チラシの裏 刻が降る 作者: 犬が西向きゃ尾は東 刻(とき)が降(ふ)る 刻(とき)が降(ふ)る 砂(すな)のように 刻(とき)が降(ふ)る 雨(あめ)のように 刻(とき)が降(ふ)る 刻々(こくこく)と 粛々(しゅくしゅく)と 刻(とき)が降(ふ)る 刻(とき)が降(ふ)る 畳(たたみ)に転(ころ)がる 頁(ページ)をめくる 刻(とき)が降(ふ)る 鉛筆(えんぴつ)転(ころ)がる 紙(かみ)が丸(まる)まる 刻(とき)が降(ふ)る 刻々(こくこく)と 刻々(こくこく)と 刻(とき)が降(ふ)る 刻(とき)が降(ふ)る 陽射(ひざ)しが廻(めぐ)る 刻(とき)が降(ふ)る 風(かぜ)が凪(な)いでる 刻(とき)が降(ふ)る 鳥(とり)が鳴(な)き衝(つ)く 刻(とき)が降(ふ)る 蛇(へび)がみじろぐ 刻(とき)が降(ふ)る まだ 何者(なにもの)でもないのに 刻(とき)が降(ふ)る 何(なに)も 成(な)せていないのに 刻(とき)が降(ふ)る 刻々(こくこく)と 粛々(しゅくしゅく)と 刻(とき)が降(ふ)る 刻(とき)が降(ふ)る 滝(たき)のように 嵐(あらし)のように ぼくが何者(なにもの)でなくても 刻(とき)が降(ふ)る 刻(とき)が降(ふ)る ついに降(ふ)り積(つ)もって 息(いき)詰(つ)まる