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正は以前から細木に気があったのだ。
しかし、自分みたいなデブが告白しても、『キモい』と言われるだけと思いあきらめていた。
何度かダイエットにも挑戦したが、尽く失敗していたのである。
『頭山さん、お身体の方は大丈夫ですか? 木に養分を吸い取られすぎて……』
「ええ、今のところ命の危険はないようです。根も頭蓋に侵入する様子はないみたいだし」
『そうですか。もう、会えないのではないと心配していました』
「え?」
『この際だから言ってしまいます。頭山さん、好きです。会社に戻れたら、私と付き合ってください』
(えええ!! なに? 俺コクられてるの!?)
電話が切れた後も、正は今あったことが信じられない気分だった。
(これは夢だ。俺みたいなデブがモテるはずがない……は! そうか!)
正はすっかり引っ込んでしまった自分のお腹に目を向けた。
今までいくら頑張っても成功しなかったダイエット。
しかし、思わぬことで成功してしまった。
(そうか! だから細木さんは自分のことを見直してくれたんだ)




