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魔導士ディーラー 部屋を間違えるそうです。

「せっかく来てくれたのに申し訳ないけど、今から出せるものって限られてくるわ……サンドウィッチでもいい?」


「もちろん、こちらこそとつぜん申し訳ない」


「それじゃ席に座っちゃって。大至急で用意するね」 


☆☆☆



「それじゃあ、私一階締めて来るからあとはゆっくりお過ごしくださいませ。でも他のお客さんもいるから静かにね」


 マリアに案内された部屋はテーブルとイス、それから少しだけ大きめのベッドが配置されたワンルームだった。各部屋にトイレはあるが、風呂はない。そのかわりに各部屋の中にシャワー室があった。


 メディーが案内された部屋は、私がチルトと語らい合った部屋だった。懐かしいなぁ。感慨深そうに頷くもやはり引っ掛かる。マリアが頑なにチルトの話をしようとしないのだ。最初はマリッジブルーが原因で喧嘩でもしているのかと思ったが、雰囲気的にそうじゃなさそうだ。


 最強の守衛としてこの町を守るチルトは、強力なスキルを持ったがゆえに恐れられていたが、心は誰よりも優しい男だ。そんな男が自分よりも一回り歳が下な嫁さんと一緒になって喧嘩なんかするはずがないだろう。


 だから、おそらくはこの微妙な違和感の原因は、チルトの妹でありマリアの親友。


  一人残された廊下で長い時間そんなことを考えながら、何の気なし扉を開ける。


「うん?」


 目に飛び込んできたのは、部屋の照明に照らされて透き通るような白い肌を露わにしていたメディーだった。あの時は月明りでしか見ることができなかった彼女の身体の輪郭はバスタオル越しでもわかるほどに女性らしかった。
















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