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突撃職場訪問!・・・全部惨敗?

「あのさ、バレテないと思う?」


「えぇ、大丈夫だと思います」


突撃訪問!少し顔だしてさっさと退散!

その中に含まれている思惑に感づかれていないか実は心臓はドキドキだった。

一応は後輩の仕事場面を見てみたいと言う思いも多少はあったが、

外出報告の後ろに隠されている本当の目的。


「さぁさぁ行くわよお城探検!目指すは私の出来る事!」


昔の記憶を頼りに出来る事を探し何とか職としたい。

無職は嫌!働かざる者食うべからず!

これを我が子、孫にまで徹底した自分が呑気に居候生活等出来る訳がない。

もっとも環境は大分変り今の私と前の私とでは違うのかもしれないが暇をしている時間があるのなら何かしらしていたい。


「マイ先輩様、何もご自分で働かずとも何でも好きにご用意できますよ?」


はい!その台詞絶対人をダメにします!

働かないで楽を覚えるとそのまま泥沼にはまるんです!

笛があるのならピッピーと吹いてレッドカードを掲げたい。

もちろんそう言ってくれるのは痛い程判ります。えぇ、今の私のこの訳の分からない立場なら絶対に誰もがそう言うのでしょう。

だがしかし!私はそういうタイプの人間ではございません。

定年退職を迎えても数年は何かしら仕事をさせてもらっていたぐらいです。

寿命をまっとうして新しい生を得てもその心意気は変わりません。


「何でも好きに用意してもらったらつまらないでしょ?私が働いて頑張って貯めたお金で住めるぐらいの自宅。それが夢なんだから」


大きくなくていいんです。小さくても賃貸でもとりあえず自分の城が欲しい!

今住んでる場所は後輩が用意してくれた大事な場所。

皆が良くしてくれる場所ではあるけれど私が選んだ場所ではない。

私の物だと言うけれど・・・・


「ねぇシェアリリーまずはお城の下働きの方々が居る場所へ行ってみたいな」


炊事洗濯お裁縫はとりあえず一通りの事が出来るとは思う。

お裁縫に至ってはちょっと危ういが炊事と洗濯に関しては何とかなる。・・・筈。

出来れば事務職と言いたいけどこの世界の事務がどういう物なのか判らないしへたに政治にかかわるとろくな事が無い。

ここはやはりひっそりと裏方仕事を教えてもらい街で役立てたい。

上手くすれば街からお城へ働きに来ている人も居るかもしれないし。









「甘かった・・・」


そう、私は甘かった。

シェアリリーにアイザック。とくにアイザック・マシュー・ボウドマンを伴ってそう言う場所に出向けば皆が皆石化した。

シェアリリーは副隊長の格好ではないし侍女の姿をしていてもその空気から上級貴族と言うオーラが出まくっている。

どうして最初にそれに気がつかなかったんだ私!!

自答自問しても今さら遅く、『こんにちは』と挨拶しても返事などは皆無。

それどころか視線すら合わせてくれない。

最悪は涙目で震えているし。


「ごめんなさい。お邪魔しました」


その台詞を言ってその場を出るしか策は無かった。

同じ失敗はしない!とアイザックに隠れてもらってもどうしてか皆が皆同じ対応になる。


「・・・お仕事中にごめんなさい。おじゃましました」


どうして・・・。普通にお話だけでもしたかったのに。

もしくはその仕事ぶりをちょっと端の方から見せて頂ければ・・・。

それだけだったのに。

途方に暮れる事数か所目、色々な場所へ案内してくれるシェアリリーには申し訳ないけどどうしてそんなに笑顔なのかを聞いてみたい。


「先ほどの部署で最後になります。マイ先輩様、どうなさいますか?」


その笑顔、眩しすぎて見えません。

同じようにアイザックまでもが同じ笑みを見せている。

笑いを堪える様な何処か誇らしげなそれ。

何がそんなに楽しいんですか・・・。


「マイ先輩様そんなにしょげないでください。きっと見つかりますって」


「・・・洗濯、掃除、料理。お裁縫はそんなに得意じゃないけど最初の3つはそれなりに出来ると思うのに。お話を聞く前に拒否されるなんて・・・私には営業職は精神的に無理ね」


「営業職?」


「ううん、なんでもない。どうしてあんなに緊張した面持ちで皆石化して・・やっぱり私って顔が怖いのかな。それとも雰囲気?これじゃお部屋貸して下さいって大家さんに頼みに行く前に門前払い?!」


自分で言いながらどんどん凹んでしまう。

一生懸命笑顔で話しかけてるはずなんだけどそれが裏目に出ているのか。

何かアイザックやシェアリリーが問題じゃなくて私自身?

