11.帰還
外ではズィアスたちがまだ魔族たちと戦っていた。
私たちもすぐに参戦して、そのまま地上への出口を目指した。
魔王城を中心に魔界の崩壊がどんどん広まっている。急速に魔素が薄れていき、薄暗かった世界に光が差し込んでいくのが見えた。
マクシムスが呪文を唱え、現れた亀裂に飛び込む。最後に見た魔界の光景は着いた時とは全く別の様相を呈していた。
「「「「「やったーーーーーー!!!」」」」」
大神殿の地下通路の大岩前に戻ってくると私たちは大声で笑い、称えあった。
全員無事に戻って来られて本当に良かった!
神殿の皆さんにも涙と大歓声で迎えられ、その日は一晩、神殿の部屋で泥のように眠った。
翌朝、鎧を元に戻し、マクシムス達に別れを告げ、ドワーフの国に戻ると、そこでも祝杯が挙げられ、エルフの里でも同様だった。サトゥルノやズィアスにもアーダ神聖国に一緒に行こうと誘ったけど辞退されたので、アーダ神聖国の聖都には私とケイトの二人だけで行った。
聖都で剣を返し、世界を救った英雄として崇められ、歓待を受け、引き留められる中、やはり一晩の滞在でメサイオ王国に戻った。
メサイオ王国の王都に戻ったのは、国を出てからちょうど二週間後のことだった。
ゲームでは二カ月近くかかってたと思うから、我ながら早かったわね。聞けば歴代聖女の最短記録だったらしい。やっぱり、計画性と効率性の勝利ね!
王都では魔王討伐の成功を祝う祝祭が開かれた。
最終日には大舞踏会も王宮で催され、私たちは主賓として歓待を受けることとなった。
お披露目の儀の時以上に飾り立てられた私たちに次々とお祝いの言葉と謝意が述べられる。
目まぐるしく顔触れが変わる中、ケイトが叫んだ。
「お兄様!来てくださったのね」
目の前にずっと会いたくて仕方のなかった人が立っていた。




