぁ、しょうがないねあれは。」

 Cさん「精一杯キュゥべぇを擁護しようとすれば、

     彼らのような倫理観も価値観も我々とは全く異なる存在であるキュゥべぇは

     ただ純然と、ただ真摯に自分たちの利益を追求したが故の行動と

     言うこともできるわけだけれども。」

 Aさん「いやまぁ論理的にはそうですけど、

     心理的には到底納得できないですよね。」

 Bさん「改めて前提を説明するけど、

     キュゥべぇは深く強い願いを持つ少女の前に現れ、

     願いを叶える引換えに魔法少女となる契約を交わす。

     そして契約を交わした魔法少女は魔女と戦い続ける宿命を負わされるわけだよね。」

 Aさん「その終わりなき戦いの末に力尽き果てた魔法少女は

     絶望の中で魔女へと変異してしまうと言うことだよね。」

 Cさん「キュゥべぇが邪悪と称されるのは、

     魔法少女は例外なく魔女に堕してしまうと言うことを伝えず、

     また魂が肉体からソウルジェムへと移行してしまうことも秘密にしたまま

     契約を迫るところなわけよね。」

 Aさん「うーん。こうして話してるだけでも胸くそ悪くなって来ますね。」

 Bさん「とは言え、ママンもさっき言った通り、正直キュゥべぇにとっては

     魔法少女が絶望の末に魔女になって結果的に全てを失うとしても全く無関心で、

     むしろその絶望を生み出すこと自体が目的なわけだよね。」

 Aさん「そうだね。

     宇宙の熱的死を回避するために、

     彼らは『感情』をエネルギーとして回収することを目論んだわけだよね。

     そしてその最も効率の良い手段が、

     『少女の絶望』と言う感情の爆発により生み出されるエネルギーの回収であると。」

 Cさん「だから『どんな願いも叶えられる』と言う甘言で、

     いずれ悲劇的な結末を迎えると分かっているのに

     せっせと少女たちに契約を迫るわけね。」

 Aさん「極悪極まりないですね・・・。」

 Bさん「とは言え、個人的には、感情の爆発をエネルギーに変換すると言うことそのものは

     技術としては非常に素晴らしいものだと思うのです。

     なにしろ人が人である限り心は尽きないわけで、それはつまり

     エネルギーとして無尽蔵だと言うわけだからね。

     エネルギー保存の法則を覆す奇跡だよ。」

 Aさん「まぁ・・・それは確かに。」

 Bさん「キュゥべぇがヘタを打ったと言うか、我々と相容れなかったのは、

     そのための材料としての『感情』として『少女の絶望』と言う

     我々サイドにはどうやっても容認できる余地がない要素を選択したことだ。」

 Aさん「うーん・・・どう言うこと?」

 Bさん「つまり、もっと、誰も傷つかないような、でも強くかつ普遍的な感情があれば、

     少女の絶望なんて言うものを選ばなくても良かったと思うんだよ。」

 Aさん「うーん・・・なるほど、言いたいことは分かるけど、

     そんなものがあるのだろうか?」

 Bさん「それをぼくは知っている。

     誰もが等しく胸に抱え、そして決して変わることのない感情をね。

     それをエネルギー化することができれば、

     誰も傷つかずに、あらゆるエネルギー問題を解決することができると

     ぼくは考えているよ。」

 Aさん「えっ・・・そうなの?

     そんなものがあるの?

     一体どんな感情なの?」


 Bさん「阿部さんに対する嫌悪感。」

 Aさん「その感情はぼくを傷つけるんだけど!!???」


 エントロピーを凌駕する。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2017/06/05.html


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