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武蔵野TVの事情~有野ナンシー(31)の場合の、4

 程よく緊張が解けた大地の口が、滑らかから一転、ズルズルになったのは、中ジョッキが半分空いた頃合いだった。

 「――もーほんと、やってられないっすわ」

 よほど疲労がたまっていたのか、あるいはもともとアルコール耐性が弱いのか、すでに大地の瞼は開いているのかどうかもわからない状態になっており、口調はフランクを大きく通り越して酔ったサラリーマンのなれの果てみたいに呂律(ろれつ)が乱れていた。

 

 弱ったわね――。まだ目の前の()()()()から目ぼしい当たりの情報は得られていない。酔ったうえでの話は大概主観が先に立ってしまいがちで、おそらく本音であろうものについても整合性が危ういものと相場が決まっている。

 光の巨人とミンケイバー。当初この二つの点に共通点はなかった。光の巨人は自衛隊の特殊部隊、通称「トゥルーパーズ」と共闘し、その際に現れた巨大な黒い人型を握りつぶした後に、消えた。それが一応の公式発表の顛末だと()()()()()。その後に「実はあれは政府の流したフェイク映像」であるとか、「実は黒い人型が色を変えたものであった」などの噂がたて続けに流されて、ことが一度きりのものであったことも相まってなのだろう、すぐに真相は藪の中に埋もれてしまった。

 しかしどうにも諦めきれなかった有野がつかんだ情報は、公式とはまったく異なるものだった。


 「――ねえ。ミンケイバーって初期メンバーから増員したって聞いたんだけど」

 「――え、ああ。アラタのこと?」目をこすりながらたどたどしく大地が答える。

 「そうそう。()()()()()写真とか、ないかな?」

 少し考えた後、大地はボロボロのスマートフォンを取り出して「あったかなぁ」と呟く。2025年の電波障害以降、それまで誰もが普通に使用していたスマートフォンは通信機能を完全に失っていた。それでも多くの人がいまだに携帯しているのには記録媒体として優秀であったからだ。バッテリーさえ無事であるならカメラの機能は使えていたし、文明の名残りとして手慰みにしている人たちも多かった。

 「ああ、これだね」

 そう言って大地が見せて寄越したのは、宴会の際に撮った写真だった。

 「歓迎会の時だったかな?『自分、未成年なんで』って。十八にもなったら飲むだろうがねって」

 「これって何年前の写真?」

 「――あー。二年、前、かな?」真っ赤な顔で首をくるんくるんと回す大地は今にもテーブルに突っ伏しそうな勢いだ。


 ――二年前に、十八歳――?有野は二年前に調査したインタビューを思い出した。手帳を繰る。

 十八歳なら、違うか?いや、年齢のサバを読んでいる可能性だって否定できない。


 ()()()()を見たことがきっかけで有野ナンシーはここにいる。細い線を辿ってインタビューした高校生たちの中に興味深い二人がいた。

 ――あった。


 当時高校二年生だったその二人は、現場近くではぐれた友人を心配していた。


 二人の名前は、浄然薫梨(じょうぜんかおり)。それと寺門防主(てらかどぼうず)

 

ペルソナというゲームを少しづつ時間を見てプレイしているのですが、ようやく先ほど追加シナリオを終えました。いつもこのシリーズを終わらせるたびに泣かされてイヤになりますw。泣いたといえば昨日プライムビデオで「ブルージャイアント」というジャズにかける若者たちのアニメ映画を見まして。台詞回しがとても秀逸で、まっすぐな若者の行動もあいまって、号泣ですよ。ああもう泣きたいw(泣きましたけれど)

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