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魔導士ディーラー 質問に困るそうです
水にぬれて垂れ下がった髪の隙間からこちらを眺めるメディーの顔がみるみる赤くなり、両目の瞳孔がふたつになっていく。
「ふ、不意打ちはひどいですぅ」
咄嗟に身体をしゃがませ呟いた。
「ご、ごめん間違えた!」
私はつい昔の調子で部屋を間違えてしまったのだ。唇を青くしながら慌てて外へ出ようとする。
「ま、待ってくださぃ! そのぉ、き着替えますからぁ。そこにいてくださぃ」
「すみませんでした」
改めてメディーと向き合い誠心誠意謝罪する。頭を上げてメディーの顔を窺うとなんとも言えない複雑な顔をしていた。
「本当にごめん、言い訳になっちゃうけどその部屋昔私がよく使ってたんだ。だからその間違えた……いろいろ考え事していて」
「ムートさぁん」
「何でしょうか?」
「別に怒ってないですぅ。わ、私もカギをかけ忘れていたのでぇ」
ズラすことなく私に向けられる目線。この沈黙がすごく怖い。
「ム、ムートさぁんって私のことどう思ってますかぁ」




