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魔導士ディーラー 危険が迫ってくるそうです。②

 デスワームが放つ強烈な圧迫感に、アイリスは歯ぎしりしながら刀を薙いだ。


「アイリス、大丈夫か!」


「大丈夫だ! 黙ってろ!」


 つい数分前までの威勢は彼女にはなかった。魔物とはいえ戦闘勘というものは持ち合わせている。デス

ワームは表情こそないがくねくねと余裕のある動きでアイリスとの距離をつめてくる。


「はやく鞘を……」


 アイリスがつぶやいて意識を逸らした瞬間デスワームは襲いかかってきた。巨大な口を開き大地をえぐりながら私たちを丸のみにしようとしている。


 金属が勢いよくぶつかる音が聞こえた。


 アイリスはデスワームの鋭利な歯を刀で受け止めていた。


「ちっ」


 彼女は攻撃できないことに唇を歪める。不甲斐なさの余韻を受ける暇もなく耐え続けているがこのままではいつか力で押し切られる。


「タオフー」


「ムート分かってるか? 私がここを離れたら彼のお仲間にやられますよ」


 そのとおりだった。アイリスが相対している魔物ほど大きくはないが、地中にもう一体勝機を窺って浅いところでスタンバイしているやつがいる。


 タオフーが持ち場を離れればその後ろにいる私たちは魔物の腹の中だ。


 しかしそうは問屋が卸さない。


 この戦況を脱するために魔導士と魔導士ディーラーがいるのだ。


「ベルリー、アイリスに強化ポーションを注入する。魔脈に穿刺するガイディングカテーテルと魔導士用の造影スコープをリュックから出してくれ!」


「了解っす!」


 ベルリーは手際よくリュックへのパスワードを詠唱し、目先にリュックへ繋がる空間の入り口を作り出す。その中に手を突っ込んで私が要望した製品を取り出した。


 私に目配せしてからメディーの傍らに立ち製品の説明を始める。


「魔導士様こちらバフ注入用のガイディングカテーテルっす。強化用のポーションを左手に握り、右手で対象者の魔脈絡にさしてください」


 私はダンカンから扱った能力強化用ポーションの飲み口にカテーテルを刺してからメディーに手渡し、造影スコープを彼女の目線に装着させた。










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