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第九話

あれから1ヶ月と3週間、町に立て札が立った


『 昨日 竜王陛下が御成婚の儀を済まさせた。

午前10時より、竜王陛下と竜王妃様が国の繁栄安寧を祈り、上空を飛ばれる。』


いわゆる、御成婚上空パレードである。




竜王城は大忙し!


「ドミトリアン様、早く竜態を取って下さい。

いつまでもシンシア様にくっついていない!」

カレントは、シンシアよりドミトリアンを引っぺがした。


「ほら、早く竜になって下さい。

私、金の竜になった貴方が大好き♡」

シンシアはそう言うとドミトリアンの鼻を撫ぜた。


「そうか、そうか!」

ドミトリアンは有頂天になりシュルシュルと竜態になった。


(チョロいぜ!)

シンシアはチラリとエマを見た

エマはウンウンとうなづいてる。


ドミトリアンのは腹部には頑丈に籠が取り付けられ、そこにシンシアとお気に入りのうさ耳メイドちゃんが乗り込んだ。


後ろには、エマを乗せた黒竜のカレントと、彼らの子供達

そして、赤竜、緑竜、青竜、普通の茶竜


「ガォーン」

ドミトリアンの合図に合わせ、総勢50体、一斉に空に飛び立った



「怖くはないか?」

「これくらいの低空だと大丈夫ですよ。

余り早く飛ばないで下さいね!

