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魔導士ディーラー 覚悟を決めたそうです。

 立ち向かっていたアイリスが風圧に飛ばされて私たちのところまで後退する。


「くそ居合いの集中ができない」


「アイリス落ち着け戦況を把握してみんなと協力しよう」


「協力だとふざけるな、あいつらはチル兄や私を侮辱した連中だぞ」


「今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ! 年長者の言うことを聞け!」


 突然の大声に彼女は驚いて表情を崩す。彼女は私の怒鳴り声を初めて聞いたのだ。


 数十メートル先では冒険者たちがドラゴンの攻撃に耐え忍んでいる。


 怖がらせてしまったのなら申し訳ない。しかし威勢をはるアイリスをなだめようにも流暢に言葉を選んでいる暇はなかった。


「俺はあそこへ戻る、あそこには魔導士が必要だ」


「分かりました。お仲間に潜伏スキルを付与してから私もいきます」


 赤魔導士は頷いて戦場へ駆けていく。


 私は術後の戦士の右手に魔法石を握らせて一時的に潜伏スキルを会得させた。


「タオフーここでメディーとベルリーを守ってやってほしい」


シームートは?」


「アイリスに同行する。魔道具でのサポートくらいはできるからね」


 私はアイリスの顔を見つめたあと自分の頬を強く叩いた。


 ――よし覚悟を決めた。


「あのぉ」


「うぉ」


 背中から聞こえてきたメディーの声に驚きながら振り返る。


「ご、ごめんなさぁい、お、驚かせてしまってぇ」


「大丈夫だよ、メディーどうしたの?」


 私が尋ねるとメディーは不安そうに言葉を発した。


「切り裂くようなぁなにかがぁ……」


「伏せろください!」


 タオフーの声に私はメディーとベルリーの頭を掴んで地面に突っ伏した。


 数秒後、周りの木々が鎌で斬られたようにスパッと切りさく。


 音の正体は風。


 まさにあの時受けた。ドラゴンの禍々しい攻撃だった。

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