しゅるりしゅるり
丸まったものの外側に
ひらひら雪が降りまして
溶けて消えては
震え始めます
振動は伝わり
地面を揺らし
鴉が鳴く前に
足元へ消えていくのです
影と呼ぶには不確かな
棒立ちの人形が歩き回り
探し物をしているようで
単純に値踏みをしているだけという
要らない形が蒸発していました
新しい雪に変わる頃に
割れた氷の先を描いて
鉛筆削り機の音だけが
しゅるりしゅるりと
遠くの山まで聞こえます
刺激された啄木鳥が
無闇矢鱈に穴を開け
幹の形を変えるのでした
木こりは嘆き
何本も斧で切り倒して
救う為の格好を見せると
木の上のカッコウは
その近くで鳴くのです
同じ仲間だと鳴くのです
あの内側は
どうなっているのか
知らないままで終わったところで
何の痛みもありませんが
疑問だけを取り出して
ガムのように噛むことで
時間の空きを埋めるのです
知らない水鳥に驚かれて
一鳴き置いて
飛び立たれたところで
特に此方側には
何の意味も無いのと同じでした
魚が跳ねた時に
漸く意味が分かるもので
至って静かな時間には
邪魔にしかならないのです
ゼンマイの緩んだタイマーの箱は
音が遅れていて
時間も同じように遅れていました
兎と亀を作り出したような
使い込まれた道具は
有名な芸術家であるようでした
出で立ちは世捨て人でしたが
怠惰と惰性が生んだ先に
電流が流れることで出来上がる
フランケンシュタインとしては
魅力的な風体です
買い替え出来ないものの
重要な内側のようで
アレの中身が
不思議と分かるようでした