私が落ちて死んだらドミトリアン様、寂しいでしょ!!!」


「お前が死んだら俺は生きていけない。

大事なお前の為にも、ゆっくり、ゆっくりだな!」


「そうです、ゆっくり、ゆっくり、ですよ。」


シンシアは、もうすっかりドミトリアンの操縦法をマスターしていた。


「いい子、いい子、」

シンシアは愛おしそうにドミトリアンの腹を撫ぜる。


ドミトリアンは嬉しくなって蛇踊りをした。


シンシア「危ない、落ちる!!!」 

ドミトリアン 「すまん」


後ろでエマとカレントが、暖かい目で見守っていた。



パレードは広場上空に到着した。


太陽の光を浴び、眩い黄金色に輝くドミトリアン。

世界で一番美しい竜は王国っ子の自慢である。

そんな姿を一目見ようと広場は人、人、で埋め尽くされていた。


ドミトリアンは、空から人間の言葉を発した

「皆の者、大義である」


わーー、わー、わー、

歓声が上がった。


そして、シンシアは立ち上がり上空よりキノコをまいた。


ライスシャワーならぬキノコシャワーである。


~~~~~~~~~~~~~


読者は、何故ここでキノコ?とお思いになるであろう


シンシアは転生者である、それも生粋の日本人


結婚式には、ブーケを投げる

家の建舞には、お餅を屋根から投げる

節分の豆まきには、豆をまく

お祝い事にはお裾分けするのが当たり前。


とにかく、上から投げたかったのだ!

毎年、TV中継される高野山の節分のように、パラパラと投げてみたかっのだ!



シンシアはキノコソテーを食べながら考えた。

さて、何を投げようか••••

何を投げれば喜ばれるのか••••


花は、短時間で、沢山摘む事が出来ないし、柔らかいからグチャグチャになってしまう。

お菓子をまくなんで、この世界には個包装なんて無いし、無理だな


ウンッ、、、キノコだ!そうだ、キノコだ!

キノコなら、そこそこ形を保ち、当たっても痛くない。

それに食べれる。

季節も雨季から初夏に移り変わったばかり。

丁度キノコの収穫時期


皆に相談して、婚礼の引き出物として獣人の皆さんに山から収穫して貰った

朝取りのプリプリのキノコである。


「くふふ、きっと盛り上がるだろうなぁ•••」

シンシアは婚礼より、キノコまきの方が楽しみになった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


シンシアは広場から少し離れた実家に目をやった。


屋上には両親と弟、従業員、近所のおばさん、知った顔が手を振っていた。


「ドミトリアン様、少し右に寄って

あの上に両親と弟がいるの。」


ドミトリアン様に宿屋の上空に飛んでもらった。


「おとうさーん、おかあさーん、ノアーーー!!!」

キノコをたっぷりと蒔いた

(家族だもん、贔屓してもいいよね!)


「シンシアァー」

「シンシアァーーァ」

「ねーちゃーーん」


肉親の声が聞こえた。


2か月、なんだかよくわからないうちに結婚してしまった。

ドミトリアン様は意外に付き合いやすい方で番生活は思っていたよりぜんぜん楽しい

まあ、結果的にはよい結婚だと自分でも思う。




でも、、、、


なんだかちょっぴり悲しくなって涙目になった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



翌日の王宮の一室


あの、公式面会日の日に位合わせた面々は、カレントを目の前にして固唾を飲んでいた。


目の前には、ドミトリアンの涙が固形化した物が三つ置かれてある。


「皆様、これは見なかった。

宜しいですね!

これは無い物として頭の中から消し去って下さい。」

カレントは黒い笑みを浮かべ周りを威圧した。


その居た堪れない雰囲気の中、勇敢にも宰相ロシュフォール伯爵が声を上げた。

「しかし、それは、竜のナミ『グフッ!』」


カレントの手刀が脳天をチョップした


「お諦め下さい。

これは国を乱します。私の目が黒い、いや、鱗が黒いうちは、これを世に出す事はあり得ません。

私亡き後は息子が管理するでしょう。彼も私と同じ黒竜ですから•••」


そう、黒竜とは竜の中でも1番頭が良い。

そして、その知性は人間をも遥かに上回るものであった。


「これからはドミトリアン様の世になります。

シンシア様という良き伴侶を得て、ますますこの王国は繁栄していくでしょう。

そんな中に火種は必要ありませんね!」


カレントは周りを見て満足そうに微笑んだ。


『竜の涙』とは、どんな病気も治す薬である。

竜の涙を、竜の番の手で受け止めた時だけに出来る霊薬である


これがこの国にあると知れたら、薬欲しさに攻め込んで来る国も現れるかも知れない。

他者に、存在を知られる訳にはいかない。


愛するエマとシンシア様の末裔の未来の為にも••••


「消し去らなかったら、、、あなた方の存在を私が消し去って差し上げます。」

カレントはそう脅しをかけ、『竜の涙』を大事にポケットにしまって部屋を後にした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




結婚後、シンシアは、番と言う物に対しての認識が間違って人族に伝わっていると感じた。


そして、全員が番に否定的では無い事を知った。

世の中には、愛し愛されたい。

情熱的に愛されたい。

調べてみると、獣人の番に憧れる人間が結構な数いたのだ


お城にそんな人間を集めて、

『お城で婚活!番でドン♡』をキャッチフレーズにお見合いパーティーを開催した。


逞しい虎獣人限定、マッチョはお好き?

可愛いウサギちゃんとラブラブ、モフモフ

俺様竜人と壁ドン、ドキドキパーティー


シンシアは、獣人と人族の橋渡しをした妃として、後世まで名を残した。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




ファルス王国の空にはシンシアの子供達が日替わりで巡回している。

竜の舞う空は王国の風物詩

観光名所となり、外貨の獲得にも貢献している。


シンシアとドミトリアンは400年、死が2人を分かつまで、仲睦まじく過ごしたと伝えられている。

2人の間には子供が13頭、末っ子はなんと金竜であった。


今日も、空に竜が舞う。青い空に竜が飛ぶ

平和なファルス王国の風景であった



この国には、結婚式の引き出物には必ずキノコを付ける習慣がある。

残念ながら、それは、竜の習慣だと誤解されて伝わったようだ




~~~~~終わり~~~~~~~



お詫び


すみません、すみません、すみません


いちゃらぶ、溺愛、書けませんでした。


期待させてごめんなさい


(う、う、う、LOVE苦手なんだよなぁ)

(ーー;)

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