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魔導士ディーラー ひとまず応援するそうです

「アハハハアハア」


 アイリスの笑い声が聞こえる。


 私は徐々に知能が失われつつある彼女の姿を視認することもできない。


「ベルリー、どうしたら……」


「どうもこうもないっすよ。彼女が知剣に意識を乗っ取られる前にドラゴンを倒せることを祈るしかないっす」


 半ば諦めたように言って戦況を見守る。


 吠え続けるドラゴンはまるで周囲を飛び回るハエを払うように翼や尻尾を振り回しているが攻撃が急所に入っている雰囲気はない。


 ただ攻撃を受け続けるドラゴンが光って見えるのははがれかけた青白い鱗が揺れている証拠だ。私は身体の奥底が熱くなるのを感じながら、ゆっくり拳を握りしめた。


「アイリス頑張れ!」


 こういう時、ディーラーは本当に無力だ。助けたい仲間がいるのに直接助けにいくことができないのだから。


「がぁがんばってぇくださぁい!」


 メディーの甲高い声に、私は驚きながらもその小さな身体に宿した力強い意志が伝わってくる。


「僕も応援します!」


 応援を通して繋がった私たちの絆は、互いが互いを高め合うように燃え上がる。


 この一体感、高校野球のスタンド応援を思い出す。一年生の時、一生懸命に先輩たちを応援して逆転した試合のようにめちゃくちゃ盛り上がっていた。


 あれ? このまま倒せるんじゃね。


 さっきまでの緊迫した空気が嘘のように楽しい気持ちになる。心なしかドラゴンも弱っているように見えてきた。


 そしてドラゴンの咆哮が止み……


 光の速さで物体が横切った。


「う、うそぉ」


 数秒の沈黙の後、ベルリーの声が漏れる。


「ア、アイリスさぁん」


 メディーの情けない声も聞こえる。


「アイリス!」 


 私は地面に叩きつけられたアイリスに駆け寄った。

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