偉い人が居るからつい緊張してしまう。そう思っていたのに二人に離れてもらっても同じ対応だった最後の訪問先で最後の部署という言葉と一緒に私も撃沈。


「せっかく二人に色々連れて来てもらったのにごめんなさい。やっぱり私にお城勤めは無理みたいだね・・・」


お城勤めは無理でもせめて町の情報だけでも手に入れたかったけど話すら出来ない状態では会話も間々ならない。

・・・こうなったら残る手段は一つ後輩の知識を元に飛び出すか。


「マイ先輩様これ以上は後日にして戻りますか?」


アイザックの言葉に力なく頷くしかなかった。

これ以上訪問しても迷惑だけしかかけないだろうし何気に心が折れていた。

就職活動の前活動ですでに全敗、・・・・。


「負けてなるものか・・・」変なところで負けん気の強さに灯がつきました。










目の前でしょげている姿は結構くるものがある。

でも何故か強い眼差しを垣間見せたマイ先輩様の姿に敬服する。

『お城の下働きが見たい』と言った時、

「マジか?この方を連れて行けと?」そう思ったのは何も俺だけじゃない。

一緒に護衛兼侍女をしているシェアリリーも思っただろう。

実際に一瞬驚愕し掛けていたしな・・・。

ご要望とあれば共に参ります。

そんな心意気で案内しだしたシェアリリーに思う事はあるが黙って着いて行けば、順に案内する場所は本当に下働きの居る部署。

最初に洗濯清掃を任されている部署に連れて行くと近づく前から聞こえてくる息を飲む声に消える気配。

落ちたな。

そう思った瞬間血相を変えて飛び出してきた多分その部署を任されている者。

マイ先輩様の眼に入る前に合図を送り引っ込ませる。


「マイ先輩様こちらが洗濯清掃を任している部署でございます」


「お邪魔しても大丈夫かな?」


「えぇ、もちろんでございます」


シェアリリーが気を逸らしている間に引っ込ませた相手に事情を話せば涙ながらに首を振る。

まぁ、多分『了解しました』って合図なんだろうがその勢いで首を振ってるとちぎれんぞ?と、一応忠告はしておいた。

案の定と言うかなんというかやはりマイ先輩様の魔気に

次々と中の者達がやられ活動停止中だとそいつは言った。

当然そうなると判っていながら連れて来てるこちら側も多少悪いと思う所だが、その思いよりもこのような場所にマイ先輩様が来られた。

そちらの方が思いが強いらしく笑顔でぶっ倒れていると聞いて良かったなぁと言っておく。

マイ先輩様も自然と魔気を抑えられているがそれでも漏れだす魔気だけでこの始末。

どれだけ強いのか見当もつかない。

そのやり取りを数か所つづけ、次第に凹んでいく姿にネタばらししてやりたいが仕事を諦めてもらうためにはこちらも涙を呑むしかない。


「・・このような場所までお越しいただきありがとうございます」


やっとの事で言った台詞を最後に石化した相手に労わりの視線を送るのはシェアリリー。

固まった身体に触れ大丈夫かと心配しているマイ先輩様の手をそっと外させ外へと誘導する。

魔気を薄くさせるのが石化を解く鍵でもあるので致し方ない。


「アイザックさんどうしようあの人大丈夫?」


「えぇ、大丈夫ですよ。毎度の事です、きっとあがり症なんでしょう」


「あ、あがり症なの?本当に?せっかく話してくれる人が居たと思ったのに・・・」


マイ先輩様を前にして挨拶が出来ただけでもこの部署にいる者としては強い方だろう。

このまま埋もらせておくのは勿体ないぐらいだ。


「アイザックさんもシェアリリーも貴族って立場なんでしょ?だからやっぱりあがっちゃうのかな?貴族に会うなんて考えただけでも私もあがりそうだし」


「・・・マイ先輩様」


私たちじゃありません。

貴女様です。


そう、言いたいのを我慢して笑顔を見せる。

ヤバいマジで爆笑したい。


「次は私一人で行ってみる!」


もう黙って見送るしかないだろう。

緊張しながら次の部署へと訪問するマイ先輩様の姿を見ているとどうしてか心が和む。

なんだろう初めてのお使い?そんな風に見えてしまう。


「どう思う?」


「どいつもこいつも情けない。少しぐらいは対応できないのかと思いますね」


「地が出てるぞ副隊長」


「そういう隊長も随分とお付き合いくださいますね」


「マイ先輩様は飽きさせないからなぁ」


「「さすがマイ先輩様」」


意見が一致したところでがっくりと肩を落として戻ってきたマイ先輩様につい笑顔で出迎えてしまった。

これで諦めてくれると助かるんだがな~

何処に行こうがマイ先輩様の魔気に酔わない者は居ないだろう。

特に望まれた部署はどうしても力が弱い街の者が多くいる。

それが狙いだと判っているから余計に素直に連れて来た。

仕事がしたい。話がしたいと望まれているのを判りつつ、

お連れしながら無理だと判らせる事に複雑な思いはある。


「負けてなるものか・・・」


きっと本人は聞こえて居ない位の小声だろう。

でもそれをしっかりと聞き取った俺とシェアリリー。

呟いたマイ先輩様の瞳の輝きに眩しさを覚えた。


「やっぱり流石は優衣先輩様だな」


「私の御守りするかたですから」


どこか誇らしげな副団長の言葉に部下の成長を感じた。





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