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八丈島のクラゲは砥石を研いで針にするの、22

 柊陸曹の思いもよらぬ反撃に、これまで様子見と思しき態度をとっていたヤックが一転能動的な動きを見せはじめた。これまでとは異なる、殺気づいた気配が立ち姿から漂ってくる。

 「なるほど?ようやく本気出してくれるって――そういうわけかい」柊も敵の様子の変化に気づいた。体勢を整える。

 こういう時は、守りに入ったら負けだ。それは柊の経験則から来る勝負勘の()()()だ。

 「――隊長!油断しないで」久能の声が飛んでくる。

 「誰が油断なんかするかよ。こちとら近接戦闘は苦手中の苦手なんだ!」

 実際、油断などをしている余裕は柊にはなかった。

 「自慢にならないことを口走って楽しいの?」

 ヤックの間合いに入ると、久能の揶揄も柊には届かない。十文字槍だったはずの得物は、いつしか長刀に変わっている。

 「また物騒なものを――!」

 かまわず飛び込む。長刀が振り下ろされる前に懐に飛び込める自信はあった。よしんば振り切られたとしても当たり所は刀の鍔際だ。ダメージはかなり軽減されるはずだ。

 爆炸ナックルで派手に殴打されたヤックの頭は黒い表皮が半分むき出しになっており、扇情的な濃いピンクがかったものがチロチロと見え隠れしている。頭部の目に当たる部位には黒い眼球がはめ込まれていて、いったい何のために存在するのかしっかりと造形された歯がみっしりとそろっている。

 「ひびの入ったその(つら)は、まるで仮面かなにかだってか?」

 それだと炎のように揺らめくピンク色は地肌だとでもいうのか。そこまでオカルティックな仕様にする意味がわからない。相手に不快感や嫌悪感、あるいは潜在的な恐怖を植えつける狙いでもあるというのだろうか。

 しかし間近で見ると本当にグロテスクな中身だ。久能あたりが直視したなら身じろぎできなくなってしまうかもしれない。

 「タングステンッナックルッ!」

 拳を打ち上げる。

 ヤックの振り下ろした長刀の根元に拳がヒットする。タングステン合金が刀と擦れて派手に火花が散る。当たり所も良かったのだろうが、打ち下ろしと打ち上げの差があるはずなのにアタックトルーパーが競り勝った。膂力ではこっちが上のようだ。

 「――いける!」

 打ち負けたヤックが一歩下がり、そのタイミングに合わせて柊機が一歩踏み込んだ。タングステンナックルの照準がピタリと揃う。

 「喰らえッ!タングステン・ナッコォオォアぁ!」

 空手有段者である柊の、まさに基本に忠実な正拳突きがヤックの鳩尾(みぞおち)深くに突き刺さった。地面に対して水平に吹き飛ぶヤック。


 「――計算、通ぉおり!」


 柊陸曹が歓喜のあまり空に咆哮をあげた。


戦闘シーンは筆が進むのですが、(私だけかな?)一気読みの漫画に似た感じであっという間に読み終えたりします。書く方は色々と吟味して情景を思い描くのですが、読む場合だと瞬殺してしまう勢いなのははたしていいことなのかそうでないのか。私は基本冗長なほどに情景を書き込む癖がございまして(すでに完結した『オタクな僕と奇妙な猫』のように)、そちらの方が実は向きだと信じているのですが、なんだかもうわからなくなってきてます。バトルシーンは燃えますよね(切りどころがいまいち不可解ですけどw)

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