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橋と梯子

妖精の双子姉妹 カキテとヨミテは6階建ての塔に住んでいます。

深い森の中の、ツタが絡む古ぼけた塔です。

カキテは6階に住み、ゆっくりと物語を書く。ヨミテは5階に住み、急いで物語を読む。

カキテは6階の床に開いている穴から物語を書いた紙をハラリ、ハラリと5階に落とします。

ヨミテは今日もカキテが書いた物語を読み、読み上げます。

カキテはヨミテの弱弱しい、緊張したような声にいつも耳をすませていました。

カキテにとってはヨミテの声が、ヨミテにとってはカキテの字が食事なのでした。


外が騒がしい、とヨミテは物語を読みながら感じました。

どうやら外で猟師と狼がいつも通り言い争いをしているようです。

カキテが書いた物語をヨミテが読み上げたことで一度世界は滅びているので、

現在の森の外の世界を姉妹は知りません。

しかし、猟師と狼と、姉妹を育てた予言者は変わらず現存しています。

ヨミテはふと、カキテに会いたいと思いました。

物語越しではなく、天井という壁を越えて。

天井の穴に梯子をかければ会いに行くことができるでしょう。

姉妹は羽がない妖精なのです。




予言者が遊びに来た日、ヨミテは梯子の話をしました。

しかし未来を見通す予言者は梯子という物体の存在を知りませんでした。

予言者は知らないことの多い人なのです。

「ハシゴとやらの職人を探して作ってもらいましょう」

予言者は梯子を用意してくれる様子です。

ヨミテと予言者は一階の部屋で丸い机を挟んで向かい合って座っています。

そこには入り口がなく、予言者は小さい窓からいつも頑張って塔に入ってきます。

窓からは庭が見えて、魔法に使う木の杖がニョキニョキと生えています。

居心地がいいのか、猟師と狼はよく庭の柵に座ります。


ヨミテはこの庭の外に出たことがなく、予言者が外部との橋でした。

そして予言によるとこの先もヨミテが外に出ることはないとのことでした。

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