表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
車男短編集  作者: 車男
6/54

夜道にご注意

 「うわ~、おそくなちゃった~。」

ケイコはぶつぶついいながら、駅からの帰り道を歩いていた。ケイコは今、自宅から電車で少し行ったところにあるブティックで働いている、20歳。お客さんや同僚からの人気は高く、いつも質の高いファッションでお店に行っている。今日は、冬の寒さも和らいできた3月の下旬。ケイコは、春色のワンピースにジャケット、白いレース地のソックスにヒールの高いパンプスを履いている。まだそんなにヒールには慣れていないケイコは、歩きづらそうに、ゆっくりと家路をいそぐ。もうすでに夜10時を回っている。今日は商品の搬入が夜にあり、今まで時間がかかってしまった。家までは後15分ほど。お父さんとお母さん、妹2人の5人で住んでいる。

 家までは住宅街が続き、街灯は結構少なく、暗い道が続く。歩いていると、後ろから誰かが歩いてくる音が。近くのサラリーマンであろうか、いや、それにしては、歩く早さが遅い。ケイコと同じほどの速さで近づいてくる。20歳のケイコは、やはり恐怖を覚え、スピードを上げて歩こうとする。しかし、慣れないヒールに足がとられる。そうしているうちに、足音はどんどん近づいてくる。ためしに止まってみたが、足音もそれにしたがって止まった。いよいよ自分をつけていると思い、必死で歩く。そうしていると、側溝の穴に挟まり、片方のヒールが脱げてしまった。抜こうとするが、深く挟まってしまっている。足音も近づいてきた。仕方なく、そのまま歩くことに。しかし、片足靴下で歩くのは、より歩きにくい。そこで、片方のヒールも脱ぎ、両足靴下で走り出した。そのまま5分ほど走り、ようやく我が家へたどり着いた。急いで鍵をあけ、すぐに閉める。尋常でない彼女の様子に、お母さんと妹も飛び出してきた。

「どうしたの?なにかあった?」

「うん、誰かに追いかけられて・・・。」

「うそ・・・、あれ、靴はどうしたの?」

「途中で捨ててきた!もうヒールあるのいや!靴下も真っ黒だし・・・。」

そしてその場で靴下を脱ぎ、お風呂へと向かった。その後、彼女が追いかけられることはもうなかった。


おわり


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