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魔導士ディーラー 街の異変1

なにも知らずにすやすや眠るタオフーを置いて私たちはギルドを目指し町に繰り出した。まだ朝は早いが人通りはそこそこあって、活気づいてるようにも見える。その中には今からクエストに出発するであろう冒険者のパーティーも見て取れた。


「歩き食べはお行儀が悪いとはいえ、背徳感がこの芋の甘さを際立たせるよなぁ」


「はぁい美味しいですぅ」


 この町で栽培されている甘芋は、濃厚でいてしつこくない甘さに心地よいねばりけをを兼ね揃えた絶品のスイーツだ。迷いの森に近い分魔物が襲ってくるリスクも高いが、森に流れる魔力を吸った土壌がこれほどまで甘い芋を作り上げている。


「ちょっと喉かわかない?」


「はぃ、分かりますぅ」


「じゃあ、ちょっとここのカフェでドリンクを買おう。アイリスの家も近くにあるし」


 私はそう言って目の前のカフェの扉を押す。そうでも言って心の準備をしないと久しぶりの再開に緊張してしまうからだ。


「マスター二人……」


「いい加減にしろ!」


 入店した瞬間に聞こえた怒号に視線を向ける。女性の声だった。


 奥の席に座っていた女性が目くじらを立てカップの中身を向かいに座る相手にぶっかけていたのだ。








 

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