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マデュディデッド魔皇国

マデュディデッド魔皇国、絶対舌噛むし。その魔皇国を治めるのがリュシアン・ルシエル・マデュディデッド=後輩

エウゲン・リヒャルドネオ・シェルゲン=目のあった御仁、実は宰相

シェアリリー・ロメルカ・オウザヘル=上級貴族のご息女であり私専用侍女。箇条書きで書かないと覚えられそうにない。

目覚めた場所が場所なだけに紹介された人物達はおいそれと一般人が会えるような方達ではなかったようだ。

状況説明を求めて後悔しているがこれもきっと転生ものの王道なのだろうと以前読んでいた話を思い出す。

町はずれの森やら湖だのそう言った場所じゃなく豪華な寝台の上で覚醒したのは喜ばしい事なのだろうか。

そんなことは無い私だったらぜひともこの魔皇国中央から遠く離れた町が良かった。そうすればこの後輩と会う事も関わり合う事もなかったのではないか!

宰相エウゲンが語る話を聞きつつも内心では無駄な足掻きを考えていた。関わり合う事が無い訳がない、何せこの後輩は言ったのだ。


迎えに行きました。―――、魂の身の私よ。何故、こいつに捕まったんだ!!


自問自答したくなる気持ちや次々と浮かんでくる記憶に前が霞みそうになるのをぐっと堪えエウゲンさんに私からの疑問をぶつけた。


「ここがマデュディデッド魔皇国で有り魔力を絶対とする世界だってことですが、私に魔力なんてありませんよね?そんな私でも住んでいけるような場所に居住を保証してくれませんか、あと出来る事なら食べていけるぐらいの仕事も一緒に」


もっともな質問だと思う。何せ私は元日本人、この記憶がある限りあの当時魔力なんてものは持っていなかった。魔力の無い私が魔力が物を言うこの世界で暮らしていくには連れて来た側に保障を求めるのは行き過ぎたお願いではないと思う。

厚かましいかな?と、思うことも無いが私専用侍女を用意した時点でそれなりの対応をしてくれるつもりだったのだと勝手に解釈した。侍女はいらない、だから代わりに安定した生活を!!


「衣食住に関しましては一生涯の保障させていただきます。それに先輩様にはリュシアン様並みの魔力がございます。それはもう素晴らしい魔力でございますよ」


「一生涯なんて結構です、仕事さえ頂ければ働いてなんとかしますから。お給料もらえるまでの保障を貰えればありがたく思いますけどって・・・私に魔力があるんですか?」

「はい、それはもう・・・・あの、我が主がその・・何か言いたげで・」


我が主が何だと言うのだ、ずっと視線で語りかけて来ていた事を綺麗に無視して話を進めていたのについにその口から言われてしまうと頭をホールドし口を塞いでいた事に悪気が起きてしまう。さて、どうしようものかと微かに腕の力を抜いたら自ら動いて解いていた。

魔力云々の所で動き出しそうな素振りを見せたから塞いでいたのに。

これに関わるとロクな事がない前例が多々あり過ぎて発言を禁止していたと言うのに、


「先輩魔力ありますよ?そこら辺の貴族じゃ相手にならないぐらいに」


貴族がそこら辺に居たら何の為の階級制度だ!中々お目にかかれないからレア度が上がるといのに、やはりそこら辺に貴族が居るという環境から抜け出す為にもいち早く必要最低限の知識を得てここから出て行かなければ。

目標が決まった所で実行に移す為にも行動あるのみ、そう動こうとした時改めて思う疑問に今さながらに気がついた。


「私、なんで魔力あるの?」


「今の身体に魂を馴染ませるために俺の血を使いました。それに元々持っていた力と合わさって相乗効果的な感じでばっちりです。目が覚めるまではどう転ぶか判らなかったけど先輩なら絶対大丈夫だろうと思っていたし、先輩自分は既婚の子持ちって譲ってくれなかったから寿命まで待って肉体的にも真っ白な状態でこちらに連れて来たから先輩いま処女ですよっ、ま、っつ」


えっと誰がマデュディデッド魔皇国魔王様だっけ?目の前に居る相手は後輩。だって私を先輩と呼ぶし。その後輩が間違った事を言うのならそれを正してあげるのが先輩。

この無駄にきらきらした人物は立派なセクハラ野郎だと言う事は今知った。長年勤めてきた私からすればセクハラは立派な犯罪行為であり許すべき悪罪。

だからこそ天誅をかますのに迷いはなかった。

華麗に決まった右ストレート。エウゲンさんが固まって、シェアリリーさんが驚きながらも頷いて見当はずれな意見を言っていたけど聞こえない。

奥ゆかしいって誰が?


「あんた私に何したのよ!!身体を真っ白にする前に記憶を真っ白にしときなさいよ!そうすればあんたに関わる事も巻き込まれることもなかったし、この世界に違和感なく馴染めたでしょうが!だからこれに話をさせるのが嫌だったんです、ちゃんとした素人にでも判る補足説明を求めます!!」


強い眼差しでエウゲンさんを見ればびくっと体が一度痙攣し一瞬止まったかのように見えた。ほんの一瞬だから定かではないが小さく頷き補足説明をしてくれる。


「リュシアン様の仰った事はほぼ間違いありません。こちらの環境や魔力に馴染んでいただくためにそのお体に血を入れた事は確かです。流石にリュシアン様の血では強すぎると言う意見も出ていましたが、多少の変化はございましょうが無事に目をお覚ましになりました。血を受け入れ尚且つ馴染めばそれなりの能力も移行し徐々にこちらの環境や知識は自然と身に付きます。血が強ければ強い程能力移行も強い物となり恩恵を与えますが、その反面危険も増し消滅の危機ももちろん増えます。ですが、流石先輩様と言うべきでしょう、我が主をそのように扱う何とも特別で尚且つ貴重な存在。この世界に来ていただいたことを心より感謝します」


胸に手を置きエウゲンさんが頭を下げて感謝を述べる。その後ろでシェアリリーさんまで同じように腰を折る。その光景に流されたと言うべきか感謝を言われる筋は無いのだと言えなかった。

それでも一応補足説明をしてくれた事にはお礼を言って視線を戻せば、ヒットした場所を撫でながら笑いかけてくる後輩がいる。


「魔力がしっかり馴染んでるみたいで嬉しいですよ先輩。それに記憶を真っ白にしたら俺との約束忘れちゃうでしょ?来世で一緒になれたらいいねを胸に東西南北制覇して中央に立ったんですから。前世で叶えられなかった事をこの世界で叶えましょうね先輩」


「誰が、叶えるか!このバカ瑠!!」


リュシアン・ルシエル・マデュディデッド=後輩=日本名橘瑠。やっぱりこれに関わるとロクな事がない。そう改めて実感した。


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