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テンシノシカク  作者: mamemarome
4 angel's right
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「我々は文化的発達の程度を、『科学的に進歩しているかしていないか』という尺度で一方的に決定する。しかし、本当にそれでいいのだろうか?」

 園部(そのべ)(ぬえ)は、心底(しんそこ)から不思議そうに言った。

「例えば、言語的な進歩の程度を示す際に、研究者は(おう)々にしてその文化における語彙(ごい)の数を指標にする。指標としては分かり(やす)いが、分かり易いが(ゆえ)に、『語彙が多い文化のほうが進歩ないしは成熟している』という短絡(たんらく)的な誤解を生みやすいのも確かだ。語彙の少ない文化の中で生活している人間は、語彙の多い文化の人間を(はる)かに凌駕(りょうが)する『コンテクスト読解力』を有しているというのが私の考えだ。一つの単語がその使用されるコンテクストにおいてどのような意味を有しているかを瞬時に理解でき了解できる能力を発達させていなければ、語彙の少ない文化は成立しない。そうした想像もつかないほどの『前言語的な能力』の高さを、知能的に劣っているなどと我々が断じてもいいのか?」

 激するでもなく、諦念(ていねん)するでもなく、透徹(とうてつ)した眼差(まなざ)しで彼女は話し続ける。

「現代科学という数百年の歴史しか持たない物差しで、数千年に(わた)って築き上げられてきた人間の知恵を断罪し否定するような真似を許してもいいのだろうか?我々はもう少し謙虚になるべきではないか?合理化の名の(もと)に大局的には非合理的なことをしている可能性が有ることを、振り返って考えてみるべきではないだろうか。」

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