登場!7体合身ミンケイバー7Y!、の4
町田市から世田谷区上空に鳳の1号機、通称ケイバージェットが着いたのはわずか数分後のことだった。まだ後続の大地と太平の姿は見えない。ケイバージェットはすでに宇宙人の無人偵察円盤を数機捕捉していて、単独で先陣を切るべきかどうかの判断を迫られていた。世田谷は以前ほどではないにせよ未だ若者人気が強い街だ。太陽風災害後に高齢者が避難するのにあわせて若者が逆に流入したこともあり、人口はほとんど災害前と遜色がない。太陽風災害によってこれまでの主流だった電波通信が機能しなかった時、いち早く有線による回線復旧を行った地域であったことも人口減少を食い止めた一因であろう。
鳳皇は街の中を逃げ惑う人影を認めるや、躊躇わず武器の引き金を引いた。戦闘機形態のケイバージェットから放たれた30ミリバルカン砲は、ガガガガッという機械音を響かせながらあやまたず敵機の側面部位を撃ち抜く。よろけた円盤の無防備になった天井部分をさらに攻撃すると、そのまま円盤は空中で爆散した。
一機撃墜。鳳が次の無人偵察円盤に狙いをつける。
「鳳!無人機は捕獲だ。そう命令されているだろうが」
ようやく追いついた大地駆から音波通話が届く。音波通信が届く範囲は極めて狭い。おそらくといった方に目を向けると、やはり2-3号機と4-5号機の姿。
「いや、それで良い。人命が最優先だ。生きた人間が我々を評価してくれる。死人は悪評にしかならん」と太平。
「大型侵略獣はいないみたいだな。今回は習慣偵察か」
拍子抜けだと言わんばかりに大地がため息を吐く。
「ーーいや!」鳳がレーダーに映るマークの方へ視線を切った。土煙と、薄暗い灰色の空を背景に、巨大な影が浮かび上がる。
「で、でけぇ!」全ケイバーの中にあって最大を誇る4-5号機を上回る大きさに、思わず太平も絶句した。
これまでも幾度か敵の巨大獣と戦ってはきたが、今度の敵は抜群に大きかった。世田谷のビル群が巨大獣の影に隠れてしまってまるで見えない。
気圧される者の多い中、戦場に短く銃線が走る。鳳のケイバージェットが飛び去りながら巨大獣に対してバルカン砲を斉射していた。
しかし銃弾は弾かれるでもなくめり込むでもなく、敵に当たるや力無くこぼれ落ちていく。
「1号機の火力じゃ歯が立たないようだな」旋回しながら鳳が呻いた。
「なら!」その場にいたほぼ三人が同時に口を開く。
「ーー合身するしかない!」