魔導士ディーラー 防戦一方のようです。
「終わりましたぁ」
「よし、五時間四十分なら上出来だメディー」
全て終わると同時に完全無欠の手術室の結界が消滅する。私は全方位に飛ばしていた魔力の供給を少しずつ抑え現実世界に戻る準備をした。
「戻ってきた本当に五秒だ」
「赤魔導士様回復魔法を」
「あぁ分かってる!」
患者の身体に触れた赤魔導士は詠唱を始めるとみるみるうちに外傷は元通りになっていく。その魔法にはまったく魔力消費の無駄がない。応急処置にしては充分なほど体の組織は復活していくのを感じていた。
「お見事です赤魔導士様」
「こんなことは魔導士なら当たり前だ、それよりもあんたはいったいなんなんだ?」
「ただの魔導士ディーラーですよ。それよりも戦況は?」
私はすぐに怪我人がいないかあたりを見回す。現実時間では数秒ほどしかたってはないとはいえ相手はドラゴン。まだ攻撃がどんな効果が作用するかも分からない。
これだけのランカーがいて手も足も出ないとは本当にまずいことになったと思う。
「ムート残念ながら状況は防戦一方ですよ」
「タオフー」
「遠距離魔法は一撃も通らず、近距離戦では固いうろこにはじかれて傷ひとつついていない。それに長期戦はまずいですよ」




