魔導士ディーラー ギルドを目指すそうです。
「最短距離で抜けましょう、夕暮れまでに街につかないとまずい」
そんな中で私たち一行は、今なお森の中を彷徨っていた。
「すみませぇん、私が声をかけられなかったせいでぇ」
「そのことについてはメディーはなんも悪くないよ」
そう悪いのはタオフーの飲み込みの速さに嫉妬を覚え、自らの不器用さに呆れながらも新しい技術を教えてもらい下手くそながらもみるみるうちに上達する自分に酔いしれてしまったからだ。
「うぅ、ごめんなさい」
右手に震えが伝わってきて俯いてしまう。メディーは失敗したことや上手くいかなかったことをなんでも自分のせいだと思い込んで平常時に戻れないほどへこんでしまう。
「お二人とも、しっかりついてこいください」
先陣を切るタオフーの後ろを離れないように私たちはついていく。
潜伏スキルを発動させているため正面から堂々と襲ってくるやつはいないが、
「おっと」
「キヒヒヒヒ」
こうやって鉢合わせしてしまい立ち止まって戦闘する時間が増えた。
「はぁ、めんどくさいのでまとめてかかってきなさい」
タオフーの鋭い声に反応した三体のゴブリンたちが束になって攻撃をしかけてきた。
「よしメディー私たちはサポートだ」
私はメディーの背中に手を添えて魔力を注入する準備を整えるが、肝心のメディーは足がすくんでその場に座り込んでしまった。
「メディー立つんだ! タオフーをサポートするんだろう」
「あ、足が震えてぇ」
彼女の背中は縮こまり、とても回復呪文を唱えられる状態ではなかった。
タオフーの目の前には鉄を研いで作ったであろう即席の短剣が三方向から飛んできている。
「そうそうそうこなくてはね」
半身にして右手を前に突き出すと一体のゴブリンの腕を払って進行方向を変えた。私の目に見えたのはそこまでで次の瞬間にはゴブリンたちは自らの武器で急所を刺されて息の根を止められていた。
「ご、ごめんなさぃ、ごめんなさぃぃ」
謝るだけの彼女に私はなにも声をかけることができなかった。




