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魔導士ディーラー 夕飯の準備にとりかかるそうです。


「出来ましたぁ」


 メディーの明るい声が聞こえた頃には陽が傾き始めていた。私は彼女の力を調節しながら慎重に魔力を流していたためかなり神経をすり減らしていた。


「ムートさぁんこれどうでしょうかぁ?」


 目を輝かせながら小さな魔法石の欠片を見せてくれた。荒削りでところどころにむらがあるが立派な魔法石の欠片だった。


「お疲れ様、よくできてる。あとはこれをこうやって……ほら魔法石が出来た」


 完成した魔法石をメディーに手渡して私は靴を脱いで川に入った。

「ムートさん?」


「メディーあそこの木の実とれる?」


 巨大樹にぶら下がっていた赤い実を指さした。


「どうでしょうかぁ、私チビなのでぇ」


 遠くを眺めるように目の上に手をあてて川の中州にある巨大樹を観察していた。


「そりゃそうだなぁ、じゃあその杖をちょっと貸してもらえるかい?」


 メディーはヘアピン代わりにしていた杖を元の大きさに戻す。


 私はその杖を右手で掴み、左手でさきほど作成したばかりの魔法石を握りしめた。


「無能力者の私は魔法石はこうやって使うんだ」


 ステータスオープン、投てきスキルレベル1発動を確認。

「これをこうだ」


 私はぶら下がった木の実に向かって狙いを定めるとやり投げの要領で杖をぶん投げた。


 クリーンヒットした木の実は空に宙ぶらりんになって私は野球の外野手がフライをように川を走った。落下点に入ると着ていたシャツをクッション代わりに広げた。


「リリースゥ……ナイスキャッチですぅ」


 三つか、レベル1じゃこんな程度だろう。


 デザートはこれでいいとしてメインはやっぱり川魚が良いよなぁ


「メディー、私は火を起こしておくから魚を取っておいてくれるかい?」


「分かりましたぁ、お任せくださぁい」


 ちょっと褒められただけでずいぶん自信あり気じゃないか。


 少しだけ期待して火おこしの準備にとりかかる。


 魔道具を使ってもいいけどたまには自力でやるのも粋だ。


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