⒈ここ・・どこ?
俺は、視界が真っ白になった後、視界がものすごい勢いで加速していった。
何が起きているのかは知らないが、ぼーっと見つめてるだけで頭が痛くなってくる。
10秒ほどそれが続いた後、ポツンと知らない所の真ん中に立っていた。
何が起きたのか全く理解できないまま棒立ちしていると、マンカラトッツァ
「マンカラトッツァ、シャシャドーパ!」
「プーカ、インゴラ!」
という威勢のいい声とともに5人組ほどのマントを被った集団が近づいてきて・・
俺は、どこか知らない場所に連れていかれた。
◇◇◇
「・・・。」
「・・・??」
俺、さっきバスのボタン押したけど何が起こったー?
なんか、閉じ込められてるっぽいんですけど!!
しかも結構窮屈だし。前にちっちゃい穴空いてるだけだし。
これ、夢?
最近夜遅くまで起きてたから気が狂ってるのかもしれない。
にしても、体の感覚は確かにあるし、匂いもする。
ん?匂い・・?
あ、最初は気づかなかったけど海の香りがする。
ってことは、どっかに運んでるのか?
一人でそんなことをぶつぶつ言っていると、どこからかは知らないけど「うっせえだまれ!」という罵声をあびせられた。
ただでさえ小心者の高校生が、そんなことを言われてビビらないはずがない。
俺はビクッとすこしジャンプしてしまった。
ズボンは・・濡れてない。濡れてない。
ってか。
マジでここどこなんだろう。
急に知らない場所にワープしたかと思えばどっかに連れてかれるし。
こういうの、異世界転生ものでよくアニメとかやってるよなー。
もしかして、自分が転生してたり?
いや、そんなことないない。
陰キャ高校生を、異世界の住人の誰が欲しがんねん!
と、少々自虐的になったあと、少し落ち着いて考えてみる。
・・・結局、俺は転生したんだと思い込んだ。
よくわからないけど塾に行って勉強するよりマシだ。
んでも、この手のアニメとかって、急に頭が痛くなったかと思えば、いつの間にか視界が真っ黒になって異世界に転生した、とかっていう始まりじゃないの?
それで、最強の力を手に入れて、結婚して・・・っていう主人公にあまあま系のストーリーじゃないの??
俺、今海賊っぽいやつに運ばれてるっぽいんだけど!!
こんなことってある??主人公圧迫系小説なんてある!??
あっていいわけなーーーい!!
んもー、よくわからん言葉話してるし異世界転生してまさかの白馬の王子様になるかと思いきやボケーって突っ立てたら海賊みたいなのに船に入れられて脅されながら縛られて箱に入れられるし。
これは・・・。
今後に期待、ということでいいんだな?いいんだよな?
前世なんてもう過ぎたことだしどうでもいい、、、よくはないけどどうせこのまま生きてても帰れそうにないし俺の人生はこの良くわからん世界であっけなく死ぬのか・・・。
なんかいやだなぁ。
つまんねえなぁ。
まだ畑作ったりパソコンでゲームしたりとか、っていうやりたいことできてないのに。
そこで、ふと脱出という言葉が脳内に浮かんできた。
周りを見渡す。
と言っても首の角度を少し変えられる程度の広さだが。
箱に穴はあるけど3cmくらいの穴が一つ無造作に開けられてるだけ。
自分の箱の上にもいろいろのっかてるぽいし、脱出はちょっと無理そう。
となればやっぱり箱から出るタイミングを見計らって猛ダッシュするしかないよな。
よし。そうしよう。
俺はやるときめたらやる漢だ。これは三国志仲間の人生の大先輩からもらった座右の銘だがな!!
三国志、というワードを思い出してしばらく回想にふけっていたら、船の揺れがだんだん収まってきた。
どうやら目的地に到着したようだ。
どこかはわからないが、たぶんここで俺は売られるんだろう。
なんとなく想像はつく。
奴隷になって俺は金に換えられるんだ・・・。
労働力として、朝から晩まで地下労働施設でムチに叩かれながら働くのか…。
はぁ・・・。
まだ高校生なのにぃー?
あらやだなんなのこの世の中不条理!!
一人でそんな感じにてんやわんやしてたら体が宙に浮いた…感覚がした。
ズシン、ズシン、という音とともにどこかへ移動されていることが小さい穴からみえる風景からうかがえた。
にしても、奴隷の送り先としては結構贅沢そうだな。
透き通った水の流れる小川。ため池風の大きい湖の真ん中にポツンと、でもどっしりと構えている純白の城。
その周りを取り囲むように配置された塀、林。
そうか。周りにばれない様に城の地下で強制労働させられるパターンか。
ふむふむ。そういうパターン、なのね・・・。うん・・・。
うん。いやだ。
逃げたい。今にでも逃げ出したい。
でもここは戦略的特攻…。撤退すれば奴隷行きは、ほぼ確定だし。
俺、男で身長も170あったからそれなりに重いはずだし、それを軽々と持ち上げるほどだから俺を運んでいるのは余程の巨漢なんだろう。
なんとか脱出できないか、ということを考えていると体が一瞬フワッとして、ドスン、という音とともに床に置かれた。
まだ城にも入っていないが・・・。
と、遠目に城を見ていると、
急に景色が変わった。
俺がバスの降車ボタンを押したときみたいな感覚だ。
視界の変化が終わったかと思うと、俺の身が解放された。
ーー気づけば、藁のようなものの上に横たわっていた。
この小説を読んで下さりありがとうございます。
次回、「色んな意味の死線」です!
さて、主人公の桐島は、初めての死亡フラグを回避できるでしょうか・・・?
お楽しみにーー!