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巨人再来の、14

 これまでいかに力まかせに戦ってきたのか、ミンケイバーメインパイロット鳳皇(おおとりすめらぎ)はそのことをようやく肌で感じるに至っていた。

 全部のパーツが揃ってこその合体メカだというのか?否。これまで多くのスーパーロボットが苦難の度にその逆境を跳ね返してきたではないか。

 「まだ!やれるはずだッ」

 しかり絞り出された声はかすれていて、鳳自身の心が揺らいでいることを露呈しているように響いた。

 「大地!超電撃メンコだ!、フルパワーでもう一度叩きつけやれ!」

 「無茶言うなよ。あれだって相当なエネルギーを使うんだぞ。エネルギー消費の少ない武器で戦うべきだ。そうだ、おっさん(太平洋)。レッグミサイルとか、あったろ?」

 「とっくの昔に弾切れでさぁ。一度目の空中からの攻撃の時に全弾撃ち尽くし御礼」

 「大地さんのケイバ―カッターは」

 「――それならまだあと一発、あるな」

 ロウの言葉に大地が反応した。風林火山を背中に収納すると、肘の少し上――右腕上腕部に左手を突っ込む。

 本当にこのロボットはどうなっているのか――。突っ込んだ左手は右腕よりもやや長いくの字状の巨大な刃物を取り出すと天に向かって高々と掲げた。その長さはゆうに20mを超えている。

 「これでも喰らえ!ケイバぁぁァあッ!カッタァアァアあぁぁッ!」

 「――馬鹿ッ!少しは考えてから投げろ――ッ!」

 鳳の声も制止操作も虚しく、大地は掲げたケイバ―カッターを思い切り地表に向かって投げ飛ばした。

 ぐおんぐおんと低い唸りを上げてケイバ―カッターが回転しながら飛んで行く。カッターはタガメの全長と同程度の長さだ。大きいうえにそこそこの切れ味を誇る。なによりそんな巨大なものが飛んでくるのはもはや恐怖でしかない。鳳の不安を払拭するかのようにケイバーカッターはあやまたずタガメを捉えようとしていた。

 「ハッハァー!ぶった斬れ、ケイバーカッタァーッ!」

 地表すれすれを滑る巨大刃をタガメは射程の長い両手の鎌で左右から迎撃した。しかしケイバーカッターは止まらない。タガメの鎌をふたつとも粉砕してさらにタガメに迫る。

 鎌をへし折られたタガメが、衝撃をまともに受けて吹っ飛んだ。しかしそのことがタガメにとっての幸運であり、ミンケイのメンバーにとっての不幸となった。

 事もあろうに吹っ飛ばされたタガメが落ちた先がくぼんでいた。その窪みは先にミンケイバーがフルパワーで削り取った飛行場の滑走路だった場所だ。タガメが寝転がった状態に窪みに倒れ込んだその上空、まさに鼻先を掠めてケイバ―カッターが通り過ぎていく。

 「何ぃぃ―――――ッ!?」

 「大地ッ!もう一発いけっ!」

 「あるかそんなにッ!」

 大地の目の前のコンパネがケイバーカッターの弾切れを表示して赤く点滅している。

 「今度こそどうすんだよ!リーダー!?」

 「リーダーッ!」

 大地の一声にあわせてほかの四人の声が偶然、唱和する。

 「お前らなぁ、何度も言うがこんな時ばっかり俺を!リーダーと呼ぶんじゃない!ぜ!」

 こんな時に限って、鳳もそれまで忘れていた語尾に”ぜ”をつける設定を口にしていた。

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