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物語1−1

昔々あるところに……。

そうは言っても、昔ではありません。現代という区切りも無いです。今は今です。

わたくしのお父様の王国、ユキティアがありました。そして、その近くには魔女の森があり、そこにはとても美しいお姫様が捕えられていました。


ところで、なぜわたくしが日記を昔々から描き始めたのかと言うと、わたくしのお兄様が読んでくれた物語はいつもそう始まっていたからです。


* * *


「昔々あるところに、美しいお姫様が住んでいました」

わたくしは小さい頃、おとぎ話が大好きでした。特に、三つ年上のお兄様が読んでくれるお話はいつも美しくてハッピーエンドで……。それが、とても愛おしくて、今も忘れられませんでした。

今年で、わたくしも十と五歳になります。

そろそろ他国へと嫁ぐとき。だけれど、いかんせんわたくしは口下手でお兄様以外の男の方とまともに話すことが出来ない恥ずかしがり屋なのです。

そんな妹を見て、お兄様はいつも「顔は良いんだけどなー」と笑います。ああ、恥ずかしいですお兄様。

わたくしのお兄様であるレシア・ユキティアは今年で、十九歳になられます。

普通の王家の殿方であれば、すでに他国から女性を娶られ、王家を継ぐはずなのですが、お兄様はとても好みがうるさいのです。

ただうるさいだけであれば、お父様や他のお兄様やお姉様の言葉でなんとか改心したかもしれません。でも、わたくしのお兄様は……ああ、その…………レディがこんなことを言っても良いのでしょうか。

レシア・ユキティアは


女性の、か、髪フェチ。なのです………………。


言ってしまいましたわ!

良いのでしょうか? わたくし、お兄様の紹介をしただけなのに、なんでこんなに恥ずかしいのでしょう!!

ふぅ。

そうなのです。このお兄様のフェチズム……いえ、妥協点としたほうがまだ良いのでしょうか? これがあるから、お兄様はご結婚することも出来ないのです。

だからといって、王家が途絶えてしまう。ということは無いので、その点は安心です。(わたくしのこういう発言を聞いて、ちゃっかりした妹だねといつも笑われてしまいます)

理由はわかると思いますが、お兄様は長男では無いのです。ちなみにわたくしも、姉妹の中では上から三番目、下から二番目です。兄と姉と弟と妹を足すのなら、わたくしは上から五番目なのです。八人兄弟というやつです。

一番年の近いわたくしとお兄様の仲が必然的によくなってしまったのもわかるでしょう?

わたくしは、お兄様が大好きなのです!!

まあ、髪の毛に関しての妥協点は少し残念だと思いますけど……。(お姉様たちは、いつまでも独身のお兄様を見て「やだレシアちゃん。キモイ」「髪フェチとか流行んないよ」と言っておられます)

そのお兄様が!

これまでに妥協点のせいで百件近くのお見合いをお断りしてきたお兄様が!

運命の相手を見つけた。とおっしゃっていたのです。

一体、どういうことなのでしょう?


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