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八丈島のクラゲは砥石を研いで針にするの、5

 「――ああれぇ!?本当に自衛隊の()()()()より早く現着できてるじゃん」マレは上機嫌に言葉を滑らせた。後ろに付けた二つのパーツがあってなお、八丈島からの空の旅は快適だった。それこそ「今までのは一体何だったんだ?」と言いたいほどの安定した精度の飛行だ。

 地面の障害物を小器用にかわしながら目的地へと向かう自衛隊の三機を眼下に、ノーシェイプは悠然と上空を飛び越えていく。


 そういえば、と思い出す。


 二年前、ロバの巨大獣と対峙した際に共闘したあの三人組は今もまだ息災でいるだろうか。あれ以来、現場でも遭遇する機会がなかった。

 特にあの目つきの悪い角刈りの坊やは傑作だった。巨大獣に触れた途端、霧みたいに消えていった様子を見て青い顔をしておろついていたあの坊や。

 「あれ、きっと自分が壊したんだって、思ったんだろうなぁ」

 そう考えると少し可愛い、という形容が浮かぶ。

 

 「今追い越していった中に、いるといいな」ぼそりと口ずさむ。


 「――何笑ってんのよ気持ち悪い。現着できたんならできたって報告なさい。次のプランニングだってあるんだから!」ダオが画面越しに怒鳴ってきた。

 「――あいあい。現着しましたよ――っと!」

  マレはけっしてふざけたわけではない。飛行線上でピックできた無人偵察円盤を並外れた動体視力で捉えるやいなや、すかさずトリガーを引いて撃墜していた。

 八丈島にある日流研のレーダーから敵機のマークがひとつ、またひとつと消えていく。

 「よし、じゃあ次は進行方向にいるヤツ、狙って――尻尾アタックよ!」


 「無茶いうなし。そっちからは平面に見えてるんだろうけど、こっちは高さも考えなきゃなんないって――わっかんないかな?」再びトリガーを引く。空中で無人偵察円盤がまた二つ、爆散した。


 「よーしよしよーし!」ダオが歓喜した。レーダーから敵機のマークが、また消えたからだ。


 「――ちぇっ!結局、尻尾だろうがなんだろうが、撃墜すればなんでもいいんじゃないか」一瞬でも尻尾アタックで仕留めてやろうという気になったことをマレは恥じた。

 減速しながら角度を決めて、マレは残った無人偵察円盤の軌道を先回りした。

 速度が落ちているとはいえ、円盤よりは何倍も速い。

 「ああらよっと!」

 回り込んだ先で踵を返す。急激な制動――からの転回でノーシェイプの二つの球形パーツがぐるりと弧を描く。振り回されたパーツは見事無人偵察円盤の一機を捉えた。

 もう一機もいけると踏んでいたが適わず、ノーシェイプの尻尾アタックをかすめた残り一機がフラフラと赤羽へと落ちていく。

 「――ちょっと!変なところに落ちられちゃ困るんだってば!」

 マレがノーシェイプの態勢を整えるわずかの隙間。少なくなっているとはいえ落下先に住人がいないとも限らないのだ。銃口を向けるが角度が悪い。外す外さないを別にして、いかんせん地表との間隔がなさすぎる。命中させても爆発されるし、外せば街に着弾して被害が出る。


 「無茶かもだけど――信じてるよmkⅡッ!」

 停止しかけたノーシェイプに再度ブーストをかけなおす。レスポンス良くマレの操作に応えるノーシェイプ。加速した機体を無人偵察円盤に近づけ、縦にバク転。二つの球形パーツ(尻尾)が遠心力で振れ、東本通りのアスファルトギリギリで円盤を空中高く打ち上げた。中央分離帯に植樹した広葉樹の頭を少しばかり削ったものの、街に損壊を与えることなく凌いでみせる。

 打ち飛ばされた円盤が空中で爆発したのを見届けて、マレはノーシェイプを再び空中へ浮遊させる。

 パイロットスーツの中で、どっ、と汗が噴き出すのがわかった。同時に達成感がこみあげてくる。小さく左手を握り、ガッツポーズをした。普段のマレなら決してすることのない行為であったが、あまりにもイメージ通りに動いてくれたノーシェイプmkⅡに感動して、知れずそうしてしまっていた。


 正直、物足りない思いで身体の疼きと火照りが収まりそうもない。

 

日曜日が終わると明日から平日ですね。週休五日とかだと嬉しいのですが、ままなりませんね。そういえば週末の代名詞としてよくサザエさんが上がりますが、本当にスポンサーのCMが少なくて驚きました。自分がこれまでいかに流し見していたのか気づかされましたw

